5-14:捜索を続ける
翌朝、僕とエリンは獣の厄災の捜索を続ける事にした。
昨夜のエリンとのやりとりで唐突に国外に逃げろと言われたが、急な事で今はまだどうしていいか分からない。
というか、その事を夜中に考えながら寝てしまって、まだ自分の中で答えが出ていないのだ。
先の事は何れ考えなければいけないが、今はとりあえずその事は置いておいて獣の厄災を探す方に専念する事にした。
そもそも、獣の厄災が国外から来た存在かどうかもまだ分かっていないしな。
「クロエ、今日はどの辺りを探そうか?」
「そうだな、今日からはもっと広範囲に探した方がいいと思うけど、どの辺りがいいかだよな」
獣の厄災が国外から来た存在なのならば国外の人間が好みそうな場所から探してみるのがいいと思うが、そんな場所があるとも思えない。
そもそも、こんな山岳地帯の森の中だ。好みそうな場所はおろかどの場所も人が住みやすい環境では無いし、仮に住みやすい環境に開拓しているとしたら目立つはず。
となると、やはり一つ一つの場所を順に調査するしかないのか?
うーん。
「クロエ、昨日ここに来た時から思っていたんだけど、この辺りに魔獣がいないの変だと思わない?」
「変ってどういう事だ、エリン?」
「付近で魔獣の被害が多発しているって情報だったから、てっきり獣の厄災の近くには魔獣が沢山いるのかと思っていたけど」
「いや、確か獣の厄災は魔獣を操っているって話だろ? だとしたら、魔獣は統率が取れていて闇雲に付近を襲ったりうろついていたりはしないんじゃないか?」
そうだ、魔獣だ!
エリンの何気ない疑問に自分で答えて気が付いた。
獣の厄災は何処か一か所に魔獣を集めているはず。
だとすれば、木々が密集する森の中よりも魔獣を複数体並べられるくらいの広い場所にいるのではないか?
魔獣の大きさはまちまちだが、それでも複数体の魔獣を集めるとなるとそれなりのスペースが必要。
「エリン、開けた場所を中心に探そう。そして、そこには魔獣が沢山いるかもしれないから気を付けて」
「了解。そういう事ならあの辺りとか開けていそうだし、とりあえず行ってみよっか」
方針が、決まったな。
僕とエリンは開けた場所を目指して歩き始める。
岩場なんて開けていると思うが、そういう場所はあるだろうか?
そう考えながら歩いていると、森の中に開いている岩場が見えてきた。
「エリン、あの辺りはどうだろう? 遠目に見た感じだと魔獣の気配は無いけど」
「とりあえず行ってみよう」
僕とエリンがその開けた場所に行くと、果たしてそこには何も無かった。
だが、近づいて分かった事がある。
そこは岩場ではなく、森の中で踏み荒らされて岩肌が若干露出している感じの場所だった。
もしかしたら、大勢の魔獣に踏み荒らされた場所なのかもしれない。
当たりか? ハズレであっても何かある事は確かだ。
「何にもないね」
「だが、この辺り一帯がこうなっているのは変だ。もう少し調べてみよう」
こうして、僕とエリンが周辺の調査をしているその時である。
突然局地的に空が荒れたかと思うと、奇妙な光と共に何かが現れた。
「ちょ! 何で、どうして?」
「分からないが、これも獣の厄災の仕業かもしれない」
僕とエリンの目の前に出現したのは魔獣だった。
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