商団護衛任務8日目 陸戦型魔導機獣
「そろそろ肉食べたいなー」
「“ビクッ”」
「どうしたの?」
「なんでもないよ?」
「あ、そう。」
「オホン。今日で村を出て8日目だ。ベルグールまでの道のりも約半分と言ったところだ。」
「この後ルフ村について一泊してそのあとはベルグールまで村はない。ミキちゃんの要望で海沿いを進むことになっているが。」
「気を抜かずに安全に進んでいこう。」
「“はーい”」
「それでは出発」
「相変わらず背中がチリチリします」
「この辺は敵が強めだからな。油断するなよ」
「でもこの見られてる感じ。嫌ですね行商人は大変ですね」
「行商人は認識避けの魔水晶を使うからな。今の俺たちほど大変ではないぞ?」
「あぁ…昔そんな事聞いたような…?私たちも欲しいですね」
「だが、あれは高いからな。」
「どうせ金貨でしょ?知ってますよ。」
「値段までは知らんが。認識避けなら狩人の俺たちも欲しいけどね。」
「…」
「あーお肉落ちてないかな〜」
「ないでしょ(笑)」
「ていうか、戦闘に苦労してる割に全然魔核手に入らないんですよね〜」
「他の獣などが戦闘後油断してる時に狙ってくる確率が高いからな。そもそも今回は討伐任務ではなく護衛任務だから仕方ないだろう」
「それにしてももう少し素材とか手に入ると思ったんだけど…」
「極力戦闘しないように配慮して移動してるから仕方ない面もある」
「あと単純に戦力が足らない。他にも戦闘できるやつがいれば素材の採取にももう少し時間をかけれるからな」
「戦力ねぇ…」チラッ
「なんで俺を見るんだい?私は善良な商人なので戦闘なんてものはできませんぜ?」
「善良(笑)」
「なんか、奇襲されてばっかりじゃなくてたまにはこっちから奇襲してやりたいですね」
「極力戦闘を避けてるんだからそういうのは護衛任務を終えてから一人でやってね」
「鬼畜先生」
「なんか言った?」
「なんでもないです」
「そういえば村にいた時の川の流れと今横の方に見える川との流れが地形的に逆流してる気がするのですがなんで?」
「逆流なんてしてないぞ?」
「少し前に見た山の上が白くなってるところから水が流れてきてそれが俺たちの村の方とこっち側の海の方に二又で流れてるだけだ」
「道中沼に流れたりそのまま川に流れてまた二又で沼だったりするけど概ね最終的に今見てる川の水はこの先の海に流れ着くんだよ」
「へーなるほどなー」
「もう少し川沿い歩いちゃダメなの?」
「川沿いは敵が多いから水の確保以外ではあまり積極的に行きたくないな。」
「水を汲もうとして水筒を川につけている時、川から勢い良く飛び出したモンスターに頭ごとかじられるなんてこともあるからな」
「ギャグ?」
「本当にあるから怖いんだよ」
「…」
「でも肉を食べるという意味なら虎穴に入らずば虎子を得ずともいうじゃん」
「…」
「ミキちゃんの中では護衛任務は三の次ぐらいなんだね」
「あはは!忘れてたわけじゃないから!」
「あー私が何もしなくてもゴーレムであるおはぎが狩して来てくれないかな〜」
「その泥団子ゴーレムだったの?」
「おはぎです」
「はいはいおはぎおはぎ」
「ゴーレムらしいです。先生曰く」
「ふむ…ゴーレムなら術者が操れば遠隔操作できたはずだけど?」
「このゴーレムは先生曰く不動のゴーレムらしいんですよ」
「でも魔力を消費して変形させれば動かすこともできるんじゃないかと思ってるんですよ」
「ふむ…」
「今はこんな見た目ですが見た目も変化させられるみたいなんです」
(そういえば召喚獣と視覚がつながってるんだっけ?あれ?感覚だっけ?)
(おはぎとも繋がっているんだろうか?)
(いつも私の肩に乗せてるからわかんないなぁ…)
「暇なら荷台におはぎを乗せて変身させる練習でもしたら?歩きながらだけど」
「いいの?」
「魔力全部使わないでくれよ。お半分ぐらいは残しておいてくれ」
「うぃっしゅ!」
「といってもね〜」
「どうした?」
「移動が早いゴーレムって何?」
「鳥系か…」
「この子土属性だから多分飛べない」
「属性関係あるのか…」
「そうだな……やはりワン太のような四足歩行じゃないか?」
「そうなるよね」
「ワン太やリーヴェルと違っておはぎなら破壊されても怪我を負うことはないから気軽に使えるけど獣型で小型だとどうだろう。今私が護衛してても何か獲物をとって回収してくれるぐらいの性能は欲しい」
「結構難しいな…」
「そうなると人型が安定してるか?」
「おはぎの素材が土だから硬化させれば二足歩行できるだろうけど自重で歩けるんですかね…?関節とか高度な物はこの子には無理だと思います」
「難しいな」
「ですです…」
「力があって移動が早くて狩りをして回収までできるゴーレムですか?」
「うん。何かいい案ない?」
「すごく難しいと思います」
「おはぎくんを見てて思うのは設置型な使い方や術者のそばにおいて任意発動させる方に向いてる気がするので…そこまで自立型にさせようと思ったらどうしても高度なものが必要じゃないですか?」
「たしかに…」
「逆に単純な構造にして用途を限定させた方が使いやすいかもしれませんよ?」
「うーん…そうですね〜」
「それか…できるかはわかりませんがおはぎ君を複数召喚して攻撃役と回収役に分けるとか」
「なるほど…できるかな?」
「まずはおはぎくんを二体出せるかやってみてはどうですか?」
「あいー」
「いでよ!おはぎ!」
「…」
「出ませんね」
「やっぱり一体ずつの契約かも」
「なるほど…そうなると分担させるのは無理ですね」
「あ、一角みたいに突き刺してそのまま運搬すれば手も使わないしいい感じかも?」
「なるほど、いい案ですね!」
「あとは足回りをどうしようかな」
「一角の形であれば突き刺してそれを上にあげたようにして回収するから突進力がそれなりに必要になりますね」
「でも関節は難しくて作れないから…」
「んー…」
「この荷馬車のように車輪型ではどうですか?」
「車輪を四つつければあとは進む推進力さえどうにかできれば、突き刺してそれをそのまま運搬可能じゃないかな?」
「たしかに…!」
「おおよその構図は決まったので足は車輪4つで一角の部分をどんな感じにするかですが…」
「おはぎくんでまず4輪ができるかどうか試して見てはどうですか?」
「ちょっとまっね〜」
(おはぎの足を4輪に…まずは直進と後退ができるように車輪をつなげて…前の部分を左右に動けるようにイメージ…)
(それがおはぎの足についてるようにイメージして…)
「おぉ…!おめでとうございます!」
「ん?」
「お!できてる!」
「なんだか小さい馬車のおもちゃみたいですね」にっこり
「馬車のおもちゃか…」
「魔力で大きさは変えられるから、上の荷台部分と一角の部分どうしましょうか?」
「運搬を考慮するならこの荷馬車のような背中に一角をくっつける」
(あれ?この構造戦車とか装甲車ぽくない?」
(戦車は車輪じゃなくてキャタピラーだっけ?)
(車輪は装甲車?…私詳しくないからわからないけど…それなら上部分は荷物も置けるタイプにして砲弾を飛ばすあの筒みたいな感じで配置すれば…)
「おぉ…おはぎの形が…!」
「なんですかこれ?」
「そ…装甲車…?」
「装甲車?なんかわかりませんがそれっぽくできましたね!」
「小さいですけど…」
「手のひらに乗るサイズですね…元のおはぎよりも小さくなった…」
(しかしこれにするまでに使う魔力は割と多いっていう…)
「走りますかね?」
「走らせて見ましょう」
シュゴー…
「お?なんじゃこりゃ?」
「馬車に並走できるぐらいには走れますね。もっとスピード出せますか?」
「やってみます」
「んー〜…!!!ハッ!」
ボンッ…
「うおっ!?」
「…」
「…」
「なんで爆発したんですか?」
「すいません…魔力流す方向忘れてました…」
「気を取り直して…2台目」
(意外と魔力食うな…一台で私の魔力全体の1割も食うのは少し燃費が悪い気がする…)
「ではいきます…」
「…」
「…」
「静かな走りでしたね…」
「そうか。タイヤを動かす機構がエンジンじゃないから音がしないのか…」
「あとは大きさですが…」
「ちょっと大きくしてみますね。」
ググググ…
「おぉ!」
ググ…
「おぉ!!」
「何?どうした?」
「何の音だ?」
グググ!
「どうですか?」
「いい感じですよ!ミキさん!カッコいいです!」
(大きさを腰ぐらいの高さにまでしたけど相変わらず魔力消費半端ない…)
(この大きさで3割…?獲物を獲るときはもっと小さくでいいよね?)
「うわぁ!ミキさんすごいですよ!もうこれ人乗れちゃいますよ!?」
(リーフさんが初めて見るテンションでキラキラな目でおはぎ見てる…)
(やっぱり男の子なんだなぁ〜)
「御者代わるのでよかったら乗ってみますか?」
「いいんですか!?」
「はい!でも一応初めて作ったばかりなので気をつけてくださいね?」
「はい!」
「よっと…」
「おぉぉぉぉぉ!!!!(喜)」
「おお?なんだそりゃ?自走する馬車か?」
「珍しい物作ったな(笑)」
(なんか戦車とか装甲車っていうか…屋根のない車輪付きの自走できる農業で使う小さいダンプトレーラー?ぽい見た目に…)
(でも造成するのに魔力を大きく使うけどそれに比べれば走らせること自体は魔力の流す方向を間違えなければそんなに魔力消費しないのはありがたい…)
「これ最高ですね!」
「そうですか?あはは、よかったです!」
「最高ですよ!これに屋根とハンドルがあればもう歩く必要なんてないじゃないですか!」
(造成するのに魔力消費大きいので緊急時以外は遠慮したいな…あはは…)
(ところでリーフさんが降りそうにないんだけど…もしかしてこのまま私が御者のパターン?…慣れろっていう事かな…)
教会の女神様 (頑張れ♪頑張れ♪)
「あとで俺も乗せくれよ!」
「俺も!」
「あ、交替でおねがいします。はじめての運行なので安全確認が足らない気がするので…」
「もう少しこのまま〜♪」
(すごいリーフさんが無邪気な子供の顔になってる…)
(弟妹の多いお兄ちゃんだから思い切り?遊ぶ暇なかったのかな?とか色々思っちゃう)
「この辺で野営するか…」
「結局森には何もいませんでしたね。」
「それが一番さ。」
「さて…今日はいい感じに休めるところもあるし晩御飯の支度をするぞー」
(今日の実験で魔力半分くらい消費した感じか〜)
(それ以外にワン太の維持に1割…)
(常時あれを運用するのは厳しいかな?リーヴェルなんて4割ぐらい使っちゃうから確実に魔力が枯渇してしまう…)
(うーん)
「ミキさん!あの乗り物名前なんて言うんですか?」
「え?…おはぎ?」
「えぇ!?せっかく姿形変えたんですからカッコいい名前にしましょう!」
「えぇ?名前って言われても…」
(農業用ダンプトレーラー…?)
「僕が名前つけていいですか?」
「いいですよ!」
「では…」
「陸戦型魔導機獣です!どうですか!?」
(いや…どうですか…と言われても…獣の要素はどこに…)
「良いと思います!」にっこり
「ではそれにしますね!」ふふふん♪
(暫定的に馬の横に配置してるけどなんか少し馬が悲しい顔してるように見えるのは私だけだろうか…)
ぽんぽん…「よしよし…君のことは私が大切にしてあげるから大丈夫だよ」
「ヒヒーン…」
「ご飯にするぞー」
「“いただきます”」
「ハッ!!!」
「どうした?」
「肉取るの忘れてた!!!」
「道中肉は居なかったから大丈夫」
「そうですか…」しょんぼり
「でも陸戦型魔導機獣がいるから良いじゃないですか!」キラキラ
「食べられない獣ですけどね…」
「まぁ、明日になればルフ村に着くからそこでそろそろ食料を仕入れないといけないな。流石にもう残りが少ない」
「虫は嫌」
「贅沢言わない」
(泣)
「おやすみなさい〜」
「おやすみ」
「おやすみなさい!」




