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発見文書 No.022

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発見文書 No.022

種別:夏休み日記

担当:池田真一

日付:昭和62年8月10日


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【発見された「祢古小学校 夏休み日記」原本より】


 今日はすげえ暑い。


 温度計見てないけどぜったい35度こえてる。外に出たらアスファルトがやわらかくなってて、くつの底がちょっとくっつく。


 朝から友だちの竹内とプールに行った。学校のプールじゃなくて、となりの町の市民プール。バスで20分。バスの中がクーラーきいてて天国。


 プールについたら、すげえ人。夏休みだからしかたないけど、水の中に人がぎゅうぎゅうでぜんぜん泳げない。幼稚園のガキが走りまわっててうるさい。監視員のおじさんが「走るな!」ってずっと怒鳴ってた。


 竹内と25メートル競争した。ぼくが勝った。竹内は泳ぐのおそいくせに「手を使わないルールだったらおれが勝つ」とかわけわかんないこと言ってた。


 プールの中で、へんなことがあった。


 水の中にもぐって目をあけてたら(ゴーグルしてた)、プールの底に何か書いてあった。タイルの模様じゃなくて、文字。


 ——佐藤さんが7月24日に見たのと同じかもしれない。数字みたいだった。でもゴーグルに水が入ってきてよく見えなくて、顔をあげたらもうわからなくなった。


 「8」は見えた。たぶん。それ以外はわかんない。


 竹内に「プールの底に文字見えた?」って聞いたら「はあ?」って言われた。竹内はゴーグルしてなかったから見てない。


 もう一回もぐったけど、もうなかった。


 帰りのバスで竹内とジャンプの話した。ドラゴンボールの天下一武道会編がいちばんおもしろいってことで意見が一致した。竹内はべつのクラスだから、うちのクラスのへんなことは知らない。話さなかった。話しても「はあ?」って言われるだけだから。


 家に帰ったらお母さんが「3時にお客さんが来る」って。親せきのおばさん。ぼくはおばさんがにがてです。ほっぺをつねるから。


 おばさんがきて、案の定ほっぺをつねられた。「大きくなったわねえ」って。毎回言う。成長してるんだからあたりまえだ。


 おばさんとお母さんがしゃべってるあいだ、ぼくは自分の部屋にいた。ファミコンやった。ドラクエ。


 ——セーブデータを見たら、持ち物に「赤い風りん」があった。


 翔太が言ってたやつ。説明は「時をとめるふしぎな風りん」。


 ぼくのデータにも入ってる。


 使おうとしたら「まだその時ではない」ってメッセージが出て使えなかった。


 電源を切ろうとしたら画面に文字が出た。


 「3にち」


 3日。あと3日で8月13日。


 偶然かもしれない。ゲームのバグかもしれない。でもカセットをぬいてもう一回入れたら、ふつうのドラクエにもどってた。「赤い風りん」もなかった。


 晩メシはそうめん。2日連続そうめん。お母さん手ぬき



担任教師の赤ペンコメント:

真一くん、プール楽しかったでしょう。竹内くんとの競争、勝ったのね、すごい。おばさんのほっぺつねりは、かわいがってるのよ。……ドラクエの「赤い風りん」。翔太くんのデータにも出てきたもの。二人のゲームに同じものが現れた。ゲームの中にも——。


【カセットテープNo.3 8月10日】


「真一くんの日記を録音した。声がでかい。元気すぎてマイクが割れそうだった。(間)ドラクエの話。赤い風りん。翔太くんにも出て、真一くんにも出た。ゲームの中にまで。(長い間)記録は、どこにでも入りこむのかもしれない。テープに。日記に。ゲームに。次はなにに——。おばさんのほっぺつねりの話で笑った。子供は正直で、残酷で、かわいい。テープ終わり。カレーの残りを食べた。昨日のカレーは今日のほうがおいしい」

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