ミヤビの与えた影響
キリカ
私のお父さんとお母さんは私の事が大嫌いだった。
笑顔で使えないと頬を殴り、腹が立ったとそれだけでお父さんは私の首を絞めた。
「ああ、本当にお前は俺たちを腹立たせるのがうまいものだなあ!!」
お母さんとお父さんはとても仲が良くて羨ましいわ。私が居る時だけ、お父さんとお母さんが怖くなるのは知っていた。
私がいるから、お父さんとお母さんはずっと苦しい思いをしているのだ。私が生きているのがいけないんだ。
それから奴隷商と言うおじさんに引き取られて、色々な事を教えてもらった。今まで生きていた中で一番楽しいと思える時間だった。
初めて買われた新しいご主人様は、とても怖い人、そんな印象だった。
私を見る時は眉間にしわが寄った。吐くため息が多くなった。やはり、私は生きていることで人を
不幸にさせる。
最初に奴隷商に連れていかれて、奴隷を解放されると聞いたときは、心臓が痛かった。結局私はいらないのだと、目の前で言われたと思ったから。
けれど違った。私のご主人様は、ミヤビ様は、私の意志を優先しようとしてくれていた。
そんな人のそばにいたい、私がそう思うことを許される・・・?奴隷商のおじさんがそれを聞くと、
それもありだと言ってくれた。
傍にいてもいい。私がそれを決めてもいい。私が不幸を運ぶとしても、私はミヤビ様のそばにいていい。
解放されて、傍においてくださいと言った時の驚いたミヤビ様の顔は少し、おかしいと思った。
それからは驚きと幸せが続いた。
ミヤビ様は自分の家を買い、それは今まで見たことのない大きな家だった。木で作られた木の大きなお家。
貴族様しか飲むことが無いと言われている果実のジュース、綺麗なグラスに注がれたのは、鮮やかな緑色のジュース。
「こ、これ、いただいてもよろしいでしょうか?」
二つ置かれたグラス。一つは確かに私の前に置かれていた。
「子供のジュースだ。好きだろ、そういうの。」
子供は商品だ。何度も言われた言葉。私は価値がないと捨てられても文句は言えない。
けれど、そんな子供の私の為に作ってくれた。
苦かったけれど、私の為に作られたジュースはうれしかった。それだけで美味しかった。
ミヤビ様は更に高いと言われるはちみつまで簡単に私に与えてくれた。
はちみつが加わったジュースは、更に甘くて美味しい。あっという間になくなってしまう。
残念に思いながら空いたグラスを見つめていると、
「美味しくなかったろうに、無理すんな。」
ミヤビ様は笑ってくれた。初めて私は人を笑顔にすることが出来た。
ドキドキと胸から音がする。嬉しくて嬉しくて。この気持ちをどう表せばいいだろう。
伝えてもいいのだろうか。
何を言えばいいのか、胸がいっぱいで出てこない。
ミヤビ様は、今度は少し黄色の飲み物を私の前に出した。まずはお礼。それから、それから、
「あ、ありがとうございます。あ、あの、うれしいです。」
どんな言葉がいいだろう。なんて言えばこの気持ちが伝わるだろう。
「おう。慌てず飲めよ。」
棘のない柔らかな声。その時ミヤビ様が私の方を見なくても、私の言葉は許された。
今度のジュースはみずみずしい果実の甘さと、はちみつの甘さが合わさって、気持ちも相まって
今まで食べた物の中で一番美味しいと思った。
私はミヤビ様に会えて幸せです。ミヤビ様の傍で、ミヤビ様とお話しして、お食事をして。
それが私の幸せです。この幸せをお返しするように、私は頑張ります。




