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ラブ ストーリー 彼女の中の私の時間  作者: 穏世青藍


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2/4

インターローグ 前半

 ある日、私は彼女と別れることにした。

 彼女が突然、何かの糸が切れたと、言った。

 思い当たる節がなかった。

 私は、仕方ないので、別れようと、言った。

 彼女は、何か、渋っていた。

 何かの糸が切れて大変な時に、何か、まだ一緒にいたい様だった。

 私には、定義があるらしい。

 その定義が、苦しいと言った。

 私と一緒にいることで、彼女が心の底に負荷がかかっている事は、私に彼女を諦めさせた。

 仕方がなかった。

 恋人としては、無理なんだろうと。

 友達としては、大丈夫だろうと。

 メールや電話は今迄通りでいいのだろうと、思った。

 そうして、お付き合いをやめた。

 かと言って、今迄通りの様な関係が続いた。

 何故か、感情が、もやもやしだした。

 その心の底を表すCDを彼女に贈った。

 聴いてほしい番号を手紙に書いて、渡した。

 1曲目ほ、君が戻ってきてくれたら意地を張らない、という内容にした。

 2曲目は、離れたところから主人公をそっと見ている人を主人公は愛している、という内容にした。


 これで、ばっちりだ。

 見事に、私の心の底を表している。


 彼女から、電話が来た。

 意味が分からないと、言われてしまった。


 嗚呼、何てことなんだ。

 

 …、そう思って、曲を考えてみた。

 すると…、訳が分からなくなった。

 なので、それをそのまま、彼女に伝えた。

 彼女は呆れていた。

 一旦、電話を終えた。

 そして、暫く考えてみた。

 私は私の心の底と向き合わなければならなかった。

 女性と向き合う事がこんなにも難しかったのか…と、久々の恋愛に戸惑っていた。

 そして、彼女の事を思うと、側にいるのは私だと心の底が叫んでいた。

 嗚呼、私は、彼女の隣にいたいんだ…と、思った。

 彼女を私のものにしたい欲望が静かに湧いてきた。

 でも、彼女は、私に対して、何かの糸が切れてしまっていた。

 どうすればいいのだろう…。

 どうすればいいのだろう…。

 どうすればいいのだろう…。

 散々迷った挙句、一緒にいたいという気持ちを、メールに書いて恐る恐る送ってみた。

 彼女から、少し経ってから、電話が来た。

 受け入れてもらえた。

 嬉しさのあまり、涙が出てきた。

 鼻水も止まらなかった。

 そうして、また、付き合うようになった。

 そして、それまでなかった、キスやハグもする様になった。

 久々に女性を受け入れた。

 始めは、彼女の心の底を繋ぎ止める為に、意識してキスやハグを積極的に沢山していた。

 でも、そうすることで、段々と心地よくなって安心している事に気付いた。

 すると、その事を、無意識にするようにっていった。

 彼女は、いつも、嬉しそうだった。

 彼女は、身体の関係を持ちたがっていた。

 なぜそうならないのかと、不思議がっていた。

 私の中では、まだ、そこまで関係が深くなってはいないと思っていた。

 最後まで、何があっても逃げない覚悟が出来たのならば、そうしてもいいかと思っていた。

 それに、年齢から来る、性欲の衰えもあった。

 だから、キスやハグだけで、心の底が、満たされて、十分だった。

 大人の恋愛は、きっと、こういうものなのだろうと、割り切っていた。

 彼女は、関係が深まらない事への不安症に陥っていた。

 彼女なりに、一生懸命に私との心の底に、折り合いをつけていた様だった。

 でも、しょっちゅう、喧嘩をした。

 彼女は、考え方がかなり抜けていた。

 だから、私がしっかりと補強した。

 それを彼女は、戦国時代の武家の様な定義だと言っては、嫌がった。

 ここを引き下がったら、私の心の底が崩れてしまうから、必死だった。 

 一歩も引かなかった。

 やっぱり、関東地方の女性は、考え方が斬新で、少しラフなのかなと思って、大分悩んだ。

 でも、譲るつもりは、毛頭なかった。

 私は、こういう男だから、これを受け入れてくれる女性にしか、興味がなかった。

 私は、これていいと思っていた。

 私は私だから、変えるなんてありえなかった。

 彼女は、しょっちゅう、泣いていた。

 私は、それは、彼女の幼さからそうなるものだと思った。

 ある時、彼女から、そんなに石橋を叩いて叩いて叩いていると石橋が壊れちゃうよと言われた。

 半ば本気に、半ば茶化していた様に見えた。

 確かに、それが、私の弱点だった。

 この定義を何とかできたら、今頃は、もっと出世をしていて、結婚もしていて、望む人生を歩めただろうと分かっていた。

 でも、心の底の折り合いが付けられずに、ずるずるとこれまで生きてきた。

 何でもかんでも手に入れる事が出来ないという現実を、当たり前の様に受け入れてきた。

 興味を持っても、与えられるものにしか、手に取らなかった。

 必要最小限を暮らす事が出来たらいいと思っていた。

 無理をしない。

 それが、私のモットーだ。

 彼女は、恋愛に対して、日本女性らしくない、積極的過ぎる所があって、しょっちゅう、面食らった。

 欧米の女性みたいだと言った。

 何か、不服そうだった。

 彼女は、本当は、こんな事はしたくないけれども、全然関係が深まらないから、頑張っているだけだと言い放った。

 お、お、お、お、お、怒っている…。

 何か、何か私は、地雷を踏んだのか…。

 怒った女性は手に負えない。

 しかも、彼女は考え方が幼いから、ごねるごねる…。


 嗚呼、困った。

 困った。

 困った。

 困った。

 私…、私が悪いのか?


 彼女は、女たるもの受け身でいたいと、言い放った。

 でも、何故か、私の時には、頑張ったんだと、うるうるし始めた。


 嗚呼、困った。

 困った。

 困った。

 お願いだから、泣くのはやめて…。


 私の側にいたいから、女として譲れない心の底を乗り越えたと、怒りながら言い放った。

 今度は、怒るのですか?

 そして、言い放った内容は、何か、考え方が古風だ。

 何時代の人ですか?

 彼女に、古風だねと言った。

 彼女は、ショックを受けたようだった。

 私は、よく分からないけれども、この話をする度に、おかしくなって、愉快に笑った。 

 そういえば、彼女は、付き合い始めた頃、好き、愛してる、愛しいの、愛情表現の区別が出来ていなかった。

 だから、丁寧に教えたつもりだったが、理解しないで、私を残念そうに見つめた。

 好きから始めた。

 でも、愛してるは、生涯をを共にする人にしか言わないと、きちんと伝えた。

 だから、まだ、愛してるは、言えないと告げた。

 あんなに絶望した顔をした人を見たのは、初めてだった。

 そうこうしている内に、彼女の側に、同年齢の男性がうろうろし始めた。

 同じ会社で同じ工場の品質保証部の人だった。

 独身だそうだ。

 始めは様子を見ていた。

 その内に、彼女は迷い出しているように見えた。

 そして、何時しか、笑顔で話しているのを見かけるようになった。

 楽しそうだった。

 私は、とても、焦った。

 これは、浮気なのか?

 心の底と向き合った。

 そしたら、彼女と別れる事が、悲しいと思った。

 考えて、心の底をそのまま手紙に書いた。

 後で考えみると、好きだとか愛してるだとか愛しいを書いてしまっていた。

 私の定義は、一気に崩れたみたいだった。

 それほど、この件で彼女は、私の心の底を強く揺さぶった。

 ついでに、私の心の底を歌い上げてくれるCDを贈った。

 聴いてほしい番号を振った。

 1曲目は、彼女の中で生き続けていきたい、というストレートな激しいバラードにした。

 2曲目は、彼女の事を忘れるわけがないと、ロックで叫んでいるので、決めてみた。

 ばっちりだ。

 …、でも、彼女はどう思うだろう…。

 私とは考え方が、全く違うからなぁ…。

 女心は、難しい…。

 …、彼女から連絡が来た。

 また、私に向き合ってくれると言った。

 つまり、浮気してたんだな…。

 嗚呼、仕方がない。

 許してやるか。

 私に、軍配が上がった。

 それからは、好きだとか愛してるだとか愛しいを、沢山言うようになった。

 いい慣れてくると、そんなに、悪くはない。

 ごく自然な愛情表現のようだ。

 でも、彼女はたまに、口元をもごもごさせて言葉を飲み込んだり悲しそうな目をした。

 何か、私の、愛情表現が、まだまだ、足りないようだった。

 甘えん坊さんなんだな。

 仕方ないか。

 甘えん坊さんは嫌いじゃないし。

 やっぱり、幼いな…。

 暫く、そう思って、愛情表現をし続けた。

 そうしたら、ある日の事、突然メールで、同性愛者なのかと尋ねてきた。

 無理してないかと、書いてきた。

 私は、怒り狂った。

 即にメールを送った。

 同性愛者ではないと。

 ただの女好きだと。

 歳のせいで性欲が衰えていると。

 私は今のままで十分に満たされている、と書いた。

 抱かないくらいで、何で、こうなるんだ。

 私がそんなに悪いのか。

 理解出来ない。

 そんなに抱かれたいのなら、他の男にくれてやる。

 分かれてやる。   

 それが、彼女の為だ。

 心の底も身体も満たしてくれる他の男性を探せばいい。

 彼女から、お別れのメールが届いた。

 だから、心を込めて、きちんとお別れをしようと思った。

 離れていても、彼女の事を応援してると。

 何かあったら、何時でも、助けると。

 だから、何時でも頼っていいと。

 側で支えることはしないと。

 これまでの礼も書いた。

 不甲斐なくて、我儘なのに、付き合ってくれて、有難う、感謝してると。

 そして、メールを送った。

 すると、即に、ラインが送られてきた。

 分かれたくないと。

 でも、条件付きだった。

 私達は、家を継ぐ者同士だから、いつかは別れると。

 そして、その時までは、今迄通り付き合っていくと。

 もし、どちらか一方に、未来を見れる人が現れたら、家庭を持つ事を見られる人が現れたら、別れようと、書いてあった。

 彼女は、彼女なりに、精一杯、考えているようだった。

 彼女の考えの中に、彼女の両親の影響を強く感じた。

 でも、これが、一人っ子同士である私達の現状なのだと、受け止めた。

 少し、納得がいかなかったけれども。

 ラインを即に返送した。 

 これからも宜しくお願いしますと、書いた。

 その後で、電話を掛けた。

 声がわなわな震える涙声で、もごもごもごもごと話した。

 彼女もわなわな震える涙声で、もごもごもごもごと話した。

 もう離れてしまう事が現実になってしまったという事に泣いたと、正直に話した。

 もう、彼女の笑顔に会えなくなってしまうのが怖かったと言った。

 でも、自然な笑顔がいいから、無理して笑わなくてもいいと言った。

 そうして、山を越えた。

 私達は、その後も、しょっちゅう、喧嘩しては仲直りした。

 よく、将来の話もした。

 彼女は、跡取り娘だから、一人っ子とは結婚できないと何度も言った。

 暫く考えてみた。

 だから、婿入りしてもいいと言った。

 そもそも、私は結婚するつもりはもうなかった。

 子供も、この歳では、持たないつもりだった。

 家の跡も継がないつもりだった。

 お父さんからは、家も畑も継がないでもいいと、いつも言われていた。

 お父さんが、好きに生きろと、私の生き方を理解してくれていた。

 お父さんは、本当は、家も畑も継ぎたくはなかったそうだ。

 だから、私に同じ思いはさせたくはないと、いつも言われていた。

 それに、お父さんの姉の3番目の息子と、一緒に仕事をしているから、養子にもらって、跡を継がせると言っていた。

 その人は、まんざらではなさそうだと聞いていた。

 それを、そのまま、彼女に話した。

 そして、だから、婿入りしてもいいと言った。

 彼女は、始めはとても戸惑っていたが、何か踏ん切りがついたのか、とても喜んでくれた。  

 そして、彼女の両親にその話をしたらしい。

 すると、猛反対されたそうだ。

 これまで育ててくれた家を蔑ろに│(ないがしろに)│する様な人なんて、いらないと言ったそうだった。 


 じゃあ、一体、どうすればいいんだ…。


 彼女の両親からの、彼女への監視が始まった。

 私と別れさせようと、躍起になりだした。

 彼女は、心の底が、どんどん疲弊していった。

 私は、側で、一生懸命に支えた。

 春には桜を、夏には紫陽花を、秋には秋桜を、冬には椿を見に連れて行った。

 私は花が好きだったが、彼女もそのようだった。

 愛する人との共通点を見つけられる事ほど、嬉しいものはない。

 あと、陶芸や七宝焼にも連れて行った。

 彼女がやってみたいと、前から言っていたのを覚えていた。

 イルミネーション、綺麗だったな。

 彼女を放っておいて、写真を撮りまくった。

 勿論、彼女には、後で、写真をメールで送った。

 とても、喜んでくれた。

 都心に行っては、迷子になって、くるくるくるくる歩き回った。

 彼女に申し訳なくて、何度も謝った。

 彼女は、驚いていた。

 別に、謝らなくてもいいと思っていた様だった。

 でも、男として、無駄に歩かせたくはなかった。

 彼女は、スマートフォンの検索エンジンにコンビニスイーツが紹介されてきては、美味しそうだと、教えてくれた。

 だから、コンビニエンスストアに行って、沢山、スイーツを買ってきては、一緒に食べた。

 勿論、彼女も買ってきてくれた。 

 そして、案の定、私達は、太った。

 50代は代謝が悪くなっているから、太りやすい…。

 注意するべきだった。

 だから、それからは、紅茶と珈琲だけにした。

 相変わらず、彼女は、ここのコンビニエンスストアのスイーツが美味しそうだと、楽しそうに言った。

 其々のお誕生会もした。 

 手作りのお菓子を用意した。

 クリスマスも一緒に楽しんだ。

 その頃には、私のアパートで、彼女の頭を私の膝の上に乗せて、頭を撫でながら、スマートフォンを見ることが、日課になっていた。

 本当に、幸せな時間だった。

 段々と、喧嘩する内容が変わっていった。

 彼女は、私と彼女の熱量の違いを苦しんでいた。

 彼女は、アモーレを沢山感じたいタイプだった。

 私は、穏やかな愛情表現を積み重ねていきたいタイプだった。

 考え方が真逆だった。

 そして、彼女は、いつも、他に好きな人が出来たのかと、聞いてきた。

 だから、私は、そう思われる節があるのだと自分を責めた。

 私の不甲斐なさを感じた。

 彼女を不安にさせてしまう何かが、私にはあるに違いない。

 彼女は前からだったが、更に不安症になってしまった。

 仕方ないから、諦める事にした。

 別れ話を切り出した。

 今迄の感謝をきちんとした。

 すると、彼女は、いつも、迷いだした。

 そして、また、付き合っていくことになった。

 その繰り返しだった。

 ある時、彼女は、私に、俺の側から離れるな、位、言ったらどうなのかと、詰られた│(なじられた)│。

 それもそうだから、否定はしないで、謝って、受け入れた。

 別れなくてすんだから、泣いてしまった。

 前の私なら、絶対に謝らなかった。

 少しは、私も、成長したのかもしれない。

 ある時、彼女の両親に、まだ、付き合っていることがバレてしまった。

 彼女から、彼女の両親が言った事を、しっかりと聞いた。

 それには、彼女が、この先、私と関係する事で、傷つくだろうと、それを阻止したい親心があった。

 私は、とても、それを、理解した。

 それを、彼女にも伝えた。

 彼女は、パニックを起こしていた。

 彼女は、両親に内緒にしておくことが出来ない、分かりやすいタイプだった。

 だから、これから先の事は、慎重を要した。

 愛を深めながら、彼女との日々を過ごしていった。

 


         つづく

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