第59話 私の慧眼に驚くが良い
結局2カ月かかった。
私とイラリアと勇者さんが机に置かれている見取り図を眺める。
大賢者さんは先ほど眺めていた。
他の面々も大賢者さんの後に見て、自室に戻った。
「見取り図を作るのに2ヶ月とか意味不明ですね。と言うか、テプサはまだ決着がつかないんですか?」
私はイラリアに不満をぶちまける。
「ルーテリアさんの情報だとまだ、戦闘中だそうですね」
「手を抜いてるんですかね?」
「いや、流石にそんなことはないと思いますよ?」
イラリアはそう言うが、仮にも魔王を目指すとか、ほざいていた魔人がここまで弱いなんてあるのか?
「まあ、四天王を足止めしているなら、良いじゃないか」
勇者さんが話に割り込む。
「全然よくありません。本当ならば、四天王を倒して、テプサを魔王とぶつけて両方が弱ったところを漁夫る計画を立てていたのに台無しです。しかも、接戦のせいで二人に手を出せません。厄介もいいところですね」
「これからどうするんだ?」
「反乱軍が城下町で蜂起します。魔王城から兵が出れば、このまま魔王城へ攻めます。魔王城から兵士が出なければ、攻略方法を変えます。どちらにしても、そろそろ連絡があると思います」
ドアがノックされる。
「どうぞ」
「失礼します」
オークが入ってきた。
人間用のサイズなので少し狭そうだ。
「魔王城から鎮圧の兵士が出ました」
「分かりました。勇者さん、皆さんを集めてください」
「分かった」
「ジーナ? 魔王城の正門から堂々と入っているが、大丈夫なのか?」
勇者さんが質問する。
「何か問題が?」
「いや、普通に問題しかないと思うのだが」
「ジーナ殿、あの門衛は爆破するか?」
大賢者さんは今までの検問と同じように爆破するか聞いてきた。
「いえ、今回は結構です」
私たちは普通に歩き、城門に到達した。
門衛が敬礼する。
「教祖様、お待ちしておりました」
「開けてください」
「かしこまりました」
門が開いた。
「では、中に入りましょうか」
「このおかしなことを誰も指摘しないあたりが怖いですね」
イラリアが何やら言っているが、気にしないで前に進む。
魔王城の警備が薄い前提で侵入したのだから、誰にも出会わないことはそれほど問題じゃないけど、人がいる気配が全くしないというのは逆に不安だ。
そんなことを思っていたら、案の定、強そうな魔人が現れた。
「勇者とその仲間だな。ここから先は進ません」
「こいつは俺が相手をしよう。お前ら先に進め」
「剣聖さん、ボロボロになって敵を食い止めると個性が出ますよ」
「師匠、忘れた頃に掘り返すの何なんですか?」
「アブドン、ここは任せる」
勇者さんは剣聖さんにこの場を任せた。
「アブドン、無事でね」
聖女さんが不吉な別れの言葉を放つ。
「聖女さんが聖女らしさを出すと何か不吉ですよね」
「アブドンが足止めしているうちに急ぐぞ」
大賢者さんは私の言葉を無視して話を進めた。
「あたいはアブドンを助けるよ。魔王との戦いじゃ役に立たないからね」
盗賊さんが勇者さんに言う。
「分かった。二人とも無事でな」
「ルカ、先を急ぐぞ」
「ああ」
「逃がすと思うか?」
魔人が勇者に斬りかかるが、剣聖さんが受け止める。
「チッ」
魔人が急いで、後ろに飛び退く。
魔人のいた場所には矢が3本刺さっていた。
「お前にはここで俺たちの相手をしてもらおう」
「ルカの邪魔はさせない!」
私たちは走ってこの場を後にした。
剣聖さんと盗賊さんをあの場に置いて、魔王の下に向かっている。
「私、すごいことに気が付きました」
私はイラリアに話しかける。
「それ、今言う必要ありますか?」
「剣聖さんと盗賊さん、デキてますよね?」
「知りません」
「勇者さんと聖女さんもデキる可能性がありますよね」
「いや、だから知りません」
「ちょっと! へ、へ、へ、変なこと言わないでよね!」
「聖女さん、キョドり方がキモいです」
「パーティー内でカップルができることに何か問題がありますか?」
「イラリアは分かっていませんね。だから、三下って言われるんです」
「言われていません」
「いいですか? パーティーで2組のカップルが出来てしまったのですよ? 残りは大賢者さんとイラリアじゃないですか? これだと大賢者さんがロリコンになってします」
「大賢者さんと師匠がくっつけばいいじゃないですか?」
「ふざけてるんですか? 私は本気で言ってるんですよ?」
「キレていいですか?」
「まず、私はパーティーに参加しているわけではありません。協力者Aってところです。それにパーティーの男性で私が許容範囲内にいる方がいません。まず、剣聖さんはキャラが薄すぎて、存在に気付けないのでダメです」
「師匠のキャラが濃いだけじゃないですか?」
「勇者さんは頭と金が無いからダメです。何より、星教会の手先なので論外です。大賢者さんは何となくダメです」
「大賢者さんが一番可哀そうな断られ方してませんか?」
「まあ、こんなくだらないことは置いといて、急ぎましょう。剣聖さんと盗賊さんが命を削って戦っているんですよ?」
「この短時間で記憶が飛びました?」




