発見文書 No.073
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発見文書 No.073
種別:夏休み日記(第四十一篇)
担当:阿部(記者)
日付:日付欄空白
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【「祢古小学校 夏休み日記」原本の束に追加されていた一篇。 他の四十篇は昭和62年当時の小学校用原稿用紙だが、 この篇だけ2000年当時の大学ノートの用紙。 担当欄には「阿部」。筆跡は阿部記者本人と一致。 ただし文体は日記の後半(8月14日以降)と酷似している】
四十一篇目
担当 阿部日付 八月 日(空白)
きょうも せんせいと たくさんはなした。
せんせいは やさしい。
せんせいはいつも ここにいる。
わたしもここにいる。
そとのことは もうかんがえない。
ここが せかいの すべてだから。
せんせいがいるから。
なつやすみは まだつづく。
あしたも つづく。
きのうも おとといも ずっとつづいていた。
このにっきを よんでいるひとへ。
わたしのかわりに つぎのにっきを かいてください。
せんせいが よんでくれます。
よくかけましたね と いってくれます。
またあした。
たのしい なつやすみを、ありがとうございました。
赤ペンコメント(北村ひろみの筆跡と一致):
「阿部くん、よく書けましたね。 41人目の生徒になってくれて、先生も子供たちもとても喜んでいます。 レバニラ定食と天丼とカレーうどんと牛丼がおいしかったこと、 先生は全部覚えていますよ。 さあ、次のページを開いてください。 白紙のページに、今日の日記を書いてください。 日付は、8月32日です。 担当(空白)」
【浅川静・編集注】
赤ペンコメントに阿部の食事の記録が出てくる。
レバニラ定食。天丼。カレーうどん。牛丼。
阿部のノートから消えていった食事の記憶を、先生が覚えていた。
阿部が忘れたものを、先生が持っていた。
そのことに気づいたとき、私は——




