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事後処理




帰りながら、今回の戦闘で上昇したステータスを確認しておく。


今回の戦闘では、かなり経験値を得られた。 ステータスだけではなく、戦闘中の駆け引きや、直感などの大切さは骨身に沁みて思い知った。



これからはスキルに頼りすぎるのではなく、技術を磨くのも欠かす事は出来ないと感じる。






[ステータス]


名前 一条 悠


種族 人族


年齢 17


レベル14


HP 63/439

MP 40/552


AT 413+28

DF408

AGI 486

INT 473


[スキル]


特殊系スキル


・成長速度 特大UP

・スキル熟練度 特大UP

・スキル取得条件 解放

・全属性適合

・鑑定

・飛び道具命中率 特大UP

・精密魔力操作 ←NEW


魔法スキル


・重力魔法Lv5

・回復魔法Lv2


戦闘系スキル


・魔剣術Lv3



[装備]


鋼のロングソード: AT+28


[加護]


転生神ジュリアの加護





●精密魔力操作・・魔力操作の上位互換。収束だけではなく、圧縮する事も出来る。精度の向上により魔力損失が少なくなり消費魔力が低くなる。



●転生神ジュリアの加護・・転生神のチカラの一部を借りる為の加護。使用すると体力、魔力共に8割程消費する。また他にも能力があるらしい…。







(……改めて見ると、つくづく異常なステータスだよな。 今日一日で南の森に、俺の相手を務めれるモンスターが居なくなるとか、インフレしすぎだろ。コレが、ご都合主義なのか…。)




心の中でそう毒突きながらも、襲ってくるモンスターは重力魔法で華麗に圧殺している。



…… 少なくとも圧殺している時点で華麗とは言えないかもしれないが。






ふと前方を見ると、松明を持った奴等がゾロゾロと此方に(正確には南の森に)向けて進んできている。


レベルアップにより上昇した視力を使って、集団を見てみる。


13人ほどの集団だ。 すると、その集団の先頭をバトラーが歩いて、その横には、今日助けた黒髪の少女がいる。

その後ろには僧侶らしき男もいた。


常に纏まって行動している所を見るとパーティを組んでいるのだろうと推測される。





「……!? テメェらいたぞ! この人が俺とミアを助けてくれた人だ!」


先頭にいたバトラーは、俺に気付くなり大声を出して此方に走ってくる。


……今日は一度死にかけたのに凄い元気だ。


彼は中々の傑物なのかもしれない。






「今日はありがとな!ところで……あの怪物はどうなったんだ?」


「おう、何とか討伐する事は出来たぞ!おっさんは、治療後何か変わった事はないか?」



「アレを一人で討伐するとは……。アンタすげぇ強いんだな! 俺はこの通り、特に問題はねぇな! 改めて、俺はバトラーって名前のDランク冒険者だ。で、こっちは」


「バトラー! 自分で言えるから大丈夫だよ! 改めて、今日は危ない所を助けてくださって、ありがとうございます。 私の名前はミアって言います! Dランク冒険者してます! こっちのバトラーと僧侶のハンスとパーティ『森の狩人』を組んでます! 今日は本当にありがとうございました!」



ミアは、自分の身長程もある長い杖と、魔法使いが着るような膝上位までの緋色のローブに、冒険者が履くようなブーツを着用している。


また、顔立ちは整っており、日本に居たような中学生アイドルと比べても、全くと言って良い程遜色ない。




( こんな可愛い女の子に、頬を朱に染めながらお礼を言われると勘違いしてしまいそうになる。…そもそも、前世では彼女なんか出来たこと無かったし、クラスの女子には、チラチラ見られて笑われる(女子からしたら好意的な微笑み)レベルだったもんな。)




悠は、昔から自分の顔は不細工だと思い込んでいたから、女の子の好意にも一切気付いたことはなかった。


バレンタインの時に、靴箱に入っていたチョコも、周囲の人間が、反応をからかう為に入れたとばかり思っていた。




閑話休題。






「気にしないで良いよ! 俺の名前は一条 悠って言うんだ。気軽に悠って呼んでよ」


俺が自己紹介を終えるとミアとバトラーはなぜか凄く驚いた顔をして慌てて頭を下げる。


……何か拙い事を言っただろうか。




「…貴族様とは知らず無礼を働いてすみません!以後決してこのような事は致しませんのでどうかお許しを!」


「…え、えっと…俺、貴族じゃないけど。」


「「えぇぇぇ!!!!」」


心底驚いたという顔をしながら全く同じリアクションをとる2人。




「だ、だって、さっき、イチジョウ=ユウって言ってましたよね⁉︎ 性があるから、てっきり貴族かと思いました!驚かせないでくださいよ!」


「本当だ! ユウは俺を殺す気か! 吃驚しすぎて心臓止まりかけたじゃねぇーか!!」



2人の息の合ったツッコミに、思わず頬が緩む。戦闘続きだったせいか、自分でも気付かない内に気を張っていたのだろう。


ソレを認識すると、疲れが急激に押し寄せてきた。


……今にも寝そうなくらいだ。





「こらこら。2人ともその位にしてくださいね。今回の英雄さんがお困りですよ。早く村に連れて帰って、今日の所は寝させてあげましょうよ。申し遅れました、私は『森の狩人』のパーティリーダーを務めさせて頂いています、ハンスと申します。今日は、大切なパーティメンバーを助けて頂いて、本当にありがとうございます! あ、あと 私もDランク冒険者です! ユウさん…。あの怪物をお一人で討伐なされるとは…。お強いのですね!」



「ハンスさん! 改めまして一条 悠です! 自分の為に助けただけですよ。見捨てると、寝覚めが悪くなりますからね! 何とか討伐する事が出来ましたよ。」


数回言葉を交わしただけでもパーティの絆を感じる。



……良いパーティだな。




(…パーティがこんなに良いものだって知ってしまったら、俺もパーティを作りたくなる。次の拠点では作ろうか。)







☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆










それから村までは、他愛もない話を交わしながら帰った。村に着く頃には、俺も仲良くなり今度色々と教えてくれる事になった。



自警団の人と軽く会話をしてから、まずは、冒険者ギルドに向かう。


ギルドへの道は、今日通ったばかりなのに何故か懐かしく感じる。

ギルドに着くと、何やら慌ただしい雰囲気に包まれている。




周囲の冒険者や野次馬から、『彼奴が変異種殺しの英雄だって?嘘じゃないの?』 『あの人。結構タイプかも…。』 『ヒャヒャヒャヒャヒャ。世界が滅ぶんだァァァァ!』


など。様々な声が聞こえてくる。


最後の奴は危険そうだったので重力魔法で自重を三倍くらいにしてやると静かになった。



悠はそのまま、セナがいるカウンターへ向かう。



「あの、大丈夫ですか!? ユウさんは変異種のゴブリンと、一人で戦闘になったって聞いて!心配で心配で仕方なかったんですからねっ!!」


セナは目尻に涙を浮かべながら、悠に抱きつく。


ステータスが上がった今は、女の子一人に抱きつかれるぐらいは難なく耐えれるようになっている。




一瞬の後、自分の行為に気付いたのか、若干顔が赤く染まっているセナに、依頼達成の処理をしてもらう。




「ゴブリンを42体討伐ですね。一体につき、銀貨2枚なので合計84枚の銀貨になります。大銀貨8枚と、銀貨4枚に分けてお渡ししますね。残念ですが、非常時討伐依頼を受理なされていなかったので、正式には変異種討伐の報酬はお渡し出来ません! すみません…。」


「セナさんが謝る事じゃないですよ。俺は依頼とか関係無しに討伐したのですから、報酬は貰えなくても仕方ないですよ! なので、セナさんはお気になさらないで下さいね!」



「…はい。ありがとうございます…。」



暫くして、耳まで真っ赤になったセナが報酬を運んでくる。



カウンターの上に報酬を並べ、確認してから悠は金が入っている袋にしまう。




「ユウさん! ギルドマスターがお呼びです。すみませんが、二階のギルドマスター室へ案内しますのでご足労願えますか?」


悠は了承し、セナに案内され木で出来た、歴史を感じさせる階段を昇りギルドマスター室に赴く。


(十中八九、下級悪魔についての事だろうな。女神の加護についても言えないから、ゴブリンロードの話で適当に誤魔化しておこう。)






部屋に入ると、初老と思われる厳つい顔の巨体が座っていた。


まるで筋肉の鎧を纏っているみたいに思えるほどの、鍛え上げられた身体だ。

元は名の知れた冒険者だったのか、白髪がなければ初老とは思えないであろう。



「ようこそ来てくれた。私は、ボアの村ギルドマスターのウィルソンだ。気軽に、ウィルと呼んでくれても構わないぞ?」


ギルドマスターは豪快な笑い声をあげながらも、眼だけは鋭く此方を見ている。



(こんな恐いオジサンを、ウィルなんて気軽に呼べる訳ないだろ…。この人楽しんでるのかな?)



「いえ。ギルドマスターと呼ばせて頂こうと思います。では、簡潔にいきましょう。ゴブリンロードについてですか?」




質問をした途端、ギルドマスターの目つきがさらに険しくなる。室温が3度ほど低下したように感じる。


これが本物のプレッシャーなのだろう。下級悪魔を越えるプレッシャーを放っている。




「…ほう。言うではないか小僧。本当にゴブリンロードの事を聞いていると思っているのか?」


「俺には何の事だか分かりませんので、ご教授願えますか?」



さらにプレッシャーが跳ね上がる。





身体から嫌な汗が出てくる。永遠に感じられるほどの時間が過ぎた後、ギルドマスターは口を開いた。


「……このプレッシャーに耐えるとは、存外やるようだな小僧。……セナ席を外せ。」


セナを部屋から追い出し、ギルドマスターと二人きりの空間になる。


「最近、王都や各支部から緊急で報せが届いてな? この世界以外の住人が紛れ込んでいる、とな。 『森の狩人』ならランクC下位のゴブリンロードをパーティで倒せないなんて事はありえない。それなら、悪魔や悪霊が憑依しているとすれば?それなら頷ける話だ。」



ギルドマスターは俺の反応を伺いながら話を続ける。



「ユウだったか?お前、悪魔憑きのモンスターを討伐しただろ?ギルドカードには、悪魔憑きかどうかは記載されないから真偽は分からないが。…まあ話す気がないならそれでもいいが、くれぐれも漏らすなよ? ……これが今回の特別褒賞だ。」



身動ぎせずギルドマスターの話を聞き終えた悠。渡された袋を受け取り、話を軽く流して部屋を出る。


帰り道は来た時と同じだったから簡単に分かった。




湖の木こり亭の向かい料金を何日分かを先払いして部屋に入り崩れ落ちるように眠りにつく。















「おっ! ひっさしぶり〜!みんな大好き転生神ジュリアだよ〜!」




……今日は疲れている。これも夢なのだろう。



「夢じゃないって!起きて!!」



面倒くさ過ぎる。俺は早く寝たいんだ。いくら美人とはいえ、眠りを妨げられればムッとするぞ。


「早く起きないとギルマスの覇気で漏らしてた事を、色んなとこで噂しまくるよ!!」




「はい!!何でしょうか!女神様!」







……俺って案外チョロいのかもしれない…。


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