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第79話 帝国歴史解説2

「少し話が長くなったので、まとめましょうか」


「師匠が親切だなんて、明日は槍でも降ってくるんじゃないですか?」


「意味が分かりません。では、まとめます。初代皇帝が人外。2代目皇帝は超絶バカ。帝国36分割。以上です」


「そのまとめ方、大丈夫ですか?」


「我ながら、よく出来てると思ったのですが……」


「帝国はが36分割された後はどうなったんですか?」


「帝国はその後、3世代にわたって戦国時代になります」


「3世代?」


「36人の皇子の孫の代までと言う事ですね。そして、この分裂を目ざとい魔王は見逃しません。36人の皇子のうち12人の皇子とその子孫の領地を占領しました。つまり、帝国の3分の一が魔王の手に落ちたというわけです」


「逆にそれだけで済んだんですか?」


「事態を危険視した旧帝国領の人間が一時的な同盟を結び、この事態にあたったため、この程度で済みました。実際のところは魔王の手加減のおかげだと私は見ています」


「どういうことですか?」


「北の魔王の実力であれば、十分に帝国を捻り潰す力はあったと思われます。ここで思い出してほしいのは何で24の生き残った国々は協力したのでしょうか? と言う事です」


「魔王の攻撃に対処するためですよね?」


「はい。その通りです。逆に言えば、魔王が攻撃しなければ、再び内紛を始めるとも言えます」


「なるほど」


「お互いに喧嘩で疲れて、へとへとになっている所で決定打を与えてすべてを手に入れる、この漁夫の利戦法は最高においしいですからね」


「おいしいかはどうかとしても、確かに賢い戦い方ですね」


「その結果、残りの24か国が戦い続け、4か国にまで減りました」


「魔王の横やりは無かったんですか?」


「無かったようです。残りの4か国がしのぎを削っていた時に異変が起こります。ある国の皇帝が家臣に暗殺され、その家臣が皇帝に即位しました。今まではいろいろなことがあっても、皇帝の血筋だけは共通でした。しかし、1か国だけは血筋、家系が異なる皇帝が生まれてしまいました。これはマズいということで3か国が同盟し、1か国を潰しにかかります。しかし、ことごとく攻撃を跳ね返され、3国が弱ったところですべてを総なめしました。これが現在の帝国の成り立ちです」


「じゃあ、現在の皇帝は優秀ってことですか?」


「いえ、それは先代の皇帝の話です」


「この流れは……嫌な予感がします」


「珍しくイラリアの予感が的中しましたね」


「珍しくは余計です」


「2代目はぼんくらでした。そのため、皇后が実権を握り、皇帝を幽閉しました。余談ですが、この皇后は初代皇帝の側近の娘だそうです。そして積極的に不倫をしていたようです」


「え? 皇后ですよね?」


「はい。ついでに言うと不倫相手が皇后のブレーンでした」


「それ、問題ないんですか?」


「既に皇后が不倫している時点で問題なので、今更この程度のことが問題にはなりません」


「いや、政府が機能しなさそうじゃないですか?」


「不幸中の幸いでこのブレーンが優秀だったため、初代皇帝と並ぶほどの安定した政治をしていたようです」


「本当に不幸中の幸いですね」


「しかし、この事態に不満を持つ者がいました」


「誰ですか?」


「初代皇帝の弟、つまりは皇帝の叔父です。この叔父は将軍だったため、軍部に強い影響力を持っています。そして、皇族が実権を握れず、皇后がやりたいように振る舞っている状態を非常に腹立たしく思っていました。その結果、軍部のクーデターとなります。クーデターは成功し、皇后は幽閉、不倫相手はその場で処刑、皇帝は幽閉先から解放されました。その時の皇帝の言葉は今日のお昼ご飯は早いんだね、だそうです」


「一人だけ住んでいる世界が違うんですか?」


「皇后は幽閉と言いましたが、実際のところは幽閉先で殺され、世間一般では自殺という形で処理されています。傀儡の皇帝を置き、叔父が全権を握ります。しかし、叔父には内政の経験などなく、中央政府が混乱状態に陥ります。その結果、民衆の不満が溜まり、反乱が首都で起こります。首都での反乱に動揺した叔父は軍に命じて武力で鎮圧。これにより一時的に反乱は収まりましたが、反乱分子が地方に移動して、地方で反乱が多発します。事態を重く見た、皇帝の弟が民衆と共に反乱を起こし、叔父を捕縛して幽閉します。自らは宰相として皇帝を支えることになります」


「同じことを繰り返してませんか?」


「この弟は兄とは違いそこそこ優秀で政治が安定しました。安定した政治により、帝国はその国力を回復しましたが、長くは平和はもちませんでした」


「何でですか?」


「宗教戦争と半グレ集団による略奪の嵐が吹き荒れました」


「帝国は問題が起きないと気が済まないんですか?」


「まず、宗教戦争から話しましょうか。帝国は主に2つの宗派があります。太陽神殿と月神殿です。太陽神殿は太陽神を主神とする宗教です。月神殿は月の神を主神とする宗教です。この両者は常に衝突するのですが、この時の衝突は武力衝突にまで発展しました。中央政府は宗教問題に口出しして、飛び火することを恐れ、干渉しませんでした。その結果、各地で宗教戦争が発生して、貴族から民衆までが参加する大乱戦となりました。この戦いの恐ろしいところは何か分かりますか?」


「民衆が参加することですか?」


「違います。両軍とも司令官と呼べる存在がいないことです。つまり、自然発生した戦争の着地点が誰も用意できないため、全員が何となく戦い続けるという恐ろしい事態になりました。この混乱の最中に皇帝の弟は暗殺され、中央政府は機能不全に陥ります」


「皇帝はどうなりました?」


「食っては寝てを繰り返す毎日だそうです」


「本当に何してるんですか?」


「ついでにですが、この混乱は今現在も収まっていません。現時点では下火だそうですが、いつ再燃するかは不明とのことです」


「ヤバいですね帝国。まだ、この話続くんですか?」


「はい。半グレ集団の話がまだ終わってません」


「もう頭が限界なんですけど」


「はみ出たら、フライパンでねじ込むので安心してください」


「どこを安心すればいいんですか?」

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