一回戦
料理大会一日目、午後十五時。
戦いの場所となる調理室には俺達と、柳さんのチームが集まっていた。
調理室の隅っこにはギャラリーが何人か集まっており、試合が始まるのを待っている状態だ。
「それでは、第一試合を始めたいと思います! 各学校は準備の方よろしいですか?」
静かだった部屋に審査員の声が響く。
「はい、大丈夫です」
「来たわね唐揚げバカ、サクッと倒して二回戦に行かせて貰うわよ」
「誰が唐揚げバカだ! 速水だ! 覚えろ!」
「ふふふ、悔しかったらあたしに勝ってみなさい、まあ、無理だろうけど」
「面倒くさい……」
なんか話すだけで疲れて来た。
ていうか、審査員見てないでさっさと進行しろよ。
「では、調理開始!」
さて、第一試合が始まったわけだがここで少しおさらいをしておこう。
まず、点数についてだ。
点数は【見た目】5点【味】5点【テーマ食材】5点の合計15点で評価される。
ちなみに今回のテーマ食材はお米である。お米の良さを活かした料理ほど高得点が貰える。
そして、この評価システムには俺にとって嬉しい要素があった。
それは、絶対評価システムだ。
絶対評価システムとは5点満点で評価しきれない時に、更に上の点数を貰えるシステムである。
例えば、とんでもなく美味い料理を作れば10点や20点なども夢では無いのだ。
この唐揚げなら間違いなく5点以上は叩き出せる自信があった。
「さて、唐揚げ作るか」
「今度は焦がさないようにね」
「うぐっ、分かってるよ」
俺は唐揚げを五個取り出し片栗粉をまぶしていく。
そして、180度位まで上がった油の中へ投入した。
「終わったな」
「相変わらず早いわね私達……見た目がよく見えるように千切りキャベツでも作ろうかしら?」
「おお、任せたぞ。俺はこれ以外できないからな」
佐伯さんには付け合わせの野菜とご飯を炊いて貰う事にした。
しばらくすると、唐揚げが表面に浮いて来たので全て油から上げる。
試しに一つ半分に切って食べてみた。
「う、うまいっ!! 何だこれっ!? 前のよりパワーアップしてるぞっ!?」
試しに佐伯さんにも味見をして貰った。
「ほんとねっ! 前のより更に美味しくなってるわ!!」
「よく分からないがこれなら勝てるっ!」
残り四つの唐揚げを、千切りキャベツと一緒に皿に盛り付ける。
炊きたてのご飯をセットしたら、【唐揚げ定食】の完成だ。