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第74話 火力と人徳の差を思い知るが良い

ブタ族から旧ウサギ族要塞を奪還した私たちは復讐のため、ブタ族への攻撃の準備をしていた。


「攻城兵器と巨大な鍋、大量の油を用意してください」


「何するつもりですか?」


「野外灼熱風呂を実施しようかと思いまして。お客様はブタ族です」


「ブタ族を食べようとしないでください。人の道を踏み外しすぎじゃないですか?」


「外道のイラリアにそんなことを言われてしまってはお終いですね」


「師匠にだけは言われたくないです」


「でも、このぐらいしないとイラリアの戦績はマイナス値のままですよ? それに私の怒りが収まりませんし」


「最後のが本音ですよね? それで、何で今回は大掛かりな準備をしてるんですか?」


「最新鋭の魔導砲を使うからです。毎度おなじみのM値突撃では被害が出そうですから。あと、いい加減にこの風景も飽きたので、そろそろ、グリッロさんに指揮を任せて、ルーテリアさんこと粘着クリーナ―と一緒にクソ雑魚連合を踏み潰します」


「今の言い方だとルーテリアさんの本名は粘着クリーナーってことになりますよ」


「まあ、どちらでも同じような物です」


「違うと思います」


「今回のブタ族攻略戦が終了したら、残りの肉食獣人制圧はグリッロさんに一任します」


「プラシドさんはどうするんですか?」


「プラシドさんとルーテリアさんをくっつけてはいけません。キャラが強すぎて、私が空気になってしまいます」


「確かに否定はできませんね」


「それに、そろそろプラシドさんの本業がありますからね」


「本業? 傭兵の仕事があるんですか?」


「肉屋の仕事ですよ?」


「そう言えばそうでしたね。日頃のプラシドさんの行いのせいで忘れてました」


「単純にイラリアの記憶力が原因では?」


「失礼すぎませんか?」




ブタ族の本拠地は人間の都市と同じほど立派な城壁があり、その造りもかなり頑丈だった。

私たちはここを包囲して、魔導砲100門で、連日砲撃をし続けている。

城壁はもちろん破壊しないように、内側を徹底的に爆破する。


「あ、あの白旗を狙撃してください」


「了解しました」


私は砲兵隊長に指示をだし、白旗を持つ兵士と白旗を木っ端みじんにする。


「何回、白旗を壊せばいいんでしょうね、私たち?」


「前代未聞ですね、降伏を許さず、延々と砲撃を続けるなんて。魔力濃度大丈夫なんですか?」


魔導砲は魔力を用いて砲撃をする。

そのため、着弾地点では爆炎による熱線と衝撃波、そして、魔力が襲い掛かる。

魔力濃度が上昇しすぎるとそこは生命体にとって居心地が悪い環境となる。

魔力による魔物化や急激な進化や退化が起こるらしい。

噂によれば、高濃度魔力下にいると隣にいた友人が振り返ったときには猿にまで退化しているということもあるとか、ないとか。


「既にブタ族の一部がオークに似た何か別種の魔物に変異して、内紛が起こっているようです。あの壁の向こうはまさに地獄絵図でしょう」


「その原因が何で他人事のように言ってるんですか?」


「仕方ありません。私に逆らった存在の末路はこんなものです」


「私は師匠のアンチになりそうです」


「これを見てよく言えましたね。寝室が吹き飛びますよ?」


「やめてください」


「冗談はここまでとして、どうやって占拠しましょうね?」


「もう、突入できるじゃないですか?」


「これだからイラリアは……、流石にこれは可哀そうですね」


「何て言おうとしたんですか!」


「いいですか? 城門を開けた瞬間にブタ族がオーク化するほどの魔力がこちらに流れ込みます。もし、聖戦士が魔物化した場合、私たちは手を付けられないことになります。分かりますね?」


「分からないんですけど」


「考えてみてください。魔物化したら、理性が無くなったように暴れるんですよ? 攻撃されると喜び、誰彼見境なく襲うことを喜びとするバーサーカーをどう対処するつもりですか?」


「知りませんよ。じゃあ、どうするんですか?」


「まあ、鬱憤も晴らせたので、帰りましょうか」


「え? 何しに来たんですか?」


「恨みを晴らしに?」


「制圧って建前をどうするつもりですか?」


「まあ、別に落ち着いてから、グリッロさんにとどめを刺してもらえばいいですし。撤収で」


「本当に何しに来たんですか?」


私たちは旧ウサギ族要塞に撤退した。

残りの獣人族の制圧をグリッロさんに任せて、私とイラリアは魔王城に帰還した。

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