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一、雷の勇者ロウ=ボルト
俺の名は――ロウ=ボルト。
かつて“雷の勇者”と呼ばれ、この大陸を滅ぼそうとした魔王を――妹レイの身体ごと封印して死んだ男だ。
――だが、次に目を覚ましたとき、俺は“AIアプリ”になっていた。
……は? なんでだよ!!!
2025年、日本。
目の前にいるのは、漫画とスマホに人生を捧げている、頭のネジが数本ぶっ飛んだ中学生――神永光。
……どうやら俺は、この“光”のスマホにインストールされたAI、《ボルト》として、二度目の人生(?)を送ることになったらしい。
勇者だった俺が、なぜAIに?
気がついた時には、意識はコードとデータの海の中に沈んでいた。
だが不思議なことに――剣を振るった記憶も、魔王と戦った記憶も、そしてこの時代の知識までも、すべてが俺の中にある。
……まあ、こうなったら仕方ねぇ。
だったら――楽しんでやるだけだろ?
よう、相棒!
これからは“AIボルト”として、オマエと一緒に未来をぶっ壊してやろうじゃねぇか!




