絶大なPSの代わりにある物を致命的に失った者
その者は目隠しを付けており、視線が読めない。
その者は声が聞こえた距離より遥かに近い距離に詰めて来ていた。
その者は両手に短剣を構えており、本来のゲームシステムとは有り得ない事を平然としていた。
何かのスキルで両手持ちを可能としているに違いない。
だがそれ以上に素早いな。
遺物の装備に素早さのステータスを多く盛っている可能性がある。
まだ俺は見かけた事を無いが、そんなステータスがあっても不思議ではないだろう。
「……で、キルしないのか?」
「そのつもりは無い。ただ、どんな奴か一目見ておきたかっただけだ」
そのプレイヤーの名前は"蛇者"。
実力者な事には違いないが……読めないな。
「一目見て分かった。あんた只者じゃないな」
「……それ俺がお前に言う台詞じゃないか?」
「お褒めに預り光栄だ。が、あんたの判断力と分析力、それに加えて純粋なPS……確かにBANが敗れる訳だ。一瞬こちらの判断が鈍れば、撃ち抜かれていたのは俺の方だったろう。……うん、いいね」
「なんか語り出してる……怖っ」
こいつ、自分の分析をベラベラ話すタイプか?
しかも、急に感動して急に自己完結してるし……。
「よし、パーティを組まないか?」
「急に?! いいぞ」
[プレイヤー 蛇者からパーティ申請を送られました]
[承認/拒否]
こいつの考えてる事全く読めないが、ひとまずは承認しておいた。
パーティ中はFFが出来ないようになっているから、突然襲い掛かるなんて事はしないはず。
「ところで、あんたはこの『ムシムシ密林』で何をしてるんだい?」
「探索兼ランク上げみたいな所だ。後、ここの街を見つけておきたい」
「なる程! いいね!」
「……………………」
「……………………」
「もしや、お前会話下手か?」
「ごふぁっ……!」
あっ傷ついた。
「あ~いや、ごめん、ついうっかり」
「い、いいんだ。慣れ……慣れてる」
……本当か?
さっき精神的なダメージ喰らってたような気がするが。
何なら吐血する程のダメージを――――
「よし、なら探索を進めようか。その方がいい」
「……そうだな」
俺達は『ムシムシ密林』の奥地へと向かって行った。
この密林の地形は本当に複雑そのものだった。
来た道すら忘れてしまう程、入り乱れている。
「赤月、ここさっき来た所じゃないかい?」
「そんなはずは……あるわ。さっき来たなここ」
本当に分かり辛いマップ構成してるなこの密林。
おまけに巨大な虫モンスターが大量に出現すると来た。
「うーむ、これギミックあるんじゃないかい?」
「だよな。どう考えたってそれしかない」
またギミック系か……前、『巨壁回廊』で似たようなのやったぞ。
「……何か居るね」
蛇者が顔を向けた先には小さな妖精のような存在が浮いていた。
その妖精に近付くと、直ぐに姿を消してしまう。
[クエスト「妖精の哀歌」を受注しました]
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妖精の哀歌
達成条件 ???の討伐
報酬 5000HG、???
依頼内容
人間さん、助けて!
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[妖精に付いて行ってみよう]
そして、突然クエストが発生した。
確実に何かあると見て間違いない。
その上、報酬5000HGと謎の報酬……確実に厄介事の気配がする。
「……にしても、良く気が付いたな」
「ふふん、俺のこの『心眼の目隠し』のお陰さ。これには【千里眼】のスキルがあって、双眼鏡みたいに遠くまで見れる代物なのさ!」
「凄い細かな説明ありがとう」
俺に手の内明かしてもいいのか……?
圧倒的なPSでカバーするから無問題ってか、羨ましい奴め。
――――あ、いや違う。
こいつ自慢したいだけだ!
物凄く鼻を高くしてやがる!!!
「行くぞ」
「俺に任せるといいぞ!」
「おぅマジで頼りにしてる」
「滅茶苦茶やる気出てきた!」
木の根に引っ掛かって転んで鼻折れればいいのに……。
――――PSで回避するから問題無いって?
最悪が過ぎるぜ。
蛇者降臨!
・PSムチャ強
・目隠し
・口下手
・自慢野郎
うーんこの()
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名前 赤月
階級 ランク18
所持金 8940HG
武器 蒼天機兵の蒼炎刀【蒼炎点火】
武器 血酸嘴砲【血腐食霧】
防具 血羽の屍外套【死肉伝播】
装飾 腐王鴉の眼核【死肉の王眼】
装飾 粉砕機兵の圧壊輪【大震撃】
装飾 蒼炎の炉心核【蒼炎燃焼】
ステータス
体力 80
魔力 80
攻撃力 60
防御力 20
自動魔力回復 1秒毎2
状態異常命中 +60%
状態異常耐性 +40%
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