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「―――っ!」
彼はその場に伏せ、赤子の口元へと耳を近付ける。すう、すう、すうと小さく息をしていた。続いて心臓の辺りに手を当てて確かめる。どくん、どくんと掌に鼓動が伝わってきた。
「あ、ああ……! 生きている……! この子は生きている……!」
震える腕で小さな体を優しく抱き上げると、彼はその寝顔を自分の頬に擦り付けた。地震直後、周りの全ての人々が、街が、恐怖と混乱の渦に飲み込まれているこんな状況だというのに、この子はこんなにも安らかな顔で夢を見ている。
「お前は生きているんだぞ……旭……!!」
鬱蒼とした茂みの中、彼は唯一遺された孫の温もりを確かに感じていた。




