スカベンジャーは幸せを祈るか　

　星が堕ち、落陽の焦土に覆われた世界にて──終わりゆくこの星で生をつなぐため、残った人々は旧文明に縋りつく。遺物を漁るテクノロジーハンター。探求者から依頼を受け遂行する便利屋。ロストテクノロジーに、再び命を吹き込む技術者。そして、何の能力もないスラムの住民が、明日も生きぬく為に残骸を漁る屑拾い。主人公の青年ジャックは、他の大勢のスラム住民と同じように…彼は何者でもない弱者──その筈だった。
　ある日意識を失ったジャックは、無意識的に誰かの人格に溶け込む力、極限の共感能力を手に入れることとなる。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
　これは無慈悲な世界を生きる中で、痛みを胸に抱きながらも、幸せになりたいという『祈り』を叶える為に抗う、一人のスカベンジャーの物語。