闇夜に紛れて
今日は、何時もより多く更新出来たらな、と思います!
月が沈みかけた深夜。
館の中を、漆黒の装備を身に纏った男が、領主の部屋に向けて進む。
男が、何かに気付いたのか、物理法則を無視した様な加速で、壁際に迫り……持っていた刀を一閃する。
すると、隠密を使っていたのか、黒装束に身を包んだ者が現れた。
–––––––体が真っ二つになっているが。
「収納。」
男が呟くと、綺麗サッパリ死体は消えていた。
男は、何事も無かった様に、歩いていく
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寝室に赤髪の男はいた。
先程まで眠っていたのか、頻りに、瞼を手で擦っている。
「それで、侵入者は?」
「…ハッ! 侵入者は、Aランク冒険者に匹敵する、と思われます。」
赤髪の男は興味深そうに報告を聞き、立ち上がる。
「侵入者の排除に向かう。『影』を集め次第行くので直ぐに召集せよ」
暫く経ち、『影』と呼ばれた黒装束が、隊列を組み跪いている。
「賊が、館に侵入している。排除に向かうので、私の後ろより、着いてくるのだ」
「「「「…ハッ!」」」」
男は、『影』を率いて、部屋から出た。
すると、右手の方から、僅かに死臭が漂っている。男は、右手に向かい歩いていく。
男以外の足音は一切聞こえない。『影』は姿を視認する事、さえも難しいのだ。
「おい。アレク領主様!!」
「賊は貴様か。」
賊は、全身の装備を、闇夜を超えた、漆黒の軽鎧を身に纏い、ここら辺では見ない様な武器を持っている。
「賊では無い。俺は報復に来た」
「俺の大切な人達を、傷付けようとした報いを受けろ。」
男は言い終わると、魔力を解放する。
黒装束の中には、その殺気に耐えられず、気を失う者も出ている程だ。
「…ほう。私の『影』よりは数段上の様だな」
「だが……。私は『影』程に弱くはないぞ?」
両者の魔力が衝突する、お互いの魔力は、互角の様に見える。
「…へぇ。中々の魔力だな、アレク領主様! だが生憎、俺は少々剣術も出来るぞ」
男は、先程も見せた、超加速により、一瞬で間合いに踏み込み薙ぎ払う。
アレクは後ろに跳躍し避けたと思われたが、胸元には刀傷が出来ていた。
血が流れるが、持ち出していたポーションを飲むと、何事も無かったかの様に修復される。
『影』が肉壁となって、男を食い止める。
それを見て、アレクは詠唱を始める、魔法が完成すると、圧縮して更に魔法を重ねていく。
「…出来たぞ、コレが、クリムゾン家の血脈が成せる業だ。」
「二重魔法・太陽堕とし!!」
ソレは、直径こそ2メートル程だが、圧縮された焔は、太陽の様に燦々と輝いている。
徐々に加速し『影』諸共、灼熱の焔球が飲み込んだ。
「口程にも無い奴だったな、この秘術を受けて生き残れはしないだろう」
壁や床、天井まで全てを、耐熱性のある石材で造られていたのが幸いしたのか、館には燃え移っていない。
アレクは、焔に背を向け寝室に向け歩き出す。
直後。
激しく、視界が回り、遠くに自分の身体と、刀を振り切った状態の男を視認した。
自分の身体からは首から上が無く、噴水の様に、血が噴き出している。
「お、お、お前…死んだんじ………。」
それが、アレク・クリムゾン最期の言葉になったのであった。
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「勢いで殺したけど、どうしようか…」
一先ず、アレクを収納して撤退する。
帰りは黒装束が1人も出て来なかったからか、スムーズに逃げる事が出来た。
(…あの領主、思ってたより強かった…。あの魔法は、空間魔法が無かったら危なかったぞ)
領主が使用した技術を、今度真似してみよう等と思いつつ、アリシアの家に向かい夜の街を疾走する。
見上げた夜空は、一寸の濁りも無く星々が輝いていた。




