商団護衛任務7日目
「そろそろ火の番も慣れて来たものだな…なんて…」
「4人の交代で朝担当ってほとんどあってないようなものだけどね…」
「”いただきます“」
「昨日も言ったが、今日からはまた、ヒドラ様の恩恵がない旅になるからみんな心してかかるようにしてくれ」
(忌み嫌われるはずの敵役のヒドラが様と呼ばれるまでになってる…)
「ここから先は頻度こそ多く無いもの、俺たちの村からヨーク村までの敵より強くなるから警戒だけはしておいてくれ」
「“はーい”」
ゴロゴロゴロゴロ…
「…」
「なんですかね…この妙に背中が緊張する感じ」
「何かに見られてるような…」
「それは多分気のせいじゃ無い。」
「気のせいじゃ無いがそこまで緊張しなくても良いだろう。」
「ワン太もいるし四人もいるし流石に離れたところから瞬間移動してくるようなやつはこの辺にはいないから」
(他の地域とかならいるのか…ヤメテ…)
「次の村はなんていう名前なの?」
「ルフ村だ、俺たちの村より少し栄えてるぐらいだ」
「あるものはほとんど変わらないけど貿易都市から近いだけが取り柄かな」
「まぁ…それでもうちの村よりは海が近いし安全では無いけどそれなりに飢えてはいないな」
「なるほどね…」
「ワンッ!ワンッ!」
「”!?“」
「何?」
「シッ…」
”*********“
「なんか羽音みたいなのが聞こえる気がするんだけど…あとなんかこっち近づいてない?」
「あれは…敵襲ー!」
「厄介な奴に目をつけられたな…」
「ありゃなんだ?」
「あれは嚙切虫だ。獲物を腹から上下に半分こして狩をするタイプの攻撃的な虫だ!」
(なんか半分ことか久々に聞いたけどムキムキなソウ先生がいうと少しかわいいな)
「数は…1…2…………5匹か…多いな…」
「え?5匹?人間の胴体を真っ二つにする奴が5匹!?」
「あぁ…これはまずいぞ…近くに隠れるところもなければ逃げ込めるところもない…ここで迎え撃つしか無い!」
「リーフ!荷馬車を盾にして店主と隠れてろ!ミキちゃん馬を守れるようにそこの泥団子で壁とか作れるか?」
「泥団子じゃないんだけど…できるはず」
「奴らの牙は長いから厚目とできるだけ硬い壁を作ってくれ!そして荷馬車と壁から二人で狙撃だ!」
「はい!」
「矢はミキちゃんの判断で打て!俺たち二人とワン太で処理しないと店主とリーフはまだ戦えないぞ!」
「まだって…俺…戦う予定なのかよ…」
「できれば頭を狙え!死にはしないが戦闘不能にさせるはずだ!無理そうなら羽か胴体でいい!近づいて来たら一気に飛び出して注意を俺たちに集めるんだ!」
「はい!」
「くるぞ!」シュッ…………ドスッ…
(ビューティフォー…)
シュッ…
(!?羽根に当たったか…でもこれで進軍速度は遅くなったはず…残り3…)
ギリギリギリ…シュッ…ドスッ………
ボトッ……………
「もうソウ先生だけでいいんじゃないかな」ボソッ
「聞こえてるよ!無駄口叩いてないで打てー!」
ギギギギギ…「空中で動いてるのにそんなに簡単にあたりませんよ!」スカッ
「そろそろ前に出るぞ!」
「はい!行くよ!ワン太!」
「ワンッ」
キシャアアアア!
(残り2.5匹…1匹はまだ来ないから先にこの2匹…)
チラッ…
(あれ?接近戦なのにソウ先生なんであの中剣使わずにまだ弓握ってるの?)
ブゥン!
「とと…危ない。串刺しにされるところだった…」
「ワグッ!」
「いいぞ!ワン太!そのまま!」
「弌の型!たけのこ!」
ザシュッ!
ギシャアア…
「いいぞ!ワン太!」
「次は殺し損ねた奴…ワン太はソウ先生の加勢に行って!」
「わふっ!」
「私は…左手におはぎ!」
「いくよおおお!」タタタタッ
「接敵まで3…2…1…!」
「弐の型!針山!」ダンッ!
シュンシュンシュンシュン…ギシャアア……!
「咄嗟に思いついたからネーミングセンス(笑)だけど突進が早い敵には結構使えそうかも。たけのこよりも細い針をイメージしてそれを高さ1m奥行き3メートルほど敵に向けて地上から生やして見たけど我ながらなかなかの高威力だな。」
チラッ…
「よくやったぞ!ワン太!よしよし!抱っこしてやろう!」
「はうはう〜///」
「ソウ先生があんなことしてるってことはもう近くにはいないのかな?」
「どれ…それじゃあ…」
「パキン…」
「んー?つららぐらいの硬さ?いや…私南国の人だからツララ折ったことないけど…」
「先端は結構鋭利だけどこの強度だとすごい硬い敵には効かなさそうかな?」
「ミキちゃーん!集合!」
「はーい!」
「ただいま。」
「お帰り。被害の方は?」
「一回油断して串刺しになる寸前だったけど無傷です!」
「俺もワン太が来てくれたおかけで無事無傷だ」モフモフ…
「大丈夫でしたか?悲鳴みたいなのは聞こえませんでしたが…?」
「大丈夫!無事倒しましたよリーフさん!」
「それは良かった!」ニッコリ
(正統派ヒロイン…リーフ嬢…)
「俺が出る羽目にならずに済んで助かったぜ!」
(不幸な不意打ちで真っ先に死にそうなフラグをポンポン出す店主…)
「休憩したいところだが今すぐここを離れよう。今の戦闘で他のモンスターが俺たちか奴らの死骸を狙いにくるやつがいつかもしれん」
「”了解!“」
「核だけ回収してきてもいいですか?」
「あぁだけど狙撃で倒した遠くの2匹まで行かないほうがいい3匹だけにしておきなさい。」
「はーい。あ、剣貸してください。」
「…」
「はいよ」
「ありがとうございます!」ニカッ
「おーソウ先生のは相変わらず頭に命中してるなぁ…」
「死んでるか確認のために首を落として…まず頭を半分に…」グチャグチャ…
「無い…めんどくさい…と言うことは胴体か…確か胸から切るんだっけ?」
「えい」
ドサッ…
「節足動物と言うんだろうか…お腹がグロい…スプレーかけた後のもがき苦しむ黒神を思い出す…」
ザクッ…
「両足で開く!」バキバキ…
「あった!」
「うーん中と小の間?」
「小と言われても何も言えないレベル…」
チラッ
「やばい。もう行く雰囲気だ…せめてあと一個…」
「よし取れた!」
「3人がこっち見てて微妙に視線が痛いけどちょっとだけ針山で仕留めたやつ取れないか見てこよ…」
「あぁ〜(笑)これはそもそも近づけませんわ〜」
「ただいま。」
「もういいのか?最後のあの串刺しのやつは?」
「あぁ…手が届きませんでした」
「なるほどな。…っとよし、話は後にして早めにここを離れるぞ」
タッタッタッタ…
「こっそりミキさんが戦うところ見てたんですけどあの針の山はすごいですね!」
「あれ?見られてた?お恥ずかしい」
「いえいえ!とっても上手に倒せてたじゃ無いですか!近いとはいえあの距離で倒せるなら安全に処理できますしいいことづくしじゃ無いですか!」
「でもあれのせいで核取れませんでしたけどね(笑)」
「核…ですか…安全であればそれで十分だと僕は思います」
(微笑みの貴公子リーフ)
「いやーうちの護衛は頼もしいねぇ…!」
「これからも俺仕入れしにベルグールまで行こうかな〜」
「護衛代っていくらぐらいなの?」
「いや知らん。」
「俺も」
「僕も」
「…」
「今日は疲れたし早めに休めるところを探すか」
「ところでソウ先生」
「なんだい?」
「なんで接近戦なのに剣使わないんですか?」
「…」
「実は俺は剣が苦手なんだよ」
「苦手って…ワン太のおかげでとどめ刺すだけだったじゃ無いですか」
「うむ…そうなんだが…」
「まぁあれだ…昔色々あったんだよ」
「ふーん」
「今日は中々いいところがありませんね」
「たしかに…それにそろそろ日が落ちて来たから早く探さないといけないが…」
「こう…何も無いんじゃな…」
「奇襲してくれって言ってるようなもんだな」
「先の方に見える森のようなところまで走りますか?」
「いや…森は潜んでるやつもいるだろうからできれば夜に近寄りたく無い」
「ソウ先生は一人で行った時はどうしてたんですか?」
「森を抜けたところに岩があるからその上で寝たが…」
「今日は森を抜ける前に陽が完全に落ちるだろうからそれは避けたい」
「…」トボトボ
「あ、あの〜簡単な洞窟ならぬ家のようなものをおはぎに作ってもらうとかは?」
「できるの?」
「いえ…やったことないんですけど…」
「このまま進んでも戻っても変わりはないしそろそろ火を起こしておきたいしそれができるならもうここで頼むよ」
「ちょっとやって見ます。期待はしないでください」
「…」
「…」ゴクリ…
「あの…見られてると恥ずかしくて出来ないので…反対側見ててもらえないですか?///」
「あぁ…すまんすまん」
「えへへへ」
(公園にあるロケット型の遊具みたいな感じで…イメージして…)
(少し堅めに造成する…)
ドンッ…
ゴゴゴゴ…
ズンッ…
「おぉ…」
「なんだろう…豆腐建築とかいう感じに近いな…」
「センスのかけらもない…風はしのげると思う…」
「おぉ、立派なのができたじゃないか」
「こりゃたまげたなぁ」
「先がとんがってて可愛い家ですね!」
「あははは…概ねイメージ通りですがどうでしょう?」
「うん。土とは思えないぐらいしっかりした硬さで部屋もちゃんと4つに区切ってある、プライベートもある程度守れていい感じじゃないか?」
「欲を言えば上に通風孔があってもっと広ければ中で火を起こして煮炊きできそうだな」
「あぁ…なるほど!それはいいですね!」
「だが初めてだしこれはこれで中々立派じゃないか」
「よくやったぞミキちゃん!ご褒美に「肉くれるんですか?」
「…」
「ハグしてやろう!」
「いらないです」
「…」
「さーバカやってないで野営の準備するぞ」
「ミキさん」
「なんですか?」
「馬が逃げないようにくくりつけれる木のようなものを作れませんか?」
「あぁ〜馬…そういえば家作るとき馬君の家作るに忘れてた…」
「あははは。馬の家まで気にするなんてミキさんは優しいですね。」
「今日はとりあえず杭のようなもので…」ズズズッ
「これでいいですか?」
「はい。ありがとうございます」
「いただきます」
「さぁ!ワン太!君の大好きなお肉だぞ〜!」
「わふわふ!」(喜)
「…」
「そういえば肉取れなかったな〜」
「戦闘でそれどころじゃなかったですもんね」
「そもそも俺たちの村は聖水のおかげでああいう環境になってるが他所なんて大きな森でもない限りいいところ虫か獣を食うしかないんだよ」
「獣か〜イメージ的には狼とかいる感じだけど」
「いやいや、この戦力で狼に会ったら死ぬから」
「あいつら群れで狩りをするから今襲われたら確実に勝てないぞ」
「そうなんだ。」
「賢い狼の群れには魔族も避ける」
「と言う言葉があるぐらいだ」
「ウヘェ…」
「この辺にはそこまで沢山の狼は居ないが、それでも少しは居るから気をつけるべき危険な相手ではあるな」
「そうなんだ」
「この辺で安全に食べられる肉って何ですか?やっぱり前に食べたトカゲ?」
「いや。正直なんであんな森の中にトカゲがい他のかそもそもわからんが、普通の村人からすれば*安全に食える肉*なんてものはないな」
「トカゲにだって噛みつかれれば大怪我をするし…」
「そもそも毒があって食べられないかもしれない」
「…」
「あ、ネズミの肉なら確実に毒はないから食えるぞ?」
「アイツか…黒死病持ってそうだからあんまり関わり合いになりたくないなぁ…」
「何かの病気か?聞いたことないな」
(この世界にはないのかな?でもやっぱり進んでゲテモノ食は遠慮したい…)
「ドラゴンとかなら食べて見たい」
「ドラゴンか〜あんまり聞かないけどどうなんでしょうね〜」
「どうかはわからないが…硬そうだな」
「硬そうですね」
「うん…」
「さて、食べ終わったことだし早く寝ろ〜」
「じゃあお先に」
「僕も、おやすみなさい」




