まったり七夕
七夕企画。
あまり練れなかったために短め。しかも内容はまったくありません。
「七夕って本来なら旧暦に見たものだから、昔は晴れてたんでしょ?」
「そう。太陰暦が普通だった時代は今で言う、八月ぐらいか。だから昔は梅雨が明けてからだから見れてたらしいぞ、天の川。」
そう、今年も七夕は雨なのだ。
と言っても、遠藤邸には関係ナッシング。何故なら、邸宅内にそれなりの大きさのプラネタリウムがあるから。
今年も七夕は雨かー…と嘆く唯を見かねた亨は、いつもなら星座鑑賞が趣味な父と母のイチャイチャカップルシートと化している家のプラネタリウムを貸してくれと申し出て、だったらついでに。と言うので、気分を盛り上げる小物として浴衣着用である。
あいにくプラネタリウム内はクーラーも常備されているので適温に保たれているのだが、そこはそこ。気分を盛り上げるための小道具…なのだ。
「星座って私あんまり詳しくないんだよね…知ってるのって夏の大三角形くらいかな。」
「まあいろんな星座にしても、実際はそんな形に見えないしな。ほとんど無理矢理にしか見えない。」
「ねー。」
と星が大好きな蒼偉と雅に聞かれれば延々と話を聞かされそうな事を、あくまでものほほんと話している二人は七夕の話に話題を移す。
「織姫と彦星も一年に一度しか会えないなんて、神様もいけずだよね。」
「その分、溜まってたイロイロがありそうだけどな。織姫も大変だな…。次の日には足腰立たないぞ、きっと。」
「イロイロ?」
「ま、イロイロだ。ほら、天の川だぞ。」
無理矢理会話の内容を逸らした亨は、膝に座っている唯を抱えなおす。
そう、二人は一つの座席にべったりくっついて座っているのである。とは言え、自宅のプラネタリウムなのでその分椅子…というか一人がけのソファーも広くて大きい。なので二人掛けても大丈夫。
ちなみに、この椅子も遠藤グループで手がけた自信作。お値段据え置きになってます。
「ねー、この浴衣って…」
「ああ、母さんが作ったって言ってた。相変わらず暇な人だな…」
「そんな事言うと雅ちゃん怒っちゃうよ。でもでも、私のやつまで作ってくれなくてもいいのになぁ。パパが作ったのあるんだよ」
「へぇ、珍しいな。オヤジが浴衣と言うか和服なんて。」
「お母さんとお揃いなの。あ、でもお姉ちゃんも…」
実は姉、美奈だけではなく家族全員がお揃いだったりする。特に全員が揃って外出したりする機会はなかったものの、暑い日や祭りの日などは浴衣で過ごしていた唯は、今も浴衣であることに違和感を感じない。美奈にやってもらったように、髪をアップにし、それが無意識に白いうなじを亨に見せ付けていることに気付かない。
唯を見下ろしてため息を一つ。
「ん?どうかした?」
「…彦星の気持ちがわかる気がする。」
「なんで?」
「一年は長いよなー…」
はてなマークが頭に並ぶ唯を尻目に、星空を見上げた亨は腕にある感触を再びぎゅっと抱きしめた。