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第87話 陰謀? 純粋なので分かりません

仮拠点とは言え、私が使う部屋はかなり整えてもらってある。

その影響で礼拝室や他の信者が使う部屋にはまだ手が回っていないようだ。


「やはり、仕事は他人の成果を横取りするのに限りますね。疲れてしょうがない」


「自分が何を口走ってるか分かってますか? と言うか、宰相とのやり取り何ですか? 序盤を除けば、茶番の要素が一つもなかったんですが?」


「私はいつでもマジなんですけどね」


「何の冗談ですか? でも、許可がもらえるかどうかが分からないのに師匠がお金を使うなんて珍しいですね」


「何言ってるんですか? 許可は絶対に貰えます」


「え? でも、宰相は買収したから良いにしても、皇帝の許可はどうするんですか?」


「皇帝の許可? 今、宮殿で惰眠を貪っている皇帝は全身整形をした信者ですよ?」


「は? 何かの冗談ですか?」


「私が帝都入りした日にカーショさんと部下の手によって、本物の皇帝は箱に詰められて、パダラに輸送されました」


「待ってください? 皇帝を箱に詰めて? 皇帝は今どうなっているんですか?」


「輸送先を間違えて、危うくプラシドさんに解体されそうでしたが、何とか逃げ切り、今は……確か……、教団の最先端の教育を受けてるとか」


「それは大変ですね。でも、それなら、何でわざわざ宰相の許可が必要なんですか?」


「能無しの皇帝が許可すると言っても、宰相の決裁が無ければ、行政機関が動きません。下手をしたら、何かしらのでっち上げた罪によって教団の資産を差し押さえと言う暴挙に出る恐れもあります。なので、最高権力者であるヴァンニ宰相の許可が必要なんです」


「師匠の場合はでっち上げなくても、十分に法律に引っかかると思います。それなら、宰相は何で皇帝の許可がいるって言ったんですか?」


「それは簡単な話です。こちらからもっとお金を引き出そうとしてるんです」


「そして自分の懐に?」


「いえ、おそらく帝国の国庫に行くことになるでしょう」


「何でですか? 賄賂を要求したんですよね?」


「彼の理想は何か知ってますか?」


「知りません」


「帝国の完全復活です。すべての力を皇帝に集結させ、帝国を正常化させたいそうです」


「久々のまともな人間の予感ですね」


「そして、彼の理想実現には私たちの力が必須です」


「何でですか?」


「中央政府の力が及ぶ範囲がどのぐらいか分かりますか?」


「師匠、さっきから何で知ってる前提なんですか?」


「正解は帝都と帝都から半径50メートルほどです」


「それ、ほとんど帝都だけですよね?」


「間違えました。帝都から半径50キロメートルは中央政府の力が及んでいます」


「帝国全土と比べると、ずいぶん小さい影響力ですね」


「帝国の大部分は地方の有力者と軍閥により支配され、中央政府は爵位、官職を餌に各地の権力者にお金をせびることしかできません」


「そんなんでよく生き残ってますね。滅ぼされないんですか?」


「後々のことを考えて滅ぼさないようにしてるんですよ。考えてみてください。皇帝から位を譲り受けるのと、武力で皇帝から位を簒奪するの、どちらが聞こえが良いですか?」


「それは、もちろん譲り受ける方だと思います」


「その通りです。そして、そのことをヴァンニ宰相はよく理解しています。なので、いろいろな勢力から軍事力や資金を借りて、危険な勢力から身を守ったり、逆に潰したりしています。しかし、最近は上手くいっていないようですね」


「何か理由があるんですか?」


「地盤固めに各勢力が集中しているため、中央に見向きもしていないようです。しかし、太陽神殿や月神殿のような中央に根を張った勢力は違います。もし2勢力が政府に対して攻撃してきた場合、帝国政府は守る力がありません」


「自前の軍隊は無いんですか?」


「無いわけではないですけど、首都の治安を維持するのが限界の貧弱さです。つまり、お金もそうですが、それ以上にフライパン教の持つ武力が欲しくて欲しくてたまらないはずです。そして、私たちは戦闘することなく聖戦士を帝都に入れ、武力で中央政府を支配下に置きます」


「でも、軍事力の話は宰相との会話で出てきて無かったですよね?」


「当然です。こちらから、軍事力の話をしたら、武力で中央政府を脅したことになってしまいます。そうなるとヴァンニ宰相は態度を硬化させ、活動の許可は貰えません。その場合、私たちは非合法な活動の後、クーデターを起こさないといけなくなります。それではあまりにもコスパが悪すぎます」


「この場面でコスパって単語は不適切だと思います」


「あくまでも、私たちはあちらからお願いされて軍事力を行使するというポーズが必要です」


「そんなにうまくいきますかね?」


「ここまでは問題ありません。必ず宰相は食いつきます。そして、私たちを徹底的に利用して、太陽神殿と月神殿にぶつけるでしょう」


「それって大丈夫ですか?」


「問題ありません。そもそも、この2つとは言われなくても戦います。問題は帝都周辺の軍閥と戦えと言われた時です」


「何か問題ですか?」


「私たちの協力で帝国政府が力を付けた場合、私たちはどんな存在になると思いますか?」


「分かりません」


「帝都にへばりつく厄介な外国勢力です。彼らが私たちの協力の下で蓄えた軍事力を使い、こちらを攻撃するという可能性もあると言う事です。なので、政府が力をつける前に支配下に置き、そこから皇帝の権力を拡大させなくてはなりません。私の目標達成においてヴァンニ宰相は極めて邪魔です。宰相にはできるだけ早い段階で退場してもらわないといけません」


「師匠なら、皇帝になるって言いだしてもおかしくないのに、何で帝国は残しておこうと思ったんですか?」


「統治にいくらかかるかご存じですか? 私としては甘い汁だけを吸いたいんです。なので酸いものは帝国政府に甘いものは私に来るようにうまいことやるつもりです」


「ヴァンニ宰相の頑張りに期待ですね」


「私の不満度がイラリアの借金の利率に影響することになりますよ?」


「やめてください」

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