傅説、裏切ったでおじゃるな
これで完結、サクッと終わりました。
商の王・武丁の「ケツ持ち」を得てから、3ヶ月。傅説とその仲間たちは、商の苛烈なブートキャンプ(軍事訓練)で鬼教官たちにしごかれ、見違えるような殺人マシンへと変貌を遂げていた。すべては、超ブラックな汚れ仕事――元主人・失仲の暗殺を完遂するためである。傅説一行は、失仲の根城へと向かった。もともと配下だった男だ。警備の兵たちも疑うことなく、すんなりと奥の間に通される。そこには、相変わらず雅びで傲慢な態度を崩さない失仲の姿があった。「傅説、何があったでおじゃる? 流刑地の報告にしては、ちと物々しい身なりでおじゃるな……」失仲が怪訝そうに言葉を紡ぐ。しかし、傅説の心はすでに決まっていた。問答無用。「失仲! お命、頂戴する!」「な、何事で――ぶふぉっ!?」傅説の放った不意打ちの一撃が、失仲の胸元を深く穿つ。鮮血が飛び散り、失仲は床に崩れ落ちた。信じられないという目で傅説を見上げ、消え入るような声で呪詛を吐く。「ま、麻呂を……裏切ったでおじゃるか……ガクッ」失仲はそのまま息絶えた。あまりにあっけない最期だった。傅説は返り血を拭いもせず、騒ぎを嗅ぎつけて集まってきた元同僚の兵たちに向かって、堂々と宣言した。「今日からここは俺のものだ! 逆らう奴は、商の武丁さんが許さねえ!」武丁の名を出された兵たちは、その圧倒的な恐怖に怯え、武器を捨てて平伏した。こうして、暗殺作戦は完全な成功を収めたのである。◇傅説はすぐさま商の都へと戻り、武丁に事の顛末を報告した。約束通り、傅説は正式に「舎弟」、もとい商の最高位である「公」の地位を与えられることとなった。玉座にふんぞり返った武丁は、満足そうに鼻を鳴らすと、これから商の幹部として生きていくための「注意事項」を、凄みのある広島弁で直々に叩き込んできた。「おう、説ちゃんよぉ。ようく覚えときな。これからワシの国で生きていくんなら、ワシが『黒』と言やぁ、たとえ目の前のもんが白じゃろうが何じゃろうが、絶対に『黒』なんじゃ。分かったの?」「は、はい……!」「ワシの言葉は絶対じゃ。逆らうたらどうなるか、おんどれが一番よう知っとろうが。……まぁ、ワシの言う通りにしときゃあ、悪いようにはせんけぇの」あまりにも理不尽で、あまりにも重い、王からの「有難いお言葉」。傅説は再び胃の痛みを覚えながらも、この絶対権力者に生涯従うことを誓うのだった。――これが、歴史の裏に隠された真実。後に、商の聖王と賢臣が、互いに深い信頼で結ばれ、国家の在り方を高尚に論じ合ったとされる伝説の「君臣の語り(説命)」へと、美化されて変化していく劇的な瞬間であった、天命(武丁の命令)で失仲を討つ。完結
お叱りを受けそうです(⋆ᴗ͈ˬᴗ͈)”




