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上履きがない

僕に素足に対する特別な感情が芽生えたのはいつ頃だろうか。

気づけば僕は靴下すら履いてなかった。


部活動の関係もある。まだ人生経験の浅い僕は、親に言われるがまま、あとで後悔はしないからと得意でもない剣道部に入った。中学のころの防具はあったけど、袴が体の成長に対して大きくなってくれるわけないからツンツルテン。そんないい加減な僕だから、剣道もろくに勝てぬ。それでもやめたところで、また社会不適合という負の感情を背負うのはゴメンだから惰性で続けた。


ただ、裸足でいるのは好きだ。朝練があるからーとか、部活の関係でとか、いろいろ理由をつけて、気づけば靴下を履かない暦1年。裸足の何が魅力だって?それは、周りがきちんと靴下を履いてるなかでの素足というのは、露出欲を満たしてくれる。要は社会に備わっている常識から若干ずれているという、子供の頃入ってはいけないと言われてる場所にわざわざ立ち入る背徳感、それに誰かに若干注目されている感じで高揚しまうこの感覚は、ある種ドラッグをキメているように感じられてしまう。もちろん、足フェチでもある。


ある日、いつものように道場の雑巾がけと素振りという僕にとっては儀式めいた日課を終わらせ、制服に着替えた後、さっさと一人で、もちろん裸足で道場から続いている暗い廊下をなんの恥ずかしげもなくペタペタと音を立てながら、昇降口へ向かった。


あれ?


僕の上履きがない。

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