不定形な宝石①
あれから1週間後、ジョセフ博士の声かけで7人の研究者がそれぞれ手に入れた物品と共にやってきた。
これによってCSU機関が13個の保管をできるようになった。
ジョセフ博士は親友のマージ博士を最初に迎え入れた時に大歓迎した。
その時にあの宝石の実験や研究を任せることにした。
それ以外も1人ひとつ担当することになった。
ここからはマージ博士とあの宝石の実験の記録である。
「これが問題を起こした宝石か。ジョセフの奴が持て余すほどに色々とあるらしいな」
そう言いながら彼女はその宝石を手に取った。
「ほぅ、さっきまで赤い石だったのに今は青い石か。しかもこれを動かすと色も形も変わる。でも、置いてる時はそんなに変わらないのか」
この時点でマージ博士はこの宝石の軽い異常性についてある程度理解した。
「だいたい20cmの大きさからは変わらない。これは構成してる元素とかを調べても無駄だろうな。なら、報告書を読んでみるか」
そう呟くとマージ博士は宝石を実験場のテーブルに戻してその場を後にした。
その時、かすかに宝石が揺れた。
自分の部屋に着いたマージ博士はパソコンに向かうとIDとパスワードを打ち込んで報告書にアクセスした。
それはあの日の直後にジョセフ博士が書いた物だ。
『CSU No.3不定形な宝石 報告書』
物品名:不定形な宝石
安全度:Danger
20--/05/12 実験記録
あの宝石は最初に助手達を使って実験を行なった。その時は持って、傾けて、手の中で回して、と色々な条件での変化を記録した。
その後原子構造を調べるために削った。その時にかすかに宝石が揺れたのが観測されたが大きな異常でないため放置された。
削った宝石のカケラを分析機にかけた結果。
何も出なかった。正確には分子構造も様々な宝石に似た形に変化して、まったく特筆するようなものが見つからなかった。
最後に『CSU No.1重力少女』とのテストを行なったことによって事案1が発生。
宝石を手に取ったリサが次の瞬間に施設を揺らすほどの重力場を発生させた。その時に通常以上の力を使ったことを確認した。
もしかしたらあの宝石には他のCSUに一時的な強化を与えるのかもしれない。これに関しては新たな実験が必要である。
事案1について
最初の実験の最後にやったCSU同士のテストで『重力少女』の暴走が確認された。
その暴走は施設の揺れから始まり、扉の破壊による宝石と一緒に脱走しようとする行動になった。
普段以上の力を発揮した『重力少女』はその弱点すら克服して邪魔者と判断した我々を排除しようとする行動まで見せている。その脱走は我々と対峙したときに『健康になれる本』を持ってきた助手によって止められた。
助手が能力の発動より先に動くことで背後を取って気絶させることに成功したのだ。この時に気絶した『重力少女』は倒れてすぐに宝石を落とした。そのすぐ後に意識を取り戻した。
実験記録と事案1より
『重力少女』のリサに影響を与えたことから『不定形な宝石』はCSUを支配できると思われる。
支配できると思われるのは事案1の直後に宝石を落としたリサがすぐに意識を取り戻したところからだ。
このことから『不定形な宝石』は意思を持っていて、CSUの方から来るのを待っていると推測される。
保管状況
現在は事案1からCSUが触れないように厳重に保管されることになった。
宝石に触れないと異常が発生しないことから厳重に施錠可能な実験場に放置することが決まった。
しかし、壁が薄いことから破壊系のCSUが来ればそこから触れられる可能性がある。
他の異常性が発見されるまでは壁の補強を待ちながらそこに置いておく。
この報告書を読んだマージ博士は笑っていた。
あの宝石が意思を持っていて、それが異常存在の支配まで出来る。
そんな今までにない不思議な物質に興味が湧いた。
マージ博士はジョセフ博士についてきてよかったとこの時にすごく思った。
「なるほどな。あれはとことん調べなきゃいけないものだ。まだ底が見えないからな」
そう言うとパソコンを止めてあの宝石のもとに向かった。
扉を開けて実験場に入ったマージ博士はさっきまでの不敵な笑みを消した。
実験場の机の上にはさっきと変わらず宝石がそこにある。
しかし、それはさっきまでの複雑な形をとる宝石ではなくて、小さな人の形をしていた。
その姿はまるでマージ博士だ。
「...新たな異常性の発見だ。すぐに調べなければ!」
驚きながらその異常性に興味を持った博士は急いで歩み寄った。
その時、小さな声が宝石から聞こえた。
「時間切れだよ」
その声の後、マージ博士は意識を失った。




