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逃亡するのに女装していた男魔道士、女戦士と知り合って一緒に旅する事になる  作者: ヘラジカ
第五章:獣の厄災

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5-7:蘇生の白魔法

 僕は蘇生の白魔法を聖都の大魔道士役リリアンヌに使ってもらうために、その消費分となる魔法力を分け与えた。


 これなら断れないだろうと思ったし、何より魔法力の負担をリリアンヌにかけたくなかった事もある。


「クラウディオ! こんな事をして体は大丈夫なのか!?」


「たかが、爆炎の黒魔法一回分だ」


 大丈夫、屍操の黒魔法を維持するための魔法力にはまだまだ余裕はある。


 それに、爆炎の黒魔法は過去二回連続で使った事があるが、その時は大丈夫だったどころかもう一回以上使っても大丈夫なくらいの魔法力は残っていた。


 だから、本当に大した量ではない。


「足りないならもっと渡すけど?」


「これ以上は要らん。分かった分かった、蘇生の白魔法を使ってやる。どうなっても知らないからな」


 よし! これでエリンは生き返る。


 でも、何か最後にもの凄く不安になるような事を言われた様な気がしたな。どういう意味だ?


「では、エリン。今から蘇生の白魔法をかけるからこっちに来て屈みなさい。跪く感じでいいから」


「は、はい!」


 エリンがリリアンヌのに前に跪くと、リリアンヌはエリンの頭に開いた右手を乗せる。


 そして、リリアンヌの右手から清らかな光が放たれてそれがエリンを包む。


「終わったぞ」


 リリアンヌがそう言ってエリンの頭から手を離す。


「生き返った……のかな、私?」


 エリンは生き返った実感が曖昧な様だが、屍操の黒魔法の効果が切れた事が僕には分かる。


 その状態で動けているのだからエリンは生き返っているのだろう。


「あ、ありがとうございます!」


「礼ならクラウディオに言いなさい。クラウディオが貴様の死体を綺麗な状態に保っていたから成功した。失敗したら、体が灰と化して俺程度ではもう生き返らせられない。上手くいってよかったな」


 おいーーーーッ!!


 失敗する可能性あったのかよ!


 リリアンヌが蘇生の白魔法を使うのを渋っていたのは失敗を恐れての事か。


「クロエもありがとう」


「気にするな。それにしても、成功して本当によかった」


 いや、本当に。


 失敗する事があるだなんて知らなかったし、屍操の黒魔法が成功率を高めていたのだとしたら使ってみて本当に良かった。


「リリ姉、僕からも改めて礼を言うよ。ありがとう」


「問題ない。可愛いクラウディオの頼みだからな。それに、貰うものも貰ってしまったし」


「ごめん。こうでもしないと断られそうだったし」


 とにかく、エリンが生き返ってよかった。


「ところで、クラウディオ。このエリンとかいう戦士は何だ? お前の彼女か?」


 唐突にリリアンヌが僕にそう聞いてきた。


 まあ、いきなり女の子を連れてきて生き返らせろといったらそう勘違いされるのも仕方ないか。


「違う違う、そんなんじゃないよ。エリンには借りがあって、それを返したいだけだ」


「ふーん。例えば、どんな?」


「魔の厄災を殺すのを手伝ってもらった」


 意地悪そうに聞いてきたリリアンヌに対して僕がそう答えたところ、彼女は絶句してしまう。


 リリアンヌは妹のクラウディアとは僕以上の関係だし、それを殺したとの話となれば彼女も少なからずショックだったのかもしれない。


 仕方ない。気を取り直せるかどうかは分からないが、話題を変えてみよう。


「そういうリリ姉の方こそ結婚とかどうなんだ? 周りからもオリハル家の跡継ぎを催促されているんじゃないのか?」


「この歳まで俺が結婚してもいいと思える男が現れなかった。だから、もう諦めている。それに、もう子供を産むような歳でもないしな。だから、オリハル家は俺で最後だ」


「なんだ、年齢の問題なのか」


 僕はそう言い放ちながら呆れつつ、吸収の黒魔法で僕から取り出したものを光球に集め、それをリリアンヌにぶつけて分け与えた。


「クラウディオ! 今度は何だ!?」


「僕の若さをリリ姉に分け与えた。よかったな、これで子供が産めるぞ」


「何やってんだ、馬鹿!!」


 聖都の大魔道士役リリアンヌは今日一番の怒号を僕に放つ。


「クラウディオ! お前、自分が何をしたか分かっているのか?!」


「そうだよ、クロエ。自分の若さを分け与えるって、それクロエの寿命が減っちゃうって事だよね?」


「僕にはもう必要のないものだ。だから、これはリリ姉が使ってくれ」


「だからって……」


 僕にそう言われたリリアンヌは、それ以上の言葉を続けられなかった。


「それじゃあ、僕たちはこれで。突然、押しかけてごめん。それから、改めてありがとう」


「おいおい、もう少しゆっくりしていけ。いいか、今日くらいはここに泊れ。神殿の客室を使えるようにするから」


「いや、そこまでしてもらわなくても」


 流石に手配されている僕を神殿に泊めるのはまずいだろ。


 なので、さりげなく断ろうとしたのだが、


「エリンが生き返ったばかりだろ。今日ぐらいは安静にして休ませてやりなさい。それに、クラウディオ。お前も疲れただろう?」


「あーもう。わかったよ、リリ姉」


 仕方ない。生き返ったばかりのエリンに何かあっても嫌だしな。


 こうして、僕とエリンは聖都の神殿に一泊する事になった。

読んでくださってありがとうございます

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