不定形な宝石②
マージ博士は新たな異常性を見せた宝石に近づいて気を失った。
しばらくして意識を取り戻すと、机にはあの姿のままの宝石が立っているのが見えた。
「ちっ、時間切れだったのに逃げられないとはね」
起き上がる途中のマージ博士に宝石は上から目線でそう言った。
それが聞こえなかったマージ博士は気づかないまま尋ねた。
「君、これも君の異常性か?」
「......」
宝石はその問いに答えなかった。
それどころか不機嫌な顔で立ち上がったマージ博士を睨みつけるようになった。
「私の予想だが、君は異常性を理解した者の真似をできるんだろ?」
「そうだ。ほぼ完璧な理解が必用だがな」
次の問いには答えてくれた。
その答えでマージ博士は宝石のことをさらに理解した。
次に口を開いた時にマージ博士は宝石自身の顔もこわばるほどのことを口にした。
「理解が必要か。なら、ちょっと試しに自分を撃ってみよう」
その言葉の後にマージ博士は実験の一環として取り出した銃を自分の左腕に押し付けた。
その引き金を引く前に宝石の顔を見てから行動を起こした。
バーンと1発分の銃声と叫び声が実験場に響いた。
「なるほど。これは興味深い。こちらも怪我を負うが、真似した相手とリンクするからダメージも共有出来るわけだ」
博士は銃をしまうと腕からかなりの出血をしてるのが確認できた。
その時、あの宝石は腕が欠けて本人以上に痛がっている。
「さて、痛みで何も言えないようだが言っておく。我々は覚悟があるから大抵の実験に恐れることはない」
博士は頭をフル回転させて宝石の無力化を見つけ出した。
その宝石が自己修復出来ないのを確認してマージ博士はすぐに自室へと向かって出て行った。
応急処置でもしないと自分の命も危ないから。
自室に戻ると腕を押さえながら紙に色々と書き始めた。
「あの宝石はCSUを支配できる。自分のことを深く理解した異常の無い存在には変身することでリンクが出来る。恐ろしいが対策は可能。リンクは出来るが支配出来ないようだ。それにただの人間は嫌いらしい」
こういう独り言を呟きながら紙に情報を記していく。
それを後で報告書にしようと考えているが、よく考えたら理解した相手になれるのだった。
それに気づいたマージ博士は痛みに耐えつつジョセフ博士に後で頼み事をしようと考えた。
「うん?あいつは変身に条件があるのか?」
ふいに実験室を映しておいた画面を見るとそこには通常状態の宝石が存在している。
それを見てマージ博士はまた理解を深めてしまった。
このことも書こうと思ったマージ博士だが、出血が酷くて意識が飛びそうになった。
こんな状態でも死ぬ前に色々と残そうと思って走り書きで報告書を手書きしていった。
数十分後、ギリギリな状態のマージ博士が様子を見に来たリサによって発見された。
発見があと少し遅れていれば本当に死んでいたかも知れない。
でも、名誉の負傷をしたマージ博士の残した報告書がジョセフ博士に渡ったことによって宝石はこれ以降誰とも接触できなくなった。
報告書も許可を得た人以外が見ることを禁じられた。
つまり、変身できるのはジョセフ博士かマージ博士が近づいたときのみになったのだ。
これで2人が近づかない限り『不定型な宝石』が話すことは無い。
ジョセフ博士は時が来るまで情報を開示しないが、マージ博士の発見した宝石の弱点を得たことで安全度を変えた。
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『CSU №3不定型な宝石』
安全度:Excellence(改変前Danger)




