↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
きっと、そばに  作者: ミソラ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

56/70

ヴィドルバン帝国①3

 アーチーが家名と共にジョスランのために用意した館は、緑の美しい林に隠されるように建つ、小さいながらも美しく機能的なものだった。

 元は狩のための皇帝の別荘で、クリーム色の外観がどことなくゴーチェ子爵の館を思わせる。


「おかえりなさいませ。ジョスランさま。」

「ああ。」

 迎えたのはラウリーヌの侍女であったジーナであった。


 *


 ラウリーヌが行方不明になりジョスランが処刑された後、ジョスランの母テレーズに従って南部に逃れた者たち以外の使用人はちりぢりになった。

 後に家令のコームの下に再び集結したが、ラウリーヌの侍女ジーナはゴーチェ家からラウリーヌに従った者であったため、その呼びかけには応じなかった。

 

 ジーナは昔の勤め先であるゴーチェ子爵のタウンハウスへ向かおうかとも考えたが、場合によっては主家の負担になると悩み、市井で働きながらラウリーヌの行方を探すことにした。


 そのジーナを見つけたのは同じくラウリーヌを探すクリフだった。

 ラウリーヌが見つかるまでジスラールの王都に残ると嫌がるジーナを説得し、ディアボルス号が停泊する海の近く、クリフやその部下たちが使用する拠点へと連れてきた。


 船の上でジョスランと再会したジーナは、ジョスランが生きていることよりもラウリーヌを危機に陥れたことに怒りを爆発させた。それにより却ってジョスランの信頼を得たジーナはヴィドルバン帝国に賜った屋敷に侍女として入ることになったのだった。

 ちなみにコームもジョスランたちから請われたが、王都に残りクリフと共に働いている。


 ジーナは事件の後、ラウリーヌの馬車が襲われたとされる場所の近くにある食堂に住み込みの仕事を見つけ、丹念に目撃情報を集めていた。

 横倒しになったベルジュラックの紋章が施された馬車は大きな街で話題になっていたが、ジョスランの処刑でかき消えてしまった。

 しかし食堂に来た客の一人から「黒いフードから見える銀色の髪の毛の男」がラウリーヌを馬で連れ去ったという情報を得ることができた。


 クリフが自ら行った捜索とジーナの情報、それから『夜の城』に送った間者がもたらした『金と銀』の情報を調べた。

 その後、略奪され荒廃したベルジュラックのタウンハウスが『スコルピウスの館』になり、ラウリーヌが『夜の城』の支配者である『銀』の男と行動を共にしていることが判明した。

 そして、その『銀』が、行方不明になっていたリオン・サージェスだということも。

 

『夜の城』か『スコルピウスの館』に潜り込むと言うジーナを説得するのは大変だったと、後にクリフは笑いながらジョスランに話した。


 *


 アーチーとジョスランの密談から一か月後、ローランドの妃キャレルが「祖父の見舞いのため」としてヴィドルバン帝国に里帰りした。


 *


「ジスラールに戻るのか。」

「はい。環境が整いつつありますので仕上げに参ります。」

「宮廷が寂しくなる。」

 至極残念そうに話すアーチーに対してジョスランは笑った。

 

「また戻って来るのだろうか?」

「確約はできませぬが……、今の私はヴィドルバンの貴族でアーチー皇帝陛下の臣下であります。命があれば必ず戻って参りましょう。」

「そなたの後ろには私がいる。忘れるな。」


 ヴィドルバン帝国皇帝アーチーが、ジスラール国王ローランドを見限った瞬間だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。