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臆病少女は世界を暗躍す。  作者: 池中織奈


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懐かしい再会

 「……え、は? あれ、てかいつの間に!? それにその名を知ってるって、君プレイヤー?」

 突然現れたリアに対し、彼、ラウルは驚きの言葉を発する。

 そう、《爆炎の騎士》、ラウルというのはVRMMO内での彼の通り名と名前である。

 リアがその反応を見て思った事はただ一つだった。この世界、転生だけじゃなくてトリップまであるんだ……、というそんな純粋な驚きだった。この世界は不思議で溢れているとリアは思う。

 「あー…、私はトリップじゃないけれど」

 「え?」

 「……トリップじゃなくて転生。元《風神》ナナ。現リア・アルナス。久しぶりラウル」

 何をかくそう、《爆炎の騎士》、ラウルはリアがVRMMOを一緒にやっていた時の仲の良かった友人である。まさか、転生した先での友人がトリップしてくるとは……と流石にリアも驚きでいっぱいだ。

 転生者のリアに、トリップ者のラウル。

 (転生者に加えて、トリップ者かぁ、この世界は面白いなぁ)

 などとリアは考える。

 リアの目の前ではラウルが驚きで固まっている。

 ちなみに《風神》というのはVRMMO時代のリアの通り名である。前世でリアはトッププレイヤーのはしくれであった。

 当時のリアは、ゲームの世界だったのもあって戦闘特化のアバターを使っていた。風を使い、槍を振り回すトッププレイヤー、それがリアであった。

 今はすっかり、こそこそやってるが、ゲーム時代はそんな感じのプレイをしていたのだ。

 「おーい、理解出来てる?」

 目の前でリアが手を振れば、フリーズからラウルが帰ってきた。そしてリアを指さして、声を上げる。

 「ナ、ナナ? 転生って、ナナ…、来ないと思ったら…」

 「うん。ナナだよ。今はリアだから。あと行かなかったのは事故死したからだよ。で、そっちは何で此処に? トリップって奴?」

 「……ああ。なんか気が付いたらこの世界で来たのつい二週間ほど前なんだよ」

 どうやらラウルは二週間ほど前にやってきたらしい。いきなりトリップとか本当にびっくりだっただろうなとリアは考える。

 (私は転生だし、この世界に16年間も居るからすっかり慣れてるけれど、いきなりこの世界に来たなら凄い戸惑っただろうな)

 リアはそんな風に考えながらラウルに問いかける。

 「……他にも来てる奴居るの?」

 「さぁ、いきなりだしわからないけど…」

 「行く場所は?」

 「あー……、ないな。ゲーム時代の親しくしてたNPCもわかんねぇし…」

 「そりゃそうだよね…」

 思わずそういって頷く。いきなり準備もなしにゲームの世界にトリップとか、行くあてもないのは当たり前だ。親しくしていたNPCがどうしているか何てわからないし、いきなり放り出されれば行くあてがなはずである。

 そもそもこの世界はVRMMOの時代よりも未来なわけであるし。

 「じゃあ、私がどうにかするよ」

 「え、いいのか」

 「うん。友人を放っておこうとは思わないし。ただ、どう説明するべきかと…」

 リアはそういって口を閉ざしてしまう。リアが初対面の人に姿を晒して面倒を見るなんてこと滅多にない。というか今まで例はない。困ってる人を助ける事はあるが、すぐに姿を消すのがリアだ。それなのにラウルを連れていくとなると、どう説明すべきか正直困る。

 前世での友人であるし、困っていたら助けたいとは思うのだけれども…。ラウルは今の私がどういう人間が知らないからか、不思議そうな顔をしていう。

 「普通に俺がナナ…いや、リアを助けたそのお礼とか…? てか、何でリアってこんな真夜中に外でてるんだ」

 「…いや、私一応これでもギルド最高ランクだし、滅多なことで危険になんないってお父さん達知ってるし。ちなみに外に来たのはギガントゴーレム倒して経験値欲しかっただけ。

 それに私普段から人助けはしても、初対面の人間を家に連れて帰るなんて事しないからどう説明すべきかと…」

 「ギルド最高ランク? え、レベル何?」

 「122。そっちは?」

 「あーっと、レベル150」

 「ゲームで言うカンストか。でもこの世界上限ないから、一番上はエルフの女王が居るよ。300以上が」

 そうゲームのカンストは150だった。でもこの世界はレベルの上限ないから、カンスト以上は結構居る。300以上って言葉にラウルが固まっている。

 リアもはじめて知った時はびっくりした事実である。

 「…マジ?」

 「うん。って、それより、まぁ、とりあえず説明困るけど一回帰ろう。

 ……お義父さんには適当に話すし、それにギルド登録した方がきっと便利」

 あんぐりと口をあけているラウルにそういってリアは提案する。このままずっと草原で話しこんでてもどうしようもないし。

 「あー、確かにな」

 「なんなら私が高ランクに推薦する」

 実際リアの時もギルドマスター経由で依頼受けてランクは余計な手続き踏まずにあげていったのだ。昇格試験の時はギルドマスターが、実力があるかどうか見ててくれた。やっぱり第三者による実力の評価ってのは大事なので、高ランクに上がる際には、高ランク者の保障は重用である。

 ラウルはVRMMOにおいて、トッププレイヤーでレベルは150ある。

 そのためXランクでやっていけるだろうし、最下位のランクからあげるのもどうだろうと思うため、推薦して少し高めのランクからやるべきだとリアは思う。尤も最初からXランクはおかしいため、それは流石にないが。

 「お前のお父さん何者?」

 「現ギルマス」

 「マジ?」

 「義理の父親だけどね。てか、ギガントゴーレムの素材はがないの?」

 「…ゲームと違ってドロップアイテムじゃないからやり方わからん」

 「あー…じゃあ、私がやる」

 いわれて見ればその通りだ。ギガントゴーレムの素材のはぎ方というか、どの部分を持ちかえるべきかとか普通にゲーム時代ではわからないことである。ゲームではドロップアイテムとして落ちたわけであるし。

 (私もはじめの頃は凄く戸惑ってたんだっけ)

 そんな風に考えながらリアはラウルの倒したギガントゴーレムに近づくと、そのまま腰から下げていた《黒雛》を取り出してギガントゴーレムから素材となりそうなものをはいでいく。

 十数分ではぎ終わり、リアは《アイテムボックス》と呼ばれる多くのギルドメンバーに使われている収納の魔法具の中に次々と放りこんでいく。

 「すげぇ手なれた様子…」

 「そりゃあ、モンスター退治なれてるから。この素材は帰ってから渡すけど、要望があるなら知り合いの鍛冶職人に加工頼むけど…。売るのとどっちがいい?」

 「折角だから、作りたい」

 「ん。じゃあとりあえず帰ろう」

 「ああ。世話になる」

 そう言ってラウルが頷き、リアとラウルは街まで戻ることになった。

 二人で街までを《瞬速》で駆けながらも話こんだ。主にリアがこの世界のゲームとの違いについて話すばかりだったけれど。



 ちなみにギルドにラウルを連れて帰ったら、「どういう関係だ?」と驚いたようにギルドマスターに驚かれたのは当然の話であった。



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