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第47話 解剖していいですか?

スライムを除く魔物たちが撤退していく。

私は少し前に出過ぎているので、聖女がいる後方に下がる。


「ゴブリン共の話は本当だったようだな。まさか勇者が来ているとはな」


エルフの森に来るまでに遭遇した魔物は一匹残らず排除したはず。

遠くから、覗いていた奴がいたのか?


「貴様、何者だ」


勇者さんは聖剣をスライムに向ける。


「俺は魔王軍四天王が一人、ランベルトだ」


「ねえ? あのスライムどうやって喋ってるのか分かる?」


私は隣にいるイラリアに話しかける。


「勇者を討ちt」


「ねえ? イラリア? 聞いてますか? 無視は酷いと思いませんか?」


「つ者だ。しかとs」


「あの液状ボディーのどこに発声器官が……是非とも解体したいですね」


「ろ!」


「師匠のせいで、あのスライムが何言ってたか分からなかったじゃないですか」


「魔物の言葉なんて、たいして聞く価値ないと思いますよ。それにスライムですよ? 叩いても快感が得られないんですよ?」


「叩き心地で判別するのやめてもらえませんか?」


「おい! お前ら、特にそこのフライパンを持つ女! 俺が喋っているというのに雑談するとはいい度胸だな」


「でも、叩き甲斐の無い魔物の存在意義って何ですか?」


「そもそも魔物はフライパンで叩かれるために存在しているわけじゃないですよ?」


「おい! いい加減、俺の話を聞け!」


「聖女さん、言われてますよ」


うっとおしい、スライムの喚き声を止めるために聖女さんに話を聞くように促した。


「私じゃないわよ! フライパンを持つ女って言ってたわよ」


聖女さんが私に視線を向ける。


「じゃあ、イラリアのことですか? イラリア、人の話はしっかりと聞いた方が良いですよ」


「無視の常習犯が何を言ってるんですか? しかも、私じゃなくて師匠に向かって言ってますよ」


「え? 私、魔物に話しかけられたんですか? うわ、あとで耳を消毒しとこ」


「エドアルド、あの魔物の特徴は?」


勇者さんが大賢者さんにランベルトなるスライムの情報を聞く。

少しは自分で調べたら如何? と思う。

大賢者さんの教育はずいぶんと甘いのだろう。


「他のスライム同様、打撃や斬撃は無効だ。それ以外は情報が無い」


幹部クラスの魔物で情報が無いなんてほとんどありえない。

幹部と遭遇した誰かしらが生き残れば、その情報をギルドや教会などに話す。

情報が無いってことは誰一人としてこのスライムから逃げきれなかったのかもしれない。


「魔王軍の幹部で情報が無いとかありえるのか?」


「通常ならばありえないが、それだけこのスライムが特殊なのだろうな」


「さあ、勇者よ。名乗るがいい」


「勇者ルカ・ダミアニ」


勇者が聖剣に魔力を込める。

聖剣はまばゆい光と聖なるオーラを放つ。

大賢者さんが爆撃魔法を放つ。

スライムが爆炎に包まれた。


「無傷だと!」


大賢者さんが驚きの声を上げる。

あれほどの熱量のある爆炎なら、スライムにダメージを与えていて当然。

それなのに、ダメージがないということはかなりの高い魔法耐性を持つのかもしれない。


「大賢者がその程度か?」


勇者が聖剣を振り、斬撃を飛ばす。

スライムは真っ二つになる。

が、瞬時にくっついた。

スライムは核を攻撃しない限りは死なない。

熱によって水分を飛ばすか聖剣のような特殊な武器による攻撃であれば、倒せるかもしれないが、あの巨大さでは核を破壊する以外で倒す方法はないだろう。


「くっ、奴のコアはどこだ?」


盗賊さんが弓を放つがスライムが巨大すぎて、まったくダメージが無い。

スライムが触手を伸ばし、勇者に襲い掛かる。

勇者は迫りくる触手を聖剣で切断する。

勇者さんは完全に守りに入っている。

スライム相手に剣で戦うなんて下策も下策。

聖剣だからこそ勇者は戦えているが、コアを発見できていない場合は剣士はスライム相手に限りなく無力だ。

盗賊さんは弓が効かない時点で戦力外。

嫌がらせ程度に石を投げることしかできないだろう。

主戦力となるのは勇者と大賢者、うまく使えば、聖女も戦力になるかもしれない。


「師匠、私たちも協力……、師匠? どこに行きましたか?」


「一人消えた? 俺に気付かれないように消えただと?」


スライムが私を探しているようだ。


「イラリアちゃん、あの狂信者どこ行ったの?」


「そう言えば、師匠はやる気を失うとゴーストすら気付かないレベルで気配が消えるんでした」


「え? じゃあ、今もどっか、その辺にいるってこと?」


「分かりません。やる気を失ってパダラに戻ってるかもしれません」


「何なのアイツ!」


盗賊さんがスライムに捕まった。


「クソッ、放せ!」


ジタバタしているが、液体のボディにはほとんど意味をなしていなかった。


「パオラを放せ!!」


「ルカ! 待って!」


聖女さんの制止を無視して、勇者さんが聖剣を振る。

迫りくる触手を斬って、スライムとの距離を詰めているが、液体相手では分が悪くだんだん押されている。

聖剣を使えば、強力な斬撃が放てるが、盗賊さんに当たる可能性があるので、実質的に制限されている。

大賢者さんが魔法を放とうとするが、勇者とスライムが近すぎるので、撃てないでいる。

聖女さんも大した効果がないと分かっていても対魔物結界と浄化結界を張る。

スライムが勇者以外にも触手を伸ばす。

聖女さんは結界により、触手を防いだ。

大賢者さんは触手を凍らせることで反撃をしようとしているが、残念ながら本体までは凍らず、途中で触手が折れてしまった。

剣聖さんは回避と触手の切断で何とか無事だが、これもどれだけ持つか。


「エドアルド! コアがどこにあるか分からないか?」


勇者が聖剣を振りながら叫ぶ。

大賢者さんが勇者さんに下がるように指示をする。


「ルカ! 一度距離をとれ!!」


触手の一本が勇者の肩を貫いた。

この一撃で勇者とスライムの均衡が崩れてしまった。

勇者は徐々に押され、スライムに取り込まれてしまった。


「ルカ!」


聖女さんの悲鳴にも似た声が周囲に響き渡った。

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