表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
逃亡するのに女装していた男魔道士、女戦士と知り合って一緒に旅する事になる  作者: ヘラジカ
第三章:魔の厄災エクスエナ

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
48/90

3-17:五指クラウディア・ロナ・エリクシール

 エリンがクラウディアの左腕を壊した。


 多分、もう少しズレていれば心臓を一突きにしていたであろう。


「痛い! 痛い痛い痛い痛い痛い、いたーい!!」


 クラウディアは右手で落ちかけた左腕をさする様にしながら転倒して身を転げ、その激痛に耐えきれずにのた打ち回る。


 このまま、隙だらけのところにあと一撃を入れれば殺せる。そういう状態だ。


 だが、ここでエリンは僕にとって思いもよらぬ事を口にする。


「ご、ごめんッ! やり過ぎた。え、え、えっと、だ、大丈夫じゃないよね?」


 まるで、相手を気遣う様な、ここまでやるつもりはなく、助けようとしている風な口ぶり。


 少なくとも、これから殺す人間に対してかける言葉ではない。


 まさか、このまま止めを刺さないつもりなのか?


 だが、そんな心配をする暇もなく、クラウディアに異変が起こる。


 淡い光に包まれ。浮き上がる様に起き上がったかと思うと、次には右手でさすっていたその左腕の付け根から新たな左腕が生え、元あった左腕はそのまま地面へと落ちた。


 それから、今の戦闘であちこち傷ついていた体全体が修復され、まるで今まで何事も無かったかの様に全快する。


「よくも! よくもよくもよくも! よくも私に白魔法を使わせたな!」


 激高しながらそう言い放つクラウディア。


 それに対し、エリンは驚いて固まっているが、それは勿論怒り狂うその姿にではない。


 槍でくり貫かれてもげかけていた左腕を、瞬時に回復だと!?


 僕だって驚いている。


 かつて聖都の大魔道士役を勤めた母でさえも、あそこまでの速さで体の欠損部分は再生できなかった。


 そうか、これが誰もクラウディアを、魔の厄災エクスエナを殺せなかった本当の理由か。


「何それ? 今まで白魔法を使わずに手加減していたって事?」


 震えながら、そう言葉するエリンに、クラウディアはこう答える。


「手加減? 違う! 私が使いたくなかったから白魔法を使わなかったの! なのに、なのになのになのに、あんたのせいだから!」


 あの深手で仕方なく白魔法を使った口ぶりだな。


 そうなるまでに白魔法を使いたくなかった理由なんてあるのか?


 少なくとも男の僕が黒魔法を使ったとしてもただ魔法力を消費するだけだし、白魔法も消費量が増える以外のデメリットは無い。


「そんなに凄い白魔法が使えるのなら、無理して黒魔法なんか使わなくてもよくない?」


「はぁァ?! 私は黒魔法が使いたいから使ってんの!!」


「黒魔法を使いたいから、その生贄ってのを集めているの?」


「そうよ、だから何? 私は偉そうにしているだけの弱っちい魔法学校の先生はムカつくから殺したし、弱い癖に私を殺せると思っている馬鹿も殺したし、好きにやっているだけ!」


 聞きたくなかった言葉だ。


 目の前を飛び回る鬱陶しい蠅を殺すが如く、人を殺していただなんて。


「そんな酷い事やっちゃダメだよ! 黒魔法なんて、そこまでして使わなくてもいいじゃん」


「ああもうッ! あんたも黒魔法は使うなっていうの?! 何で、皆みんな、黒魔法を禁止するの!? 黒魔法が禁止されなきゃ、お兄様もエナのおじい様も普通に黒魔法が使えていたはずなのにッ!」


 大きなお世話だ。


 こんな発言、師匠のジョルダン様が聞いても悲しむぞ。


 僕たちの事なんかこれっぽっちも思っていない、こんな自分勝手な発言。


「だから、私がこの国を黒魔法で滅ぼして、皆に黒魔法を認めさせようと思ったのに、こんなところで、こんなところでッ!」


 クラウディアは激しく悔しがりながら地面を足でドンドンと叩いている。


 それは、まるで我儘で駄々をこねている子供の様だ。


「エナ様、諦めてはいけません! どうか、私の魔法力をお使いください!!」


 広場に声が響く。


 声の主は、確か会計士トルテとかいうエクスエナの信奉者の一人。


 何時の間にか彼女もこの広場に駆け付けていた。


 これだけの騒ぎだ。騒ぎに気付かずこの広場に来ない方がむしろおかしいか。


「ふふッ、使ってあげる」


 今の言葉で冷静さを取り戻したクラウディアが、会計士トルテに魔法力吸収の黒魔法を使う。


 そして、魔法力を吸い取られたトルテは歓喜の表情を浮かべながらその場に倒れてしまった。


 しまった、こいつが残っていたか。


 生贄を全員城の外に出した今、クラウディアが魔法力を供給する手段は無いと安心しきっていた。


 しかし、これ以上何をやる気だというのだ?


「特別ムカつくあんたは特別に爆炎の黒魔法で殺す。今決めたから。そして、そしてそしてそして、屍操の黒魔法で起こして永遠に飼ってあげる。死の安らぎなんて与えない。私に盾突いた事、死にながらにして後悔なさい!」


 いけない!


 爆炎の黒魔法。黒魔法の中でも最強の攻撃魔法であり、強力だけあってか大量の魔法力を消費する。


 そんなものをエリンが喰らったら間違いなく死んでしまうだろうが、それ以前に女であるクラウディアが使えるのか?


 さっき、会計士トルテから吸い取った魔法力があったとしてもだ。


 だが、無慈悲にもクラウディアは杖を構え、今にも爆炎の黒魔法を放とうとする。


 くそッ、何とかしなければ!


よければブックマークお願いします

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ