夢への一歩
柳 鈴音視点
九州地方ブロック代表の私立桜野学園は、地元ではそれなりに有名な進学高である。
私は、そこの料理部に入っている。
小さい頃から人の為に何かをしてあげるのが好きだった。料理を始めたのは中学一年生の頃、お母さんが風邪で寝込んでいる時に作ったのがきっかけだった。
料理本を見ながら作ったおかゆを、喜んでくれたのは今でも良く覚えている。
それから私は料理というものに興味を持った。
高校は料理が出来る学校を選び、いつか自分のお店を持ちたいと思うようになってきた。
そんな時、全国料理大会のことを知った。
この大会、優勝者にはなんと将来お店を開く際、手厚いサポートが受けられるらしい。
夢に近づくため、私は負けられないのだ。
特にあの唐揚げバカには。
「あっちのチームはもう始めてるようね。私達も取り掛かるわよ」
「テーマはお米だよね。何を作ったらいいのかな? 酢豚とかどう?」
「いや、ここは鈴音のスペシャルを作るべきだと思うわ」
私を含めた三人、唯と恵はそれぞれ意見を出し合う。
しかし、私はもう既に作るものは決まっていた。
「恵の言う通りアレを作るわ。あの唐揚げバカを叩き潰してやるわ」
「鈴音ちゃんあの男子生徒のことやけに気にしてない?」
「もしかしてああいうのがタイプなのか?」
「なっ! ち、違うっ!!」
「おおっ! 鈴音ちゃん顔が真っ赤だよっ!」
「遂に鈴音にも春が来たか」
「もうっ! うっさいっ! ほら、さっさと作るっ!!」
二人はニヤニヤしながら作業に戻って行った。まったく、緊張感が足りないわねぇ。
さて、私は熱した中華鍋に豚のひき肉を入れ炒め始める。
油でパリパリにすることで肉の臭みなどが消え、香りも立つ。
次に豆板醤、甘味噌、唐辛子、ラー油を投入し、よく炒まったら鶏ガラのスープを入れる。
「唯っ! アレは出来てる?」
「できてるよ〜はい」
唯は塩茹でした木綿豆腐を持ってきた。
こうすることで豆腐が崩れにくく余計な水分が出にくくなる。
豆腐を受けとった私はそれをさっきの鍋に入れ塩コショウなどで味をつける。
「よーし、そろそろ仕上げだ!」
長ネギ、山椒を入れ水溶き片栗粉でとろみをつける。
鈴音特製スペシャル麻婆豆腐の完成だ。
「こっちも出来たぞ!」
恵が作っていたワンタンスープとご飯も完成し、私達の調理は終了した。
「さあ、勝負よ! 唐揚げバカ!」」




