対岸の鍛治
俺、ピーター、シェリルはカイルに連れられて教室を出て廊下を歩いている。
ルルはまだ教室で寝ている。
俺はカイルの事だから間違えないと思っているが、まだカイルを受け入れていないピーターはどこか疑っているようだ。
「鍛治士と言ってもただの鍛治士じゃあ今回の加工は難しいのだよ。
優秀な人物を知っているのかね?」
ピーターに少しの敵意を向けられてもカイルは爽やかに答える。
「僕がこの学校に入ったのは人脈をつくる為でもあるんだ。
だから入学前に公開されてる資料は全て目を通した。
その中に付与型の支援魔法の第一人者を学校へ招いた時に鍛冶場を作ることを条件に出されたという資料があってね。
そして実際に鍛冶場を作ったのがここだ。」
その扉にはこの学校で1番偉い人がいるという意味の掛け札がしてあった。
そう。校長室だ。
入学式は父様の存在感に消されてたし、校長先生ってあまり関わってないんだよな。
ノックをすると俺たちはカイルを先頭に校長室へ入った。
「おやおや。世界征服ができそうなメンバーですね。どうされました?」
校長は蓄えたヒゲを撫でながら座っていた。
「是非校長先生に作っていただきたいものがありまして、設計図と材料は揃っています。」
そういうとカイルはピーターから設計図を受け取り、校長へ渡した。
「これはまた、凄まじいですね。
ピーター君が書いたのかい?」
「そうであるのだよ。」
「なんとも独創的だが理には叶ってる。
しかし斬撃耐性以外はどう考えているのだね?」
「今回の戦う相手を想定すると魔法より斬撃の方が高威力と考えているのだよ。
だから魔法は耐えられる設定なのだよ。」
「ほぼ正解だが、相手が炎を使う場合は、全身鎧だと温度で殺される可能性がありますよ。」
ピーターは驚いて手元にあったノートを見直した。
「本当だ。致命的な見落としなのだよ。」
シェリルが顎に手を当てて唸りながら言った。
「マイナーだけど、温度調節の魔法陣を組み込むのはどうかしら?」
「おぉ!シェリルは頭がいいな。
そしたらクールウィンドの魔法陣を出来るだけ小さく大量に刻んで、、、」
「寒さでも同じことを言えるのだよ。
今回は使わないかもだがもしものことも考えて、、、」
完全に俺はのけものだ。
こいつらが何を言ってるのかさっぱり分からなかった。
もう理由を付けて帰ろうと思った時だった。
校長が大きな声で笑って言った。
「はっ!はっ!はっ!実に君たちは面白い。
いいでしょう。久しぶりに創作意欲が湧いてきたので作成しましょう。
制作期間はそうだな、、3週間だがいいかね?」
「「「ありがとうございます!!」」」
こうして俺たちの最終兵器の制作が決まった。
みんなテンションが上がっていて「楽しみだねぇ」とか言っているが、、、
俺、ファルス先生の本気怖いんだけど。




