プロローグ
彼、夜神 仁は十数人のクラスメイトと共に、何やら石でできた部屋にいるのと、自分たちと同じくらいの年齢と思われる金髪の女の子が目の前で放心状態で突っ立っているのを理解した。
(いやいや理解したって、なんでこんな意味不明な所にいんのさ!?そこんとこ理解できないんだけど!?)
仁は十数分前のことを思い出す。
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学校の図書館に入り浸っている仁は、今日も早く登校して図書館へ行こうとしたが、図書館の前には、
『本日休館』
との立て札が。
(そんな…休館日だなんて…)
意気消沈しながらも1-Cの教室へ向かった仁は、教室の中のある人物と目が合い、しまったと内心舌打ちする。
誤解のないように言うと、特段嫌な人物というわけではない。むしろ関係は良好な人物だ。さらに言うと仁の幼馴染である。
神宮寺 雪華。
仁と同じ高校一年十六歳。クラスで一、二を争う美少女で、やたらと仁に抱きついたり話しかけたりしてくる。
「あっ、仁く〜ん。おはよう」
今日もまたそう言って抱きついてきた。
(それ自体は別に構わないんだ。構わないんだが……)
そう、他の連中の射殺すような嫉妬の視線が痛いのだ。
視線をやり過ごして自分の席に着いた仁は深いた溜息をついて机に突っ伏す。
(何故だ…何故僕にだけこんな痛い視線が集まるんだ…?教室の一番前ででアイツらはリア充爆発しろって言われてもおかしくない、いや言われなければならないような空気作ってるってのに。司と聖なら許されるってのか?…あぁ、頭が、視線が痛い…)
北斗 司と日下部 聖。高校に入ってから出会ったため、まだ付き合いは浅いが席が近かったためすぐに打ち解けた。ちなみに二人は幼馴染同士だったりする。そしていつも二人でイチャイチャしている。本人たちは自覚がまったくないようだ。
そうこうしているうちに、朝礼が始まる五分前となった。
(あれ?なんで十と数人しかいないんだ?……あ、そうか。今日野球部とサッカー部が試合で全員公欠だったな。そりゃ少ないわな)
野球部とサッカー部は仁たちの学校の中でも、最大規模のクラブだ。ちなみに仁と司は剣道部、聖は文芸部、雪華は弓道部だ。
そして担任の教師が入ってきて出席を取り始めた時、突然床から白い光が溢れ出てきて、教室内が白い光に満たされた。
仁はというと…
(山なみはもえて〜、って言うべきかな?)
…ふざけていた。勿論、一年生の彼は卒業まであと二年以上ある。
光が収まり、冒頭へ戻る。
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仁の回想が終わると同時に女の子が正気を取り戻し、唐突口を開き確かにこう言った。
「召喚に応じていただき感謝します。異界の勇者様方」