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状態異常使い、敵を溶かす。~状態異常ビルドのVRMMO~  作者: MEはCat
【第五章】新大陸より

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こいのぼり

 それは巨大な青い鯉であった。

 鱗は水晶のように透き通っており、まるで()()()のような姿をしている。

 身体の周囲には細かな水流のようなものが渦巻いている。

 コイ=ノボリは俺達を迎撃しようと、大きな滝から飛び出していた。


「バンダナ! こいつの()()だ!」


 俺は抵抗もせず、コイ=ノボリの体当たりに身を委ねる。

 鱗に手をかけ、その身体にしがみついた。

 バンダナも俺の意図に気が付いたのか、同じく身体にしがみつく。


「……っ! 体力が……!」


 コイ=ノボリの身体に触れるだけでも、ダメージを喰らい続けている。

 この細かな水流が逆鱗のように、触れる者を傷付けているのだ。


 だが、このまま水面に叩き落されて即死しないだけマシだ!







 ドッゴォォォォォォォン!!!








 俺達はコイ=ノボリと共に大瀑布の下まで落ちていった。

 水飛沫が宙を舞い、水爆が空気を轟かせる。

 何とかして冷たい水中から顔を覗かせると、そこには小舟が浮かんでいた。


「乗って!」


 俺は一足早く上がっていたバンダナに引き上げられた。


「小舟はもう1艘作ったのか?」


「うん、さっきのは落ちて砕けちゃったから」


 俺は上級回復ポーションを飲み干しながら、周囲を見渡す。

 突然現れたコイ=ノボリのお陰で一命は取り留めたとは言え、あのボスが何もしてこないとは思えない。

 警戒を怠るな。


「バンダナ、あと何艘小舟作れる」


「3艘が限界」


「十分だ」


 流石に水中で戦いたくは無い。

 かと言って長期戦に持ち込まれれば、先に小舟が破壊され尽くしてしまう。

 先に進む為、少なくとも1艘は残しておきたい。

 残基は今乗ってる1艘と追加の2艘、小舟が全て潰される前にエリアボスを倒す。


 肝心のコイ=ノボリは何処に潜んで――――


「バンダナ」


「分かった! 【家具製作】!」


 俺達は遠くへ生成された小舟に向かって大きく飛び乗った。

 次の瞬間、後方で水飛沫が飛び散る。


「グモォォォォォォォ!!!」


 姿を現したコイ=ノボリは天高く飛び上がった。

 そのまま水面へと自由落下する。

 巨体が水面に叩き付けられ、空を切り裂く轟音と共に波が押し寄せる。


「なんて奴だ……!」


 ただでさえ不安定な足場に、水中からの巨体に身を任せた攻撃。

 これじゃ小舟がいくらあっても足りないぞ。


「【雷鯉】!」


 バンダナは『三叉矛槍』を水面に浸し、小さな雷の鯉を放出した。

 小さな雷の鯉は水中で放電し、雷光が迸る。


「グモォ?!」


 その雷撃で感電したのか、コイ=ノボリは水面から顔を覗かせて悶える。


「出すのは頭で良いんだな?」


 バキュン!

 バキュン!

 バキュン!

 バキュン!


 俺は『魂縫双銃』の引き金を引きまくる。

 蒼白なる弾丸を連射し、その眉間へと撃ち込んだ。


「まだまだ止まらないよ! 【雷鯉】!」


「ここで押し切る」


 バンダナはコイ=ノボリを逃さぬよう、追加で小さな雷の鯉を放出し続ける。


 バキュン!

 バキュン!

 バキュン!

 バキュン!


 どうだエリアボス!

 感電と麻痺で全く動けないだろ!

 そのまま消し飛べ!


「グモォ! グモォ! グモォ!」


 弾丸の雨に耐え切れず――――


 バカンッ!


 コイ=ノボリは破裂した。


「……何だ?」


 倒したって雰囲気じゃねぇな。

 まるで手応えが無い。

 ログすら全く出てこない――――

 つまり、戦いはまだ終わっていない。


「赤月! あそこ!」


 バンダナに言われて上を見上げる。

 すると、太陽に隠れて()かが宙を泳いでいた。


「グガァァァァァァァァ!!!」


 その太陽に重なる影は、形容しがたい威圧感を伴ってゆっくりお降下して来た。

 先程までの巨大な青い鯉とは、明らかに姿が違う。


 細長く伸びた胴体に、頭部の左右からは長い2本の角。

 砕け散ったはずの水晶の鱗は、今や刃のように鋭く逆立ち、日光を浴びて煌めく殺意を放っている。


 そして何より――――

 背中には、翼のように広がる巨大な水膜があった。


「鯉……じゃねぇな」


 鯉には苦難を乗り越えた先で()へと成る――――

 そんな伝承が脳裏に浮かぶ。

 滝を昇り切り、天へ至る為の姿。


 まさしく、龍。


[第二形態へ移行]


 ビキ、ビキビキビキッ!


 空中に浮かぶ怪物の全身から、青白い亀裂が走る。

 体内に秘める水圧と魔力を押し出すが如く――――


「伏せろ!」


「グガァァァァァァァァ!!!」


 絶叫と共に、コイ=ノボリの全身が弾けた。

 飛来するは、最初の姿を形作っていた、飴細工めいた水晶の外殻だった。

 無数の破片が豪雨のように降り注ぎ、水面に突き刺さる瞬間、鋭い水柱を噴き上げる。


「掠っただけでヤバそうだな」


 小舟の縁が抉れ、木片が削り飛ぶ。

 先程までの体当たりとは比べ物にならない程の威力だ。

 命中率はそこまでだが、その破片1つ1つが砲弾とそう変わらない。


「グルルルルル……」


 コイ=ノボリはこちらを睨み付け低く唸る。

 すると――――


「えっ?!」


 俺達の小舟ごと、水面が浮かび上がった。

 水そのものを巨大な手のように、一斉に小舟を持ち上げていく。


 バキュン!

 バキュン!


 俺がコイ=ノボリに向けて蒼白なる弾丸を放とうとも、全く怯みもせず徐々に小舟が上昇していく。

 それ所か、口の中へ周囲の水が渦を巻いて集まり始めた。


 水を圧縮し、 収束し、 凝縮していく――――


「【家具製作】!」


「グガァァァァァァッ!!!」


 その瞬間、極太の水砲が放たれた。


 ズドォォォォォォォォンッ!!!!


 空気が裂け、視界が白く染まる。

 俺達がいた小舟は、跡形もなく消し飛んでいた。


「……っぶねぇぇぇぇぇ!!」


 俺は空中で身を翻し、辛うじて別の小舟へと飛び移る。

 バンダナも転がるように着地し、体勢を立て直す。


「このボス……強い!」


「いいぜ、ヒリヒリしてきたなぁ! おい!」


 マイセラ=ファガスの時はそこまで楽しめなかったが、やはりボスは一度のミスで終わるヒリヒリ感が素晴らしい。


 闘志を刺激させてくれるボスは大好きだぜ?


 だが……いや、だからこそ、今回は商品となるポーションは使わない。

 単純に商品を使いたくないってのもあるが、安易に楽して勝つボス戦なんてつまらんだろ。

 出来る限りポーションは温存する。


「ぐぬぬ……何か弱点とか無いのかな?」


「弱点と言えば、あの()が怪しいな」


「角?」


 頭に伸びている2本の角。

 コイ=ノボリが攻撃する一瞬、角が発光していた。

 単なる攻撃予測かと思ったが……あの角が大規模な水操作を可能としているのだとしたら――――


「確証は無いが、壊してみるしか無いだろ」


 コイ=ノボリは再び天へ昇るように身をくねらせ、飴細工のような水晶外殻の破片を浮かばせる。


「グガァァァァァァッ!!!」


 荒れ狂う咆哮を轟かせながら、水晶外殻の破片を一斉に発射した。


「【大津波】ッ!」


 バンダナは『三叉矛槍』を飛来する水晶外殻の破片へと向けて、勢い良く水流を放出する。

 水晶外殻の破片は勢いを弱めながら、次々と水面へと撃ち落とされていく。


 バキュン!

 バキュン!

 バキュン!

 バキュン!


 その隙を狙うようにして蒼白なる弾丸を連射する。

 向かう先は勿論コイ=ノボリの角!


「グガァッ?!?!」


 角は容易に砕け散る。

 コイ=ノボリは余りの衝撃に大きく怯み、水面へと自由落下していく。


「終わりだよ! 【雷鯉】!」


 バキュン!

 バキュン!

 バキュン!

 バキュン!


「グガァァァァ………!」


 俺とバンダナは、動けなくなったコイ=ノボリに猛攻を仕掛ける。

 雷撃と銃撃が轟音を掻き鳴らし、伝承の怪物は息を引き取った。


[エリアボスを撃破しました]

[水天昇鯉 コイ=ノボリを倒しました]

[『水天昇の龍玉』を入手しました]

[『龍成昇華の水膜衣』を入手しました]

[5000HGを入手しました]

[ランク33になりました]

◆◆◆◆◆◆◆◆◆


名前 『赤月の夜』赤月

階級 ランク33

所持金 35800HG(1700BP)

武器 魂縫双銃【魂吸収弾】

武器 魂縫双銃【魂吸収弾】

防具 縫魂礼装【魂枯渇転化】(紅砂のガンマン)

装飾 腐王鴉の眼核【死肉の王眼】

装飾 毒蜜女王の毒腺輪【紫蜜ノ血】

装飾 嵐角雷環【嵐角誘雷】


ステータス

体力 290

魔力 185

攻撃力 100

防御力 30

素早さ 50

毒効力 1毎3(+1)

吸収効力 1毎2

麻痺効力 10%

自動魔力回復 1秒毎4(+1)

状態異常命中 +140%

状態異常耐性 +30%


職業

遺物調薬師 熟練度3

【遺物調薬図鑑】【脆弱化】【遺物調薬観察眼】


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

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