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20.貧民

誠に申し訳ありませんが、諸事情で休載になります。

「お恵みを……」


そんな声が彼方此方からするようになったのはアラムが直ぐのことだった。


「っ!」


そして私はその声に自分の肩が震えるのが分かる。

止めようと、必死に深呼吸を試みる。

だが何故か落ち着いた深呼吸はできず、私は自分の情けなさに唇を噛みしめる。


「……アンネ少し寝ていて良いですよ」


しかしアラムは私の様子を指摘することはなかった。

それどころか、私を気遣うようにそう呟く。

それの言葉には私を思いやる暖かい心が溢れていて、私は不意に涙が溢れそうになる。


「大丈夫!」


だが私はメルの言葉に首を振った。


「私はあの龍の地獄を乗り越えてきたんだよ!全然疲れてないから!」


私はメルに戯けてみせる。

だが、私の肩の震えが止まることはなかった。


「………」


そしてそのことをメルも悟っていた。

何か言いたそうな、それでも言えないといった表情で口をつぐむ。

私はメルに気を遣わせてしまったことを悟り、情けなさに俯く。


「お情けを!」


「っ!」


だが、外からの声に私はさらに肩を震わせてしまう。


「くそが!」


その時だった。

外からアラムの怒鳴り声がしたのは。


「アラム!」


そしてその声が聞こえた瞬間私は今まで震えていたことさえ忘れ馬車から身を乗り出し、


「あ、」


ーーー目の前に広がるボロボロの人の集団に言葉を失った。


男性に女性、そして子供。

目の前には様々な人間がいて、そしてそれらの人間は例外なくガリガリに痩せていた。

いや、痩せているどころではなかった。

骨と皮だけになっていた。


「あぁ、」



ーーーだが、それでも人々の目には何も浮かんでいなかった。


諦めではない、ただただ虚ろ。

そしてその光景に私の頭にある記憶が蘇る。

その記憶は私の記憶に焼き付けられたある光景。

それはもう何年も前のことなのに、その時の光景は私の頭に未だはっきりと映っている。


ーーーそれは余りに異常な貧民の姿だった。










私の父が1番力を入れたのは、貧民の立場の上昇だった。

固定の職業がある平民と違い、一切の職を持たない貧民の為に父は様々なことを考えていた。

幼少の頃から様々な専門技能を教えられる平民と違い、固定職につくことに関しては貧民は余りにも向かなかった。

だから、父は貧民に金貨を渡し技術の習得に使うよう、その必要性を教え込んだ。

そして貧民はその考えに共感し、父に言われたように街に出て行き


ーーーその金貨を食べ物に変えた。


ーこれで、少しの間飢えなくてすむと笑いながら。


その姿に父は絶句した。

貧民たちは、父の説明で職に就けば食べ物に関する心配が無くなるそれを完璧に理解して、


ー どうして、貧民の私達が飢えてはいけないのですか?


そしてそう虚ろな目で笑い、さらに一言付け足した。


ー なので、私達に少しで良いのでお恵みください。


そう告げた貧民の目には何の感情も浮かんでいなかった。

そしてその顔に私は言葉を失った。

その時、目の前に立っていた男は人間ではなかった。

奴隷、いや家畜と、そうとしか言えない嫌悪感が沸く存在で、


ーーー今目の前に立つ集団もあの時の貧民と同じ目をしていた。


「っ!」


そして目の前の光景に私は言葉を失う。

しかし直ぐに我に帰り財布から銀貨を数枚取り出し投げ、走り出した。


「俺のだぞ!」


「私のよ!」


ーーー落ちた取り合う貧民、その姿はまさに餌を取り合う豚にしか見えなかった。

次回更新遅れるかもしれないです。

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