光と炎の決闘
「――――っぶねぇ!」
俺は身を翻してその光を躱す。
元居た場所の地面には、抉られた灼熱の切断跡が残されている。
回避していなければ、あの一瞬で決着がついていた。
「……へぇ」
BANがこちらを見据える。
「今の、ちゃんと見て避けはりましたか。中々反応ええですねぇ」
BANの方向を見やると、持っている「柄の無い剣」の先から光の刃が飛び出していた。
『星断の光子剣』は自在に長さを変更出来るようで、例え俺が何処に居ようと全て攻撃範囲と成り得るのだ。
バンバン!
俺は回避と同時に酸弾を発射する。
BANは細かく弾を躱そうとするが、そこは【血腐食霧】の射程圏内だ。
「……あぁ、なるほど」
BANは自分の状態を確認するように呟く。
「腐食に出血……その上、遅れて効いてくるタイプですか。いや、なかなか性格出てますねぇ、そのビルド」
「【蒼炎点火】」
『蒼天機兵の蒼炎刀』へ切り替え、一気に距離を詰める。
「【光刃】」
ジリジリジリッ!
「……っと」
だが【光刃】に受け止められ、弾かれる。
ブォンッ!
ブォンッ!
距離を離された状態で2連の斬撃。
紙一重で躱すのと同時に――――
バンッ!
俺は反撃の一発を撃ち込む。
だが、あまり散布する【血腐食霧】を避ける様子は無い。
「君、よう出来てますわ」
BANは淡々と分析するように言う。
「先程の状態異常に加え火傷……重ね掛けで削り切る設計やね」
BANには火傷が刻まれていた。
例え刀身に触れなくとも、蒼炎にさえ当たれば火傷の状態異常を与える事が可能。
これにより、【光刃】の威力を抑制するに至る。
この状況を見て、BANは薄く笑う。
「それにしても、陰湿やなぁ。嫌いちゃいますけど」
「そういうビルドなんでな」
「ええやないですか。勝つために最適化してる。合理的で、私は好きですよ。そういうの」
瞬間、武器を切り替える。
手に現れたのは――――
掃除機のような遺物だった。
「ただ――――通じる相手、間違えてはりますけどね」
次の瞬間――――
「【渦巻】」
俺の身体は宙に浮いていた。
ブォンッ!
「ちぃっ!」
BANはその機を逃さない。
宙に浮いた俺を狙い、【光刃】が襲う。
ギリギリで受け流すが――――
「ほら、やっぱりそうなる」
淡々と、そして冷酷に呟く。
「空中やと回避行動、制限されますもんねぇ」
「ちっ……!」
「【渦巻】」
再び【渦巻】を発動するが、今度は一気に遠くまで吹き飛ばされる。
ブォンッ!
ブォンッ!
ブォンッ!
3回、【光刃】を振る。
その猛攻に耐えきれず、腕に一撃が入った。
「やっと当たりましたね」
その一撃で多くの体力が減ってしまった。
だが、流石に即死とまでは行かなかったようだ。
「火傷のせいで、出力落ちてるな。残念やわ」
だが、あの掃除機は不味いな。
あれは相手を吸引や放出する事が出来る代物だ。
単純、それ故に脅威。
『風魔掃除機』の発動中、強制移動を強いられる。
その上で【光刃】の猛攻を掻い潜り、反撃しなければならない。
「【蒼炎燃焼】」
俺はBANの状態異常を一つ解除して自身の体力を回復。
その直後に駆け寄ろうと足を進めるが――――
「無駄ですよ」
即座に【渦巻】によって押し出されてしまう。
その隙を狙って【光刃】が襲いかかり、頬を掠める。
「多分言うても無駄だろうけど……」
BANは少しだけ声のトーンを落とし、一歩詰める。
「もう諦めたほうがええで。君じゃ、勝たれへん」
「悪いが、俺の辞書に「サレンダー」は無い」
「でしょうね。そういう顔してはりますもん」
BANは勝ちを確信し、少し笑みが溢れる。
そして、静かに構えた。
「ほな、終わりにしましょか。【渦巻】――――」
バンッ!
酸弾が直撃した。
「……っ!」
お前【渦巻】の最中、一歩も動いていなかったろ。
一言に吸引や放出と言っても、それをやるには一瞬の溜めが必要なはずだ。
「この――――」
「【大震撃】ッ!」
その瞬間、BANは気絶状態――――
無防備となる。
たった1秒、されど1秒。
さりとて、俺がトドメを刺すには十分過ぎる時間だった。
[プレイヤーネーム 赤月が決闘に勝利しました]
状態異常vs初見殺し
決着っ!
やっぱ悪役同士の戦いだろこれ()
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名前 赤月
階級 ランク15
所持金 6240HG
武器 蒼天機兵の蒼炎刀【蒼炎点火】
武器 血酸嘴砲【血腐食霧】
防具 血羽の屍外套【死肉伝播】
装飾 腐王鴉の眼核【死肉の王眼】
装飾 粉砕機兵の圧壊輪【大震撃】
装飾 蒼炎の炉心核【蒼炎燃焼】
ステータス
体力 80
魔力 80
攻撃力 60
防御力 20
自動魔力回復 1秒毎2
状態異常命中 +60%
状態異常耐性 +40%
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