ここは何処?
「不味いな……完全に迷子になってる」
俺は今何処に居るんだ。
『導きの電灯』を使っても暗いのは相当だぞ。
それに何か知らんが、地図の表記も塗り潰されてる。
元の場所に戻れる気すらしないな。
ザッザッザッ……。
ふと足音が聞こえた。
何者かは知らんが、後を付けてるな。
モンスターか、それともプレイヤーか。
「……………」
ふと『導きの電灯』の光を消す。
光が消えた事により、周囲に闇が満ちる。
追跡者は『導きの電灯』を持っていないのか、焦るように足音を響かせていた。
ピカッ。
「ま、眩しっ!」
「はい見つけた」
俺の後を追跡していたのは、いかにも女海賊のような風貌をした女性プレイヤーだった。
突然の光に思わず目を細めている。
プレイヤーネームは“マヨ船長”か。
「何で後を付けてたのか、教えて貰おうか?」
「まさか、こんな簡単に見つかってしまうとは……」
「良いか。俺はこの光を消して『やみ森』中をガンダッシュし、お前を置いてけぼりにする事だって出来るんだ……全部吐いて貰おうか?」
「分かった、教えるって! 教えるからその眩しいの退けて――――まぶ、眩しっ!」
分かれば宜しい。
俺は光を退けた。
「全く、色んな奴と出会ってきたが、そんな脅し方をする奴はアンタが初めてだぞ」
「なら、お前の知り合いは相当可愛げがあるんだな」
「可愛げ……あれに可愛げなんてあるのか?」
「俺の予想だが、お前『セイレーン社』の連中だな?」
「……良く分かったな」
そりゃ風貌と名前からして女海賊だからな。
南の『セイレーン社』は噂話から、賊っぽいイメージを頭に浮かべていたんだ。
そして俺の考える、まさしく『セイレーン社』のプレイヤーが目の前に現れた訳だ。
「何でまたこんな所に居るんだ?」
「それは……言わないと駄目か?」
「言わないとクラウチングスタートの構えを取るが?」
「分かった、ちゃんと言うよ。言うからその準備体操を止めるんだ!」
何だ言うのか。
今からガンダッシュしようと思ったのに。
「実は――――突然、あるプレイヤーの行方が分からなくなってな」
「バンダナとスカーフか?」
「そう、うちのバンダナとスカーフがうちの所から居なくなったから、新大陸中を探し回っ――――今何て言った?」
やっぱりそうか。
その風貌と名前からして、バンダナとスカーフが前所属していた『荒波海賊団』の者だな。
俺の目に狂いは無かったって訳だ。
「バンダナとスカーフなら出会ったぞ。南から逃げて来たらしいな」
「逃げっ……! ……そうか、そうだったのか。そりゃそうだよな」
ふとマヨ船長は寂しそうな表情を浮かべる。
きっと心当たりがあるんだろう。
南の横暴は噂話として広がってるレベルだ。
その場所を嫌うプレイヤーだって出てくるはずだろ。
「アタシは……彼らに安全な場所を提供してやれなかった。本当に悔しいよ」
「確か『荒波海賊団』、『黒潮組』、『彼岸会』に勢力分かれてるんだっけ」
「そうだ。そして、アタシが『荒波海賊団』船長だ」
新大陸に来てまで勢力争いか。
ただ武勇を高め合うだけなら大好物だが、ドス黒い争いは好みじゃないな。
ゲーム何だから、もっと気楽に遊べば良いのに。
どうして人々は緩さを忘れてしまうんだ。
「……2人に会わせてくれるか?」
「それは断らせて貰う。意地でも会いたいなら、自力で見つけるんだな」
俺は彼らの意思を尊重している。
南の連中が嫌で飛び出したのも否定しないし、それを傷付ける行動も取る気は無い。
ただマヨ船長の行いを止める気も無い。
彼女の後悔も分からなくは無いからな。
その上で、いざこざは当人同士でケリを付けるべきだぜ。
「……ところで、ここの出方分かるか?」
「奇遇だな。アタシもそれをアンタに聞き出そうとしていた所だ」
「なる程、お互い迷子って訳だ」
「どうやらその様だな……この状況、不味くないか?」
「不味いな。凄く不味い。例えるなら珈琲くらい不味い」
俺達はお互い格好付けているが、内心物凄く焦ってる。
本当に焦ってる。
ヤバい、本当にヤバい。
「もし……もしこのまま出られなかったら……」
「辞めてくれよ悪い冗談は」
マジでどうしよう。
今、汗ダラダラだよ?
少なくとも元の場所に帰れないよな……これ。
「1つ提案なんだが……少なくとも『やみ森』から出られるまではパーティ組まないか?」
「そーだな……あぁ、そうしよう」
[プレイヤー マヨ船長からパーティ申請を送られました]
[承認/拒否]
迷わず承認を押した。
まさか、過去一緊張感のある旅になるとは思いも寄らなかったな……。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
静寂に包まれた『やみ森』に足音が響き渡る。
これ程静かであるが故に、その音がやけに明朗に聞こえるのだ。
「ここは不気味なフィールドだな。地蔵に石灯篭、そして石畳か」
「やけに和風なんだな」
ホラーはホラーでも、和風のホラーマップのようだな。
『埋葬庭園』では洋風のホラーマップだったからか、ここらで味変してきたな?
ボワッ。
「キャッ!」
「突然女の声出すんだな」
「失礼な! アタシは女だよ!」
ふと人魂が現れた。
蒼白の色をしており、ゆらゆらと揺れ動いている。
『生者よ、私の頼みを聞いては貰えぬか』
「報酬次第だ」
『報酬はここから出る方法だ』
「なんなりと聞いてやろう」
それは魅力的な提案だな。
迷子の俺達にとって、今一番欲しい宝とすら思える。
ボワッ。
ボワッ。
ボワッ。
突然、遠くからも3つの人魂が現れた。
それぞれ角、羽、尻尾が生えている。
『彼らの中に、1人だけ噓を付き盗み食いをした者が居る。それを当てて欲しい』
「盗み喰いねぇ……彼ら口とか無さそうだけど」
「それを言っちゃお終いだろ」
3つの人魂から、それぞれ声が響く。
『食べたのは羽の奴だ。間違いない』
『いやいや、食べたのは尻尾でしょ』
『ふん、俺は食べてないからな』
「……あ~これあれだ、噓つき問題ってやつだ」
それぞれの証言から、誰が食べたのかを当てなければならない。
もし角が食べた場合、「食べたのは羽の奴」ってのは嘘になるから羽が食べてない事になる。
だとすれば羽は正直に話してるから、「食べたのは尻尾」が本当になる。
これだと2人食ってる事になるから無いな。
もし尻尾が食べた場合、「俺は食べてない」ってのは嘘になるから尻尾が食べてる事になる。
だが角の「食べたのは羽の奴」が本当になるから、2人食ってる事になる。
とくれば、もし羽が食べた場合、「食べたのは尻尾」という証言が噓になるから尻尾は食べてない。
尻尾の「俺は食べてない」も本当だし、角の「食べたのは羽の奴」も本当になる。
そして、1人が食べてる事になる訳だ。
「食ったのは羽の人魂だ」
『私は――――』
「キェェェェェ!!!」
どこからか奇声が響き渡った。
すると――――
『きゃぁぁぁぁぁ!!!』
羽の人魂は謎の糸に引っ張られて闇に消えていった。
「あの人魂、大丈夫なのか?」
『あぁ、ここの主を怒らせてしまいましたか』
「ここの主?」
『ありがとうございます。お礼にここから出る方法をお伝えしましょう』
突如として、暗闇が開けていく。
その先には、蜘蛛の怪物がこちらを睨み付けていた。
『ここの主に喰われる事です。昇天すれば、この世界から脱却出来ます』
「はっ! くだらないね! それなら、後ろの主とやらを昇天させてやるよ!」
「キェェェェェ!!!」
[エリアボスが出現しました]
[冥灯蜘蛛 アニマ=ドミナ]
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名前 『赤月の夜』赤月
階級 ランク34
所持金 55800HG(1700BP)
武器 魂縫双銃【魂吸収弾】
武器 魂縫双銃【魂吸収弾】
防具 縫魂礼装【魂枯渇転化】(紅砂のガンマン)
装飾 腐王鴉の眼核【死肉の王眼】
装飾 毒蜜女王の毒腺輪【紫蜜ノ血】
装飾 嵐角雷環【嵐角誘雷】
ステータス
体力 290
魔力 185
攻撃力 100
防御力 30
素早さ 50
毒効力 1毎3(+1)
吸収効力 1毎2
麻痺効力 10%
自動魔力回復 1秒毎4(+1)
状態異常命中 +140%
状態異常耐性 +30%
職業
遺物調薬師 熟練度5
【遺物調薬図鑑】【脆弱化】【遺物調薬観察眼】【高純化】【調薬合成】
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