後味~エピローグ
病院の外に出た少年は、近くのベンチに座るとスマホを取り出した。そして、どこかへと電話をかける。何度目かのコール音の後、相手が電話に出た。
『ちょっと~、今どこにいるの?早く来ないとお料理が冷めちゃうじゃん』
聞こえて来たのは、不機嫌そうな女の声。
「ごめんごめん。すぐに行くから」
少年が謝ると、女はすぐに機嫌を直したようだ。
『うん。待ってるからね!・・・・・・それと、1つ聞いていい?』
「なに?」
女は少しの間をおいてから、訊ねた。
『この前、女の子にチョコを貰ったって言ってたけど、あれ食べたの?』
その質問に対し少年は。
「あー、あれ。捨てたよ捨てた」
拍子抜けするほど、率直に答えた。
『えっ、ホントに!』
「ホントホント。僕にとって、キミ以外の子に貰った物なんてゴミ同然だよ」
電話の向こうから、女の安堵した様子が伝わってくる。
『ふふ、良かった・・・。じゃあ、ご褒美として今日はアタシの家に泊めてあげる!』
「ありがとう。お言葉に甘えて、そうさせてもらうよ」
『やったー!今夜は寝かせないぞっ』
色気のある言葉を残し、電話は切れた。少年はベンチから立ち上がると、ゆっくりと歩き出す。そして、一度も病院を振り返ることなく闇夜へ姿を消した。
ベンチ横の外灯が悲しげに闇の奥を見つめていた。
恋愛小説(?)を書いたのはこれが初めてだったのですが、いかがだったでしょうか?
最後まで読んでくださり、ありがとうございました!!