魔法具作りをやってみる
天空島から戻ってきたリアが何をやっているかといえば、魔法具作りである。
《魔法具作成》のスキルは、幾つか魔法具を作らないとスキルとして生えてこない。リアは、そういうことをやったことがないので、まだスキルを持っていないのだ。
《魔法具作成》のスキルを持っているソラトと一緒にである。
天空島から戻ったら、師匠――薬師の元へ行くと決めていたものの、天空島に行ったら、魔法具作りをしたくなったらしい。
そういうわけでソラトは大変ご機嫌である。ソラトはリアが大好きなので、リアと一緒に何か出来るだけで幸せなのだった。
「で、ソラト、魔法具、こんな感じ?」
「うん!! というか、流石リアちゃん。こういうの、要領いいよね。流石、リアちゃんだよ。それにしても俺がリアちゃんに何か教えられるってちょっとレアだよね!! ああ、もうリアちゃんが俺の前に姿を現わしてくれて一緒に魔法具作成できるとか、凄い幸せ!!」
「……はいはい。ソラト煩い。いいから、やる」
リアは飽きれたような冷めた目をソラトに向けているが、ソラトは本当に幸せそうである。
ちなみにリアは自室に人を入れるのは好きではないので、これらのやり取りはリビングで行われている。
リビングの机の上に、魔法具を作るための材料――魔物の素材などが無造作に置かれている。その中には貴重なものも大量に存在している。それらはリアとソラトだからこそ自分で狩って手に入れることが出来たものであると言えるだろう。
リアは魔法具について詳しいわけではないが、目的のためなら驚異的な吸収力を発揮するリアなので、魔法具の本を読みながら作り方を吸収していた。
魔法具とは、様々な素材を用いて、陣を描き、魔力を操り、魔法のようなものを道具に施したものである。リアたちが使っている《アイテムボックス》もそうやって作られた魔法具である。流石に《魔法具作成》のレベルが低いソラトやまだスキルが芽生えていないリアには《アイテムボックス》がまだ作れない。
「ソラ兄、リア姉、洗い物終わったから私もやっていい? 私も《魔法具作成》のスキルほしい」
「ん、いいよ」
「リアちゃんがいいならいいよ」
「え、えっと、私はどうしたら?」
ネアラもソラトとリアに混ざることを希望した。その横でヴィヴィヨンは自分は何をしたらよいのだろうかと戸惑いを見せている。
奴隷としてしか生きてこなかったヴィヴィヨンには、今の暮らしが夢のようだった。何かを強制されることもない、不思議な暮らし。自分を買ったのに必要な時しか関わってこないリアも、奴隷のヴィヴィヨンに家族のように接するネアラも、精霊が見えたとしても気にした様子がないソラトも――全部が全部不思議だった。
精霊たちから精霊という存在を見えることを知られたら大変だとずっと言い聞かせられていた。そして精霊のお眼鏡にかなったのがリアだった。実際にこの暮らしはとても平穏で、それでいて不思議である。
彼らはヴィヴィヨンが精霊が見えることを知っていても、態度が変わらない。リアはヴィヴィヨンを強くなろうとして利用はしているが、それは嫌な利用の仕方ではない。あくまで自分の手でリアは強くなろうとしているからなのかもしれない。
「ヴィヴィヨンも一緒にやりましょう。いいでしょう、二人とも」
「ん。好きにすれば」
「俺はリアちゃんがいいならそれでいい」
……ソラトはリアがいいならそれでいいしかさっきから発言していない。あくまでもリア至上主義のソラトらしいと言えるだろう。
そんなこんなで四人でせっせと魔法具作成をする。何事もコツコツと行い、精霊への対策や天空島の上部への対策に向けて行動するリアがまず作ったのは簡単な魔法具からである。光をともす魔法具などといった生活に基づくようなものだ。
ただスキルというものは少しそれをかじっただけでは、生えるものではない。もっとたくさんのものを作る必要があるだろう。
「コツは掴んだ。あとは地道にやって、スキルをはやす」
リアは一度魔法具作成をしただけで少しコツをつかんだらしい。地道にこれからちょくちょく進めて、スキルを生やすつもりらしい。
魔法具という生産系のスキルを生やすのも、あくまで強くなるためというのがリアらしい。
「そして精霊対策と、天空島対策の魔法具をちょっとずつ作る」
すぐは難しいことはリアだってわかっている。だからといって諦める理由はリアにはない。
その発言のすぐあと、リアは出かけるといって家から出て行ってしまった。ヴィヴィヨンはリアのことを風のような人だと思う。気づけばそこにいて、気づけば去っていく。そんな忙しい人である。
(……こういう人だから精霊が気に入っているんだろうなぁ。リアさんは精霊が敵対した時のことを考えているみたいだけど、精霊は面白いリアさんを気に入っているからそういうのなさそうなのに)
ヴィヴィヨンはそんな風に考えていた。
ヴィヴィヨンの考えている通り、基本的に精霊は面白い存在であるリアと敵対などは考えていないだろう。とはいえ、絶対にそうとはいえない。その万が一の可能性があるからこそリアは対策を練っているのであった。




