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51 騎士団長の息子は片付ける

一段落なのかな?


「こ、これは一体・・・」


庭園の方まで運んでくると、何人かが気づいてこちらに視線を向けていた。その人数はやがて増えて今ではほとんどの貴族がこの光景を見ていた。その中にはリンスや国王の姿の見えたので俺はわざとらしく頭を下げてから言った。


「サルバーレ国王陛下。こちらは婚約の品でございます。我が主のリンス・ランドリーより、婚約の証として貴国を蝕んでいた『プロメテウス』なる薬の売買をしている連中を捕まえてご覧にいれました」


その言葉に貴族達はざわめく。それはそうだ。深刻な問題をこんなにあっさりと片付けたというものそうだが、何よりその中にはフレデット伯爵の姿があるのだ。騒ぎを聞きつけようやく衛兵がやってくるが、俺とその荷物と人の山を見て唖然としていた。


「き、貴様!これはなんだ!」

「少々無礼ですね。私はこれでもランドリー王国より子爵の爵位を頂いてる身であります。また、今回はランドリー王国の第二王子であらせられるリンス様の護衛でもあります。礼儀を覚えて出直してください」

「そこの者。控えよ」


わざわざ出て来てくれた国王は俺に一度頭を下げてから言った。


「すまぬ、エクス殿。その無礼者には後程ゆるりと処罰を与えるとしても此度の働き大義である」

「いえ、私は主の命に従ったまでです。一応ご確認なさいますか?中身は大量の薬の山。そしてフレデット伯爵は売買の主犯であります」

「一応確認させてもらおう。おい、そこの兵よ。すぐに箱を確認せよ」

「は、はい!」


そうして何人かで調べる。俺の言った通り薬が出て来てことに驚いているようだが、それを見てから陛下は一瞬笑ってからすぐに表情を引き締めて言った。


「どうやら真実のようだな。見事だエクス殿。我が国の脅威を一人で片付けたその手腕。我が国に欲しいと思うほどだ。今一度問おう。我が国へ来ないか?」

「ありがたいですが、私には愛する婚約者が国で待っております。ですのでそう簡単にはお返事できません」

「それは残念だ。ではリンス殿に伺おうか」


そう言ってから陛下はリンスを見ると言った。


「リンス殿。エクス殿は随分と優秀な手駒のようで羨ましい限りだよ。是非とも譲っては貰えぬか?」

「陛下。残念ながらエクスは婚約者のために動く男でございます。それを従わせることは至難であります」

「ほう、それはそれは随分とじゃじゃ馬なようだな」

「ええ、ですが、それが彼の強さの根元ですから。私もシンシア様という婚約者を持って初めて彼の気持ちがわかりました。やはり愛する者がいると気持ちが違うものですね」

「リンス様・・・」


見つめあう二人。ラブラブで結構だが、俺には早く終わらせることが最優先なのでそのまま構わずに言った。


「それでは、私はこれにて役目を終えさせいただきます。もう少ししたらランドリー王国の騎士が護衛のためにこちらに来るでしょう。以降は彼らに殿下を守っていただきます」

「ほう?帰るのか?」

「ええ、今から帰れば明日の朝にはなんとか間に合うはずですから」

「かなりの距離を歩きで帰るとはなんとも根性があることだ」

「陛下。歩きではありません。走りです」


確かに歩きではかなり距離があるが、エクスさんの身体能力なら決して行けない距離ではない。それにね・・・もう、そろそろ限界なのよ。早くアリスに会いたくて全細胞がアリスを求めて仕方ない。アリス成分の圧倒的な不足に飢えが激しい。アリス欠乏症で死ぬのだけは報われなさすぎる。こうして頑張った褒美を他には求めない。俺はただアリスの側にいたいのだ。そんな俺の言葉に陛下は笑って言った。


「ならば、今度は婚約者とゆるりと来られるといい。歓迎しよう」

「私の婚約者が許可を出せばまた来ることもあるでしょう」

「ふむ、では頼んでみるとしようか。時にエクス殿。褒美を欲したりはするか?」

「貰えるなら。ですが今の一番の褒美は早く帰る許可であります。正直私はそろそろ婚約者に会いたくて限界を迎えそうなのです。暇潰しにそこのガラクタを壊していいなら1分くらいは待ちますが」


フレデット伯爵を指差して言うと陛下はそれに対して穏やかに言った。


「では、そこのガラクタが壊れぬうちに立ち去る許可を出そう。詳しいことはリンス殿から聞けばいいのだな」

「はい。リンス様には初めから話してありますから」

「ならばよし。また会おうぞエクス殿」

「エクス。僕もシンシア様と楽しんでからゆっくりと帰るよ。詳しいことはまた今度ね」

「ええ、ではこれにて失礼」


そう言ってから俺はその場から跳躍して城の塀まで飛んだ。その超跳躍に対して後ろで何やら騒ぎが起きているが気にせずに俺は一気にランドリー王国を・・・いや、アリスのいる場所を目指す。今から帰って着替えて学校に行くまでに間に合うだろうか・・・いや、絶対に間に合う。俺は俺の日常に戻るんだ。ひとまずリンスとの約束は果たした。これでこの国近辺では薬の売買は起こらない。再発防止は向こうで勝手にやってくれるだろう。


そこまでは面倒みるつもりはない。俺は早くアリスに会うんだ。ああ、アリスに会い・・・。



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