屍人が舞い、死骸が残り、死人が焼かれる
『埋葬庭園(外縁墓地)』
踏み入れた瞬間、靴裏にじわりとした感触が纏わり付く。
低く傾いた墓石が規則も無く点在しており、どれも雨風に削られたのか、刻まれていたはずの名前は殆ど読めない。
風が吹く度、どこかで土が崩れる音が響く。
ふと振り向いても何もない。
確かに何かが動いた気がするが、姿は無かった。
「中々不気味なダンジョンだね」
「こういうの苦手かしら?」
「オジさんに怖い物は無いさ。ただ、ここが興味深いだけだよ」
玩具戦士が軽く屈んで地面を触ると、非常に土は柔らかかった。
まるで何度も掘り返された後のように、不自然に沈む。
「ぐがぁぁぁぁぁぁ!!!」
突然、それは地面から死体だったはずの存在。
そう、ゾンビが出現した。
皮膚が焼け爛れており、苦しそ――――
バコンッ!
[屍人を倒しました]
[100HGを入手しました]
玩具戦士は何の躊躇いも無く、屍人を殴り飛ばした。
屍人は強烈な一撃に耐えられなかったのか、上半身が消し飛ぶ。
「これじゃどっちがモンスターか分らんな」
「同意見だ」
「同じく」
「よく躊躇無いわね……」
「これオジさんが悪いのかい?!」
数多のゲームの中で、ホラーゲームと呼ばれるジャンルがある。
それは暗い場所で怪物や怪異から逃げたり、お化け屋敷のようにプレイヤーを驚かせるイベントだったり――――
とにかく人を怖がらせ、ビックリするのを楽しむゲームだ。
そんなホラーゲームの怖さを半減させる方法がある。
その1つがプレイヤーに武器を与える事。
化け物への対抗手段があれば、一気に怖さが消えるのだ。
そして、その武器がパワースーツであれば尚更怖さなんて感じるはずが無い。
何ならパワースーツの方が怖い。
「もしかして、そんなに難易度高くないダンジョンなのかしら?」
「……僕様も薄々そう感じてきたぞ」
「俺、これが終わったら紅茶をがぶ飲みするんだ……」
「兄貴、つまらないからってフラグで危機を召喚するの辞めてくれ」
この調子じゃ俺必要無かったかもしれないな。
余程の事が無い限り、玩具戦士だけでもダンジョン攻略出来そうな気がするぜ。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
『埋葬庭園(内周墓地)』
「……………………」
前言撤回。
起きたわ余程の事。
「いつの間にか……皆居なくね?」
俺がはぐれたのか、皆が俺を置いていったのかは分からない。
ただ覚えている事は――――
突然霧が立ち込め、次の瞬間、自分1人になったという事だ。
これでは連携など機能しない。
マップの表示がいつの間にか『埋葬庭園(外縁墓地)』から『埋葬庭園(内周墓地)』へと変わっていた。
ここの霧は濃く、灰色と呼ぶには黒い。
墓石は外縁墓地よりも巨大化しており、形もどこか歪んでいた。
傍には死骸が転がっていた。
既に白骨化しており、その骨も微かに風化している。
かなり前に息絶えたのだろうか。
「これは……」
[『導きの電灯』を入手しました]
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導きの電灯
それは、宇宙調査隊が使用していたとされる懐中電灯。
前方を照らしたり、隠れている物や存在を発見するのに役立つだろう。
最早伝説と化した宇宙調査隊。
その結束を示す証。
だが示す相手がいなければ、それは証とは呼べない。
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「……とんでもない裏設定覗き込んだ気がする」
情報を整理してみよう。
聞いた話によると俺らは『アマテラス社』に所属する遺物ハンターという事になっているらしい。
その『アマテラス社』が遺物ハンターとして俺達を雇ったって設定があるから、俺達がこの世界に居る訳だ。
ではその『アマテラス社』は何故、ここの世界を開拓したいのか。
この世界に価値があるからだ。
――――何故価値があると分かったのか。
勿論、ただの一攫千金って理由でもおかしくない。
だが他の会社もこの世界に遺物ハンター、つまりプレイヤーを送り込んでる訳だろ?
それはこの世界に何かがあると確信していたからだ。
「んで、その事前情報を提供してくれた先駆者が――――宇宙調査隊って事か」
これはただの考察に過ぎない。
だが、そう考えると妙に納得してしまうな。
この白骨死体の奴が、その宇宙調査隊の一員なのだろう。
探索中に迷い込んで亡くなったか。
「じゃ、これは有難~く頂戴するか」
どうせ死んでしまったら使い手が居ない。
それなら、生きてる奴が有効活用した方がいい。
カチリ。
ボタンを押すと、前方に光が灯った。
……死骸になっている程時間が経ってるはずなのに付くものなんだな。
SFの超パワーは凄いって事にしとくか。
先へと進んでいくと、微かだが戦闘音が耳に入る。
少し先には橙色の炎がゾンビを焼き尽くしていた。
「ふはははは! どうだ喚くだけの死人共! 心配せずとも、この僕様が貴様らを火葬してやろう!」
まおうの両手には『滅界双炎』が握られており、瞬時に敵を焼却する。
無数のゾンビを華麗に業火へと引き込むその様は、まるで本当の魔王のような威圧感を放っていた。
[屍人×9を倒しました]
[900HGを入手しました]
普段がポンコツなだけで、戦闘になると普通に強いな。
まおうに対する見直しが必要なのかもしれない。
「む、強敵の気配……そこか!」
「よぉ、加勢は必要無さそ――――
え?
5人の描写って難しいよね……。
あっ閃いた……!
強制的に分断させればいいんだ!
次回、赤月タヒす!
デュエルスタンバイ!
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名前 『赤月の夜』赤月
階級 ランク28
所持金 48000HG(1700BP)
武器 災極双転銃【極性災雷】
武器 災極双転銃【極性災雷】
防具 災雷纏装【極性増幅】(紅砂のガンマン)
装飾 腐王鴉の眼核【死肉の王眼】
装飾 毒蜜女王の毒腺輪【紫蜜ノ血】
装飾 蜂王の統率環【群体支配】
ステータス
体力 150
魔力 150(+25)
攻撃力 60(+10)
防御力 50
素早さ 40(+10)
毒効力 1毎3(+1)
自動魔力回復 1秒毎4(+1)
状態異常命中 +100%
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