獅子退治準備
ホームルームが始まる前にピーターはいつも話しかけてくるようになった。
先生を倒す為の作戦会議だ。
「まずはリックス君の装備を整える必要があるのだよ。
闇属性魔法で鎧をコーティングして刃を通さなくする必要があるのだよ。」
「二人ともいつも何を話してるの?」
シェリルが無邪気に話しかけてきた。
やはり彼女は顔が近い。
「だめなのだよ。
君は父親のスパイの可能性がある!」
「えーっ!いいじゃない。ねっ!?リックス君。」
シェリルはむくれた顔を俺に近づけてきた。
これには弱い。
なにせ俺の女の子への免疫は絶滅しているのだから。
「かっ!彼女は大丈夫じゃないかな?」
「色仕掛けなんて余計にスパイの可能性が高いのだよ。
先生の得意属性も分からない今、スパイを引き入れるような危険は犯さないのだよ。」
「パパの得意属性は火だよ。そして無詠唱。」
「よし。今日から仲間だ。シェリル君。
次の議題だが、今足りていないのは硬い素材と優秀な鍛治士なのだよ。」
ピーターは意外にもシェリルをすんなり仲間にした。
こいつは意外にコミュニケーションが取れない訳ではないのかもしれない。
「私、素材の方なら用意できるかも。」
彼女は優秀だな。
俺はいなくてもいいんじゃないかとさえ思えてきた。
「硬いと言っても鉄とかではないのだよ。
カルムタイト鉱石級の合金だ。
それがないと一瞬で真っ二つにされるほど君の父親は化け物なのだよ。」
「多分大丈夫よ。
上級地属性魔法の授業で見たから。ほらあの子。」
シェリルが指を指す先にはお昼寝している天然パーマのオーバーオールの女の子がいた。
「ルルちゃーん。起きて、起きて!」
シェリルは誰にでもフレンドリーだ。
きっと人が好きなのだろう。
モテない男たちは勘違いしそうだ。
「ふぁーっ!おはようシェリたん。」
気持ち良さそうに寝ていたのを起こされたのに彼女は上機嫌だった。
きっといい人なのだろう。
そばかすがまた特徴的だ。
「リックス君とピーター君がカルムタイトみたいな硬い素材が欲しいんだって。」
「えーっ!凄い疲れそう、、、
まぁ、いいか。しょうがない!
リッくんとピーくんね。
二人の魔力なら足りそうだし。
多分、完成したら私たちはお昼寝タイムだから先生はシェリたんがなんとかしてね。」
「えっ?ルルちゃんどういうこと?」
ゴーグルを外して近づいていきながら魔眼でルルを観察しているピーターが代わりに答える。
「妖精の魔力を使うと反動で眠気がくるのだよ。
彼女はこの歳で3種の妖精と契約してる化け物ってわけなのだね。」
「化け物は心外だよ。協力するのやめちゃうよ。」
「ごめん!ごめん!ピーターもそんな事言うなよ。
ルル、宜しく頼むよ。」
あれ?女の子なのにルルには普通に喋れるな。
キャラクター感が凄いからかな?
「分かった。
じゃあ二人の背中を触りながら魔力をいただきます。
そしてぇ、ここの地面を、、、うーっ!はぁ!」
バキバキッという音と共に教室の地面が沈んでいき、結構な大きさの合金が出来上がった。
そして教室に入ってきたファルスの驚きの声を聞きながら俺たち3人は深い眠りについた。
、、、、
「目が覚めたかい?実はまた盗み聞きしてたんだけど、鍛治士は僕に心当たりがあるよ。
ライオン退治に参加させてくれ。」
目を開けると一流王子が爽やかに笑っている。
そしてその奥で父親の説教から俺たちを守ってくれたシェリルが疲れた顔でピースをしていた。




