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詮索

部室へ行ったら、すでに足立さんが扉を開けていた。後輩よりも早く来るなんて勤勉な女子だ。足立さんは笑顔でおはようと、言ったので、僕も挨拶を返した。


鍵の当番なんて、後輩にやらせればいいのに。

でも、私は剣道歴はまだまだだから!


僕よりも少しだけ強くなってるのに、どこまでも剣道にこだわりたいんだなぁ。


あのさ、なんでそんなに剣道をやりたかったの?

私ね、警察官になりたいの。もちろん剣道を利用するってわけじゃないよ?私は強くなくっちゃいけないの。

そんなに志が高かったのか。

まぁでもそんなに深い理由はないよ!警察官ってさ、公務員じゃない?それにさ、常に正義側に立てるのって、やっぱ気持ちいいじゃん。

世界はそんなに単純かなぁ。

最初はいいの!どんなに適当な理由つけたって、あとから大義はついて来るから。


なんとなく、マウラっぽい言い草だな。いつもマウラのこと気にかけてるから、マウラに影響されてしまったのか?


ちなみにマウラのこといつも気にかけてるのって、やっぱりその正義感?

マウラ?マナウラさんのことなら、なんか違う。放っておくととんでもないことしでかしそうで、ちょっと怖いんだ。なんか目がいつも笑ってない。

うん、それは外れてないのかもな。


あーこれはアウトだな。この女子にはおそらく隠し事はできそうになさそうだな。


実は、マナウラさんのことは、マウラって言ってるんだ。これ、僕が勝手につけたニックネームってだけなんだけど。これ、内緒にしといて。

ふーん。ちなみに、昨日はなんで女子っぽいローファ履いてたの?

それは・・・お姉ちゃんのやつを間違えて履いちゃったんだ。

そっか。それに、アロマの香り素敵だね!

うっ!これも・・・。

ちなみに女の子ともちゃんとコミュニケーション取れるようになってるね。


足立さんは僕のことを少しからかっているように見えた。ただ、どこか威圧的で、ひと言で言えば、嫉妬のような感情を隠しきれてはいないようだった。


しゃーない!剣道やって汗流そう!そうすれば、きっといろいろ強くなれるさ。

そうだね!


ほかの部員が来るまで一通り掃除を済ませ、竹刀のメンテナンスなどを行った。のちに、部員が全員集まり、合同で円陣を組み素振りを行った。今日はいつになく、一人しかいない女子の声が強くこだました。


その後、下駄箱に向かったが、足立さんが裸足で僕のことを待ち構えていた。


なぜ裸足なの?

実は、これ。


おもむろに下駄箱から、自分の上履きを取り出すと右の上履きのカカトがデロンと剥がれてしまっていた。しかし、よくよく見ると、若干の切れ込みがあるような。


私上履き壊れちゃったから君と一緒に裸足だね。

うーん実は、上履き今日持ってきたんだ。

え!?

仕方ない。僕も一日裸足でいるよ。

いやいいよ!


その言葉とともに若干背伸びして小声で、マウラさんの上履きだいじにしてね、と囁いて裸足で教室まで、タッタッと走っていった。普段ニコニコしてるが、内心何を思っているのか分からない。この子には、マウラさんに感じていた恐怖を現実のものにする子なのかも。なんとも恐ろしいものをいくつも抱き込んでしまった。


ちなみに、例のDMからは、君にはまだまだやるべきことがのこってるみたいだね、と帰ってきた。金沢さんは、あんまり面倒事を抱え込みたくない主義でもあるのか?それに闇の組織さながらだな。


それに、マウラの上履きを履いて、彼女の教室を見てみると、足の裏を堂々と面前に晒しながら、自主学習をしていた。また上履き忘れたのか。あの足裏テカってて白いのついてるぞ?それに足立さんも当たり前のように裸足でおり、他の女の子たちと談笑してた。


僕はというと久々に上履きを履いているもんだから、やっと原人から新人類になったか、などとからかわれた。

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