魔界事変41 『思わぬ再会』
月様が穏やかに光を讃えている。雲ひとつない快晴だ。あたしは月明かりに照らされてもまだ暗いカレキの森の中を一心不乱に走った。ささくれ立った木の破片が肌を傷つけようとも、魔物が襲いかかってきても、その歩みを止められなかった。
あの一ツ目の少女のお陰だ。彼女の助けがなければ、あいつを見つけ出すことなど夢のまた夢だった。
考えてみれば月様が光を失ったことであの四ツ目の剣使いがあたしを殴り、月様の怒りに触れたことで奴を倒し、その結果奴の連れの力を借りることができた。それにさっきと比べて体の調子が最高に良い。
月様があたしとあの四ツ目野郎、そして一ツ目を繋げてくれたおかげで、結果ウィレムの所在を掴むことができた。だから…感謝しなくちゃならない。
…木の数がまばらになって来た。森の端に近づいているようだ。意識せずとも足を動かすのが速くなっていく。あいつに会いたい。今望むことはそれだけだった。
《よし!森を抜けた!》
ありったけの大声であいつの名前を叫んだ。…しかし返ってきたのはバサバサという後ろの木々に止まっていた鳥たちが飛び立つ音だけだった。
『ウィレム…?ウィレム!』
いくら呼べども答えは返ってこない。気持ちは期待と喜びから焦りと不安へと姿を変えた。
『いたラ返事ヲしろ!ウィレム!!』
一ツ目娘の言っていた水辺をくまなく探し回っても、どこにもいない。
悔し紛れに後ろを振り返った。
言葉が出なかった。「それ」を見た途端、持っていたかすかな希望すらも粉々に砕け散ったように感じられた。
「あいつ」の姿は人の上背ほどはある岩に隠れて見えなかったのだ。
《な…なんだよ…これ…》
…ウィレムは、ひどい様子だった。
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…マルティスに逃げられて10日は経っただろうか。「黒い兵士」にあの小僧の言っていた地区をくまなく捜索させているが、影も形も掴めないとはどういうことだ。
それを問い詰めるため、私は重要人物の3人を一所に集めた。
私の姿を見るなり、頭を垂れて蹲う大男に、
「…オールス様。御機嫌よう。」
そういつも通り冷淡に語る女、シャイヤ。
そして…
「なぜメディスンはいないのだ?」
「ええ…確かあいつには捕虜の管理をさせてた…ような…」
大男は頭を掻きながらそう言う。女も全く知らぬ存ぜぬのようで、いつも通りどこかを虚ろな目で見つめている。
「ガウド!今すぐ呼んでこい!捕虜から何か聞き出せているかも知れんからな!」
そう喝を入れると、大男ことガウドは小走りで会議室を後にした。




