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第93話 不穏な影 え? 元凶が何言ってるって? 秘密警察って知ってますか?

反乱が鎮圧され、治安がかなり回復した。

外出禁止令は解かれ、夜であっても出歩くことが可能なほどにまで治安は回復している。

だが、帝都には再び物々しい空気が流れていた。


「陛下! お考え直しを!」


ヴァンニ宰相が皇帝に直訴している。

先日の貴族会議にて、ガダレッラ家の所領の没収が決定された。

宰相はこのことに関して撤回を求めている。

貴族会議とは帝国創設期に皇帝が諸侯に意見を聞くという名目で作られた機関だが、皇帝へ権力が集中していく過程で必要性が無くなり、今では形としてのみ残っている機関だ。

そして、ガダレッラ家は帝国政府の力が及ぶ範囲、つまり皇帝直轄地に隣接する地域を支配する一族。

ガダレッラ領に皇帝の権力が及ぶわけではないため、この決定は帝国政府によるガダレッラ家への宣戦布告に等しかった。


「これは既に決定した事だ、宰相。貴族会議に諮問し、しかも許可までもらった後に取り消しということが出来るはずがなかろう」


「しかし、ガダレッラ家は我々に多くの援助をしてくれました。それなのに裏切るとは……」


ガダレッラ家はヴァンニ宰相と盟友関係と言っても過言ではない。

ガダレッラ家は新興の貴族ながら、宰相を通じて中央への太いパイプがあることをアピールして周辺の豪族に対し影響力を発揮してきた。

ヴァンニ宰相はガダレッラ家から軍事力を借りることで帝国政府で力を維持してきた。

通常であれば、先の帝都の争乱もガダレッラ家から兵を借りて、宰相が鎮圧するところだったのだが、隣接するガット家の威圧行動により、兵が動かせなかった。

これにより、宰相の帝都での影響力は大きく減少した。

同時にガダレッラ家も帝国政府からの信頼と影響力を失った。


「ガダレッラ家に抵抗の意思がなければ、貴族議会の議長のポストを用意している」


議長と言えば聞こえがいいが、お飾りのような組織のトップの座だ。

このような名誉職は引退間近の貴族が務める物で現役の有力者が引き受ける物でもないし、引き受けたくもないものだ。

つまり、ガダレッラ家当主に取れる選択肢は事実上の無条件降伏か、徹底抗戦かだ。

宰相は皇帝の意思が固いことを察し、これ以上は何も言わなかった。


「承知いたしました」




皇帝との面会の後、私は一歩も自室から出ていない。


「あの、テンションの落差が激しすぎて風邪ひきそうなんですけど」


「イラリアはテンションの落差で風邪になるんですか? 珍しい特技ですね。と言うか、イラリアに特技があったんですね、驚きです」


「失礼すぎませんか?」


「まともな特技があるんですか? 風邪をひくこと以外で」


「テンションの落差で風邪をひくのは私の特技じゃありません。あと、それはまともな特技でもないと思います」


「じゃあ、イラリアの特技は一つも無いじゃないですか?」


「そんなことないです」


「では、イラリアの特技を一つでも挙げてください」


「特技ですよね?」


「同じことを何度も言わせないでください」


「ツッコミ?」


「無いってことですね」


「何でカウントされないんですか!」


「分かってないようですね。イラリアのツッコミなんて、ゴースト並みに存在感がないんですよ? 知らないんですか?」


「逆に何で知っていると思ったのか聞きたいのですが?」


「このことを証明するため、街頭で1000人にアンケートした結果、1000人中997人が誰ですか、その人? と答えました」


「師匠は暇なんですか? あと、それは私のツッコミに関するアンケートじゃなくて私の知名度の問題ですよね? 逆に3人は何で私を知っているんですか?」


「このアンケート結果は非常に厳しいです」


「何がですか?」


「以前、私はこの世界はキャラの濃さによって生き残るか、それとも惨殺されるかが決められると言いました」


「そんな話は聞いたことはないと思います。何でキャラが薄いだけで惨殺されなきゃいけないんですか?」


「イラリアは個性が無さすぎます。既にキャラの薄いというキャラは剣聖さんと盗賊さんに取られてしまっています。そして、ヒロイン枠には聖女さん、熱血主人公には勇者さんがいます。まあ、この2人は近いうちに消える可能性が大きいので空席になるかもしれませんけど」


「聖女さんに何をするつもりですか?」


「また、参謀キャラには大賢者さんがいるので、イラリアに入る隙はありません。ちなみに、身近にいる、もしくはいた女性の中で、知力が高い順に並べると盗賊さん、イラリア、聖女さんとなります」


「それ、何基準ですか?」


「以前、私がイラリアに傷ついた魔獣がいたら、どうしますか? と聞いたのは覚えていますか?」


「そんなこともあったような気がします」


「同じ質問を盗賊さん、聖女さんにもしました。その結果、この順番になりました」


「何でその質問で知力が分かるのか謎なんですけど?」


「では、模範解答から言いましょう。正解は全力で楽しむ、です」


「人格が破綻してますね」


「イラリアの回答は見逃す、盗賊さんの回答は一撃で仕留める。聖女さんの回答は、ストレス解消にゆっく……、じゃなくて、治療して逃がしてあげる、でした」


「会わないうちに、レラさんの好感度が下落し続けているんですけど?」


「模範解答を基準として評価するなら、さっきの順番になりました」


「その評価方法なら私が最下位ですよね?」


「いえ、聖女さんは途中まで正解していましたが、好感度を意識して変更したため、減点が大きくなりました。よって、最下位です。これは余談ですが、知力が高い盗賊さんは自分の置かれている状況が危険であることを強く認識していました。なので、夜な夜な柱を練習相手に、ツッコミの練習をしていました」


「パオラさん、私のポストを奪おうとしていたんですか?」


「はい。提案もありましたが、M値の関係で断りました。あ、イラリアの特技あるじゃないですか! M値!」


「それは特技じゃないと思います」


「そう言えば、雑談していて言い忘れていましたが、宰相の呼びかけで、官僚たちがボイコットをしているので帝国の行政機能が完全に停止しています」


「何でそれを言い忘れちゃうんですか?」

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