トーナメント 閉幕
本日2話投稿目!
[決勝戦 終了を確認しました]
静寂。
先程まで空間を震わせていた激突音も、熱気も、全てが嘘のように消え去っていた。
ただ一人――――
戦場の中央に立つその存在だけが、存在していた。
最後まで立っていたのは、やはりあの男だった。
ヒーローは全身にダメージの痕跡を残しながら、それでも尚、崩れない姿勢を取り続ける。
その背中は、あまりにも頂点という言葉が似合っていた。
「――――勝者、ヒーロー」
仮面の案内人の声が、静かに、そして明朗に響く。
「第一回武闘祭、トーナメント優勝者は――――ヒーローと決定しました」
その瞬間、遅れて空間全体に歓声が満ちる。
拍手、歓喜、驚嘆――――
様々な感情が入り混じった音が、波のように押し寄せた。
それは敗者からの悔しさを含んだ敬意であり、観客からの純粋な称賛でもあった。
「おめでとうございます、ヒーロー」
突然、仮面の案内人がホログラムとして出現する。
そして、一歩前に出る。
「貴方には優勝報酬として、特別称号――――『頂点に立つ者(初代)』を授与します」
ヒーローの頭上に淡く光るエフェクトが現れる。
それはただの称号ではない。
第一回武闘祭の優勝者にのみ与えられる、唯一無二の証。
――――初代。
この先どれだけ武闘祭が続こうとも、この名を冠する者は一人しか存在しない。
「また、本称号は特別な着せ替え機能を有しています。外見としてその栄誉を示すことが可能です」
着せ替え機能。
それは見せびらかせる実績に他ならず、それはプレイヤーにとって、何より魅力的なステータスに違い無かった。
「続いて――――特別賞について」
案内人は視線を全体へと向ける。
「本イベントにおける各種特別賞は、イベント終了後、該当プレイヤーへ個別に配布されます」
誰が何を貰うのか。
その詳細は伏せられているが、それもまた一つの楽しみとなるだろう。
「そして――――本イベントに参加した全てのプレイヤーへ、参加賞として1000BPを配布します」
ざわりと空気が揺れる。
「BPは専用ショップにて、各種着せ替えとの交換が可能です。戦いの記念として、是非ご活用下さい」
例え敗者であろうと、ここまでイベントを盛り上げてくれたのは各プレイヤー自身に他ならない。
頑張って戦ってくれた者への、微かな感謝の気持ちだ。
仮面の案内人は、ゆっくりと両手を広げる。
「――――以上をもって、第一回武闘祭、全日程の終了を宣言します。本イベントにご参加頂いた全てのプレイヤーの皆様へ、心より感謝を」
光が、空間を満たす。
イベントホール全体が、淡い輝きに包まれていく。
「そして――――」
ほんの僅か。
仮面の奥で、彼が愉悦そうに笑っているような気がした。
「また次なる戦いの場で、お会いしましょう」
[イベントが終了しました]
[元の空間に戻ります]
視界が白く染まる。
イベントは終わりを迎え、各々の場所へと帰っていく。
第一回武闘祭、閉幕。
その記憶は、決して消えることはない。
これにて、第三章終了致します!
ここまでご覧下さった皆さん、誠にありがとうございました!!!
第四章も是非ご覧下さい〜




