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硫黄とサンダーボルト  作者: ジ・エモン


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(4)正流剣士





 じつをいうと、ヨハナの記憶はすこし戻っている。

 これは、師のハモには知らせていないことである。つまり、ヨハナの悪いくせだった。



 十二年前、ヨハナはハモに弟子入りした。そのつもりでいるが、正確には、ヨハナが来たのがその五歳か六歳か、――実は、ヨハナも知らない。ハモのもとにほとんど養子のようなかたちであずかられたときに、周囲の大人が話しあってそれくらいだろう、と予想したのだ――そのころには、まだ、弟子入りとか剣の道にすすむとか、そういうことにはなっていなかった。

 最初、ヨハナが語れる記憶によると、ヨハナは気づくとナキ湖の湖畔に一人でいた。どこから来たものやらもわからない。格好はすでに泥だらけで、だいぶ混乱してあたりを歩き回ったようだった。

 そのまま野の獣におびえながら……ウヨウの付近には、これというほど恐ろしい猛獣はいない。そのことが幸いしたのだが、幼子の足としては驚異的なことに夏の夜の一晩をかけ、虫刺されだらけになりながら、ウヨウの街の近くまでたどりついた。街の東口、それも待機場のはしをうろつくこの幼児は、誰から見ても奇異であった。全身は汗と埃、泥と木くずにまみれ、目は血走り、クマでらんらんとして、あきらかに貧しい子どもではない、異国めいた、質のいい子ども服を着て呆然とさまよっている。

 ウヨウの街の人々では、それが服であることはわかるが、ほどの認識できないどこぞの国の服だった。それは後で、アカヘビの国の南、隣国菜の都のさらに先にある暮家ぼうかと呼ばれる異邦の地の服装である、と、街の物知りの学者が言ったそうだ。

 とにかく飢えていた。ヨハナはその場で物乞いとなり、二週間はどうにかしのいだが、ついに飢えに耐えかねて二月とたたず、盗みをはたらいて捕まった。

 ヨハナのことは、妙な子供がいる、と知らせを受けていた(ウヨウの)自治組織から、役人に身元をひきわたすよう願いが入っていた。ヨハナは、引き渡された。

 が、話をしてみると、この子供は言葉すらわからない。時折喋る言葉は、かたことで、それはウヨウでおぼえたらしい数個しかない単語と、また、珍妙な異国の響きがある言葉、つまりは言語であった。

 このときはじめて話をしたのは、若いウェン・チェンヂであった。闊達で、ものやわらかい雰囲気をもつこの男は、女手の少ないのがたまにキズの「赤呑み」のなかでは、非常に子供好きだった。

 そのころ赤呑みに入って三年ほどで、年は二十二。家に器量のよい嫁がいる。


「家は?」

「わかりません」

「わからないって? 道を覚えていない?」

「(無言で、こくこく、とうなずく)」

「名前は? わかるかい?」

「……」


 ヨハナは言葉につまった目で、チェンヂを見た。チェンヂは、事前に盗みをはたらいたこの子供が、ほかの子供らから置いていかれたようだ、と聞いていた。そのため油断はしてなかったが、どうも、言葉どおりそそのかされたらしい。実際、半分くらいはそんなところであり、ヨハナはタィ・ユランとのあいだで、このことでちょっとした因縁になった。


「どうやら本当に名前もわからないようだ」


 と、赤呑みの組織人たちは、結論づけた。そうなると、この子供はどこからどうやって来たのか、となるが「人さらいだろう」と、そのようにした。実際、そういう話はないわけでもない。連れてきた子供を捨てていったのか、と、そんな話にもなるが、そういう話もないわけでもない。

 ヨハナの質のいい服装がそう判断して対処させる原因にもなっていた。「ナキ湖の周辺にいるまでの記憶が、生まれも育ちもいっさいなく、自分がだれかわからない」というヨハナにとっての事実は、当然、今にいたるまで誰も信用しない。これはおかしくはあるが当然のことであって、ヨハナ自身も結局そういうことであきらめていた。

 そのほうが、頭の切り替えがきくようであるときは、人間、けっこうそちらをとるものだ。あるいは妥協とそれを言う。ウヨウの方言で言うと、ジィホウ花の小さいのを摘む、とも言う。

 とまれ、実際に大事なのは、身柄の行き先である。身柄ではない。

 ヨハナの場合、放逐か、だれか預かり手を探すかと言うことになったが、ことは人間ひとりであるから、犬猫を飼うというわけにはいかない。人間は犬猫よりもずっと長く生きる。人間としての受け皿も大きくいる。

 当然、預かり手はなかなか候補が浮かんでこない。預ける、となったら、それ相応の落としどころが必要だし、預けるほうの信用もかかるから、ちゃんとした人間を選ばなければならない。これもまた信用された人間を。

 赤呑みのなかでは、放逐が六、預かりが四ということで、三日話しあって決まらなければ放逐であった。このことは、ヨハナは赤呑みの組長のジィンから聞いた。たしかに、そうやって一人で生きる子供もウヨウではめずらしくない。ヨハナと同い年くらいの子供はさすがに少なかろうが、いないわけではないし、気候もゆるくそうした人が生きながらえやすいこともある。事実、そういうような理由で、身寄りのない子どもたちというのは路上にいる。

 あとは夜の女街にあずかってもらうか、赤呑みに知り合いがいたので、そういうことはありえた。リン・シーカが申し出て決まりかけていた空気もあったらしい。リンの家も二人子供がいて、そんな余裕はないはずだが、あそこは奥さんのネェラ婆さんも旦那同様おおらかだ。

 が、だれにも思いがけないことがそこで起こる。

 ある日のこと、赤呑みの詰め所を、師のハモが訪ねてきた。で、副組長で年嵩だった……いまは引退している。彼の娘が男まさりに赤呑みに入って活動している、いまは……ズワイ・アーシミターと語らい、その日、旧知をねぎらって酒を飲み交わした。

 その席でハモが急に言ったという。


「ところで、◯日前、身寄りのない女の子供を預かっただろう。名前もわからぬ、言葉もろくにわからぬ子だが」

「ああ、そうだが」


 と、ズワイはいぶかしみもせず言った。内心ではどうだったか。が、ハモなら赤呑みには知己も多いから聞いたことは十分あった。が、なぜ今持ち出すのかはわからない。ハモは言った。


「処遇が決まっておらんのだろう?」

「ああ、難儀している」

「では、その子供、私が預かろう」

「いいのか?」

「ああ」

「しかし、子供といったって、其方ソナタ……」


 ズワイはちょっと眉を上げた。信用がないのではないが、ハモは街の外の人間である。それに口返事ふたつ、渡す渡さないは、さすがに言えない。


「心配をすな、といってもむりだが、べつにこの年で娶ろうなどと考えたのではない」

「だが、家の世話はさせるのだろ?」

「ふむ。子という体裁がまずいのであれば、こうしよう。正式に弟子としてとる」

「あん? 剣術か」

「体裁じゃ」

「なお悪い」


 ズワイはやや怒ったが、結局、一考すると返事した。そうして、三日後、ハモは本当にヨハナを剣の弟子として取ることを言い、幼いヨハナが見上げる横でこれは正式なものである、と言い残し、そのまま山のほうへと連れ去っていった。

 以来、十二年。

 じつをいうと、ヨハナの記憶はすこし戻っている。

 これは、師のハモには知らせていないことである。つまり、ヨハナの悪いくせだった。



 ウヨウの街。

 現在。



 剣術、とひとくくりで言うものの、ウヨウにおいては、みっつに大別される。

 ひとつは正流剣術、もうひとつ、古代より洗練されてきた直剣をもちいた古戦流――または、赤土剣術、そして、もうひとつ。

 古流剣術。

 古流、とつくから、正流に比するものに思えるが、実際はそうではなく比すれば圧倒的に古流とよばれるものが、少数派である。

 独特な東の山国から伝わった。山国とは言うが、このあいだにあるのは峻厳なるオウド山脈であり、本来この遠国とアカヘビの国とは完全に断絶されている。巨大にして長大な山岳地帯と、ほんの一部が海に面した国土をして、船土ゼーィンと呼ぶこの国には、ある特徴的な刀剣があり、この刀剣をもちいた剣術が、古流剣術とよばれる。

 その伝来は船をもってようやく成った。しかも、ただの気まぐれみたいなものであった。

 最初、渡ってきた刀剣は、この船土特有の質のよくない鉄をもって、打ち上げられた。

 つまりは美術品である。言い方を変えれば、珍品。

「鍛冶屋に寄りたい」と言ったフォドレーに連れられ、ヨハナは適当に顔見知りの鍛冶屋にこのお客を連れていった。

 フォドレーの腰には、じつは出会ったときからずっと長剣が一振り提げられてある。

 あまりに動作になじんでおり、耳にさわるような金属音が極力立たないよう、フォドレーが歩いているから、そこにあるのが当然のようにたたずんでいる。使いこまれ、柄にそっけない飾りのかたちがあり、刀身は直剣よりも細かった。

 おそらく正流の流れでもちいるものだろう。

 正流の剣術というのは、戦の中で鍛え上げられてきたものである。いわば、剣術というより戦闘術や徒手格闘に近い。

 相手を殺すことに重きを置き、戦場で生き残る防御法にもすぐれている。この流れは、護身の術に転化された。


「耳を切り落とし、指を削ぎ飛ばす」


 とも言われる苛烈な剣で、根本は刺す、といえば敵の臓腑と心の臓を的確に狙い、一撃もしくは、二撃で息の根を止める。致命傷を負わせるのを目的とする。

 そのほか、鍛錬術として「剣を振る」ということを身体に覚えさせるための訓練剣術がある。これを競技に転化して、兵同士の技量の洗練、また日常的な「名誉」を育てる小道具として発達したものも、また正流剣術とされる。

 性質は大きく違うが、発達の方向性として、明確な区別はされていない。

 師のハモによれば、人を殺す正流の剣士は、足音を立てず、剣が鎧とこすれあう音も立てない、ということだ。

 また、剣士とは言うものの彼らが剣をもちいるのは最後の手段であり、普段は槍を持つ。槍を使い、歩上にあり、槍で戦う。槍どころか、有用な戦での武器はなんでも使う。投石の方法まで身につけているという。

 とするとフォドレーはどちらだろう、と、ヨハナは考えながら、横に立ってなにくれとしゃべっていた。

 付きまとううちになんとなくわかってきたのだが、フォドレーはよくしゃべるものの、よくしゃべることを好いてはいない人である。といって愛想はよく、会話が嫌いなわけではない。

 無駄な話が好ましくない、おしゃべりである、と思うようだった。


「これが『名にし負う』ウヨウの古剣か……」

「正確にはもととちがうものだそうですけれど」

「へえ?」

「もとはですね。えーと、そう、もっと質が悪いんだそうです」


 こそこそと、ヨハナはちょっと声をひそめた。が、顔見知りの鍛冶の店主は、ちょうどよくそんな様子を流している。人が良さそうに、刀剣の手入れなどしていた。あまり忙しそうでない。

 ヨハナは続けた。


「質が悪いのは、使う鉄の話で。この古剣は、もとはといえばややつなぎの悪い鉄というのを、幾層も幾層も……気の遠くなるような回数薄く薄く重ねて、切る、突き刺すといった切れ味に特化して、重点をおき、一本の刃物になんとかしたような、そういうものなんだそうです。なので、ここいらで作るときには、正確に再現してるとは言えません。鉄の良し悪しが違うので」

「なるほど」


 フォドレーは、特徴的な刀剣を掲げた。その刀剣は、一言で言えば曲剣といえた。流麗な曲線をえがき、片刃で、刀身は驚くことに白地と黒地で完全に「仕分け」されているのだった。白地は刃で、黒地はいわば鉄の棒だった。それもひどく折れやすいという特徴を備えていそうな。


「綺麗なもんだ」


 フォドレーは感嘆して、柄の部分を左右に振るように、重心をたしかめた。が、そこまで興味はなかったらしく、刀剣を元にもどすと、店主となにか話に行った。


「この街で長剣を扱っているところを探している。古い剣なので、腕に確かな店がいい」


 と、要約するとそのような内容だった。人のいい店主は、こちらは商売の話が専門でやっているらしい役柄で、やや率直な物言いにも、愛想よく応じた。フォドレーが見るからに役人だったからだろう。


「……」


 と、フォドレーが話しているあいだに、ちらりとヨハナなどは、通りのほうを見ている。それなりに大きな通りで、すぐそばに小さな橋などかかっている。

 ウヨウでは水は豊富であり、水路をもうけて町中に流すほどである。水路は、中心となる大通り、西口から東口への、に一カ所大きな橋をかけ、あとは街のいたるところへ分岐していっている。整備が行き届いていないところでは、子どもとそれ以上に酔っぱらいが落ちた。彼らは酒を酔うほど飲んでいるので、小用を足そうとしたり、吐いたり水路の水を飲もうとさえするためだ。

 きたない話はさておき、ヨハナが見ている先にはその水路と橋と通りとがあり、橋の上で物売りが休憩などしている。

 のんきなものだ。その足元の水路は、およそ三千年とも、四千年ともつかない昔、建築された下水道装置、というものをその地下に流している。

 はるか昔、ナキ湖のあたりは徐々に後退した水のあとが長年水中にたくわえた肥沃な土地をむきだしにしており、そこを中心に耕され大きな文明が起きた。

 ウヨウはいわばその都市がたびかさなる戦で崩壊したあと、ふたたび建てられた街で、いまはいっぱしの大きな顔をしている。が、その前にあった古代都市はその何倍も壮観で、美麗で、整頓されていたという。

 人が成熟した文明をきずくには、五百年か六百年も安定した土壌と、人が集団で形成する都市といういきものを育めばよい、と、いまの学者などは言うが、かつての古代都市はその最中にあった。

 そして、成熟した学問と都市文化のうえにあぐらをかき、文明が進歩しなくなり、ちょうど放っておかれた熟した果実が腐るように、都市と、人間が腐っていった。

 そのうち、暇にあかしてなんとなく起こした戦が、人の逃散チョウサンと文明物のいたずらな破壊を生み、やがて、修復する者もだれもいなくなり、静かに崩壊した。

 ……とは、伝え聞くものであり、ほかにも天変地異や集団失踪、ごそっと人さらいに遭ったなど、説がある。

 勝手に言えばいいことである。ヨハナは通りにやっていた目をフォドレーに戻した。話が終わりそうだったからだ。目を戻すさいに、帽子をさっと、なにかの身ぶりをしたようにも見えた。その身ぶりとともに、橋の下にいた繕いものの露店主がぐぐ、と身体をのばしあくびしたのが見えた。


「すまない。待たせたね。次に行く場所なんだが……■■✕っていう店、知っているか?」

「はい。でも、念のため店主さんに知ってる店かどうか、確認をします」

「ありがとう。ところで、君、さっき誰かと話してなかった?」

「え……いいえ。その、どうして?」

「どうして? か? うん、そうだな。私が仕事にやましい点があって、そのせいでまわりに気を配っているからだよ。風でひらひらスレーズィが揺れるようなもので……」


「けど、気にしすぎなようでよかった」と、フォドレーはにこにこして通りの店のならびを見やった。で、そのうちの一点に目を留めた。


「化粧の店か。にぎわっていそうだ。ついでに見ていこう」


 急に女っらしいことを言った。

 表情も、素か、ややまじめなものに戻っている。化粧の店というのも、仕事で必需があるから、と言いそうなようすだった。

 実際に、フォドレーほど美人であればそういう需要もあるのだろう。剣術などやっているのが、やや剣呑としすぎてはいるが。


「そういえば、船で商人が化粧品の話をしていたな。このあたりでは有名?」

「有名ってほど取り引きはされてないみたいです。このあたりの赤土が鮮やかな赤を出す色というので、昔紅が流行したような話もあったみたいですけど、今は古くて」

「ま、そのうち流行が来るかもしれない」

「ここなら流行のものも売ってると思いますよ。品薄だから残っているかは」

「そういえば君のつけてるのも、赤が鮮やかだ。私はそういうのも好きだけど」

「はは。今つけてるのは、安いやつです。ちょっとつけるくらいなら汗をかいても落ちにくいものなので」


 ヨハナの頭にタィ・ユランに、夜の街みたいだ、と正面からからかわれたのがよぎった。女の化粧を馬鹿にするとは、本当けしからない男牙毛(ナン-ジーチエ。牙毛ジーチエは二足で立つ毛むくじゃらのもの。遠目から人間の子どもに見える。畑を荒らす害獣)である。実際、安いので夜の女街の職業もよくつけている色だ。


「流行りにはうといが、君ならほかの色をつけて着飾っても似合いそうだな。都でも、君くらいの容姿の者は百人……まあ、二百人くらいに一人ってところだろう」

「へへ。ありがとうございます」

「礼を言うのか? いや、ほめたんだが」

「自分より美人から褒められると人間はいい気になるもんです、旦那さん」

「なるほど。君、名前はなんてった?」

「ヨハナと申しますです、旦那さん」

「わかった。私のことはゲマルクさんと呼んでくれ。家名だ」

「ゲマルクさんは正流の剣士でございましょう?」


 ヨハナが言うと、フォドレーはちょっと目をまたたいたような顔になり、「そうか」と、言った。

 会計はらいを済ましてくる、と、ヨハナとの会話のあいだにも店員に声をかけている。そういえば、化粧道具は持ってきていないのだろうか。どう見てもいいところの出である。

 人種的に大別して、アカヘビの国は広い。だてに二百年近く国土を保っておらず、軍略に秀でたカルーマンが百年近くに渡って、国土を悩ましてきた三つの領土問題にようやく終止符を打った。 

 それからさらに八十年余、死の床にあったかの名王が押して国歴を宣言してよりこのかた、「赤歴」として安定の時代を保っている。まあ、それはごく近年に揺るがされることとなっているが……もともと国人としてあった赤土の民人ミャンリと、西の騎歩民族、大青歩ヅンアンホゥ、大青歩の戦利奴隷として混血がすすんだ金髪紅毛碧眼の金草コンソなどが、三つ、人間の形としては分けられた。

 このうち金草は、大青歩に戦でこそ負けたが、三度にわたる超規模の蝗子羽ウーヂュチャによる大食害をきっかけに衰退した大青歩にかわり、独立して地盤を固め、かつての祖国やその隣国と「同類である」として、強固にむすび、大躍進した。これがアカヘビの国の南の隣国、菜の都の前身である。

 菜の都の人種的混沌は、アカヘビの国よりさらに繁雑である。もとは金草が全盛だったころの征服、制圧地であるからである。奴隷がきっかけであった彼らも、勢力が増すと、争い他地を切りとって奴隷を為した。

 正王エンジャはこれを重しとした。さらに争って領地を拡大したこの名君は、奴隷を良しとせず、あらたな身分制を推進した。

 正流とは、このエンジャにあやかる名前である。





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