実食
料理大会一回戦、お題は、お米。
海原学園は【唐揚げ定食】を、桜野学園は【麻婆豆腐とワンタンスープ】を完成させ、いよいよ審査に突入する。
審査は全国料理協会の幹部によって行われる。
全国料理協会とは、日本の優秀な料理人をサポートするために出来た組織である。
彼らはこうして大会を開催したりして優秀な人物を見つけ出し、料理業界の発展のため活動している。
「さて、まずは桜野学園の麻婆豆腐を頂こうかな」
審査員はまず柳の麻婆豆腐から頂くようだ。
「ふむ、とても丁寧に作ってあるようだ、豆腐も崩れてないし香りもいい」
審査員のからの評価はかなり良かった。
麻婆豆腐を一口食べる。
「おおっ! 辛いっ! 癖になる辛さだっ! これは美味いっ!!」
「次は是非、麻婆丼にして食べて下さい!」
審査員は柳に言われた通り麻婆豆腐をご飯にかけ食べる。
「ふぉぉぉぉっ!! 麻婆とご飯がよく絡んで絶妙な旨味を引き出しているっ!! こんな美味い麻婆丼は初めてだっ!!」
「そして、このワンタンスープも素晴らしいっ!! 辛い麻婆丼とよく合うっ!」
「ねえ速水君、あの審査員大丈夫かしら? えらく興奮しすぎじゃない?」
「言うな」
何はともあれ審査員は大満足のようだ。
さて、気になる点数は……。
「いやぁ素晴らしい料理だったよ、さすが本場中国の大会で優勝したことだけはある」
「ありがとうございます、それで点数の方は?」
審査員はしばらく考え込んだ後、点数を発表した。
「……16点だっ!!」
桜野学園が獲得した点数は16点!
見た目4点! テーマ食材4点! そして、味が8点! 標準からプラス3点の評価だった。
柳さんは点数を聞いて喜びの声をあげる。
「やったわ! 恵、唯! 高得点よ!」
三人は歓喜の声をあげる。その様子はまるで勝利を確信したかのような喜びようだった。
「ちょっと速水くん! 私達大ピンチじゃない!」
16点という高得点を叩きだした桜野学園を見て、佐伯さんは焦りを見せる。
しかし、俺は焦りなど感じることなくむしろこう思っていた、勝てるっ! と。
「大丈夫だ佐伯さん、あいつらは思っていたより強くなかったようだ。ハハハハハッ!!」
「どうしたの速水くんっ!? なんかキャラ変わってないっ!? ハハハッ! なんていうキャラじゃないよねっ!?」
「俺はいつもこんな感じだぞ? それより次は俺達の番だ」
「私の周りってろくな奴いないわね……」