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第35話 危険物の持ち込みは禁止されています。没収です

パダラまであと少しと言う所まで来た。

行商人とすれ違う頻度が増えてきた。

前から小さいフライパンを首に提げた男たちがやってきた。

私は踏み込んで距離を縮め、フライパンで殴って壊滅させた。


「盗賊か?」


「察しが 良いですね勇者さん。首元に小さなフライパンが見えますか?」


「あるな」


「パダラの近くに拠点を持つ盗賊たちにはフライパン教徒は小さなフライパンを提げるという虚偽情報を流しています。まあ、本当のフライパン教徒であれば、あの程度の殴打は少し痛いで済むんですけどね」


「それ本当なんですか? 私は師匠の打撃に耐えられる気がしないんですけど」


「フライパン教徒にとって、私のフライパンで殴打されることはご褒美なんですよ」


「ねえ? 私の中でフライパン教に対する好感度がどんどん下がってるんだけど。私、フライパン教の教祖といるのよね? 普通教祖って神々しさみたいなのがあるって思ってたんだけど」


「レラさん、フライパン教徒に常識は通用しませんよ」


「それをフライパン教教祖の一番弟子であるイラリアが言いますか?」


私は少しだけ時間を貰い、無力化した盗賊たちを改宗した。




私たちは巨大な門を目の前にしている。

門は魔王軍が攻めてきても、問題ない様に強力な防衛設備が用意されている。

この城門と城壁は巨大な魔導具のようなもので、緊急時には結界を張ることで魔王の攻撃すら弾けると言われている。

内部にも、外部の敵を砲撃できるように魔導砲が100門近く配備されていて、例え、近辺の都市が連合を組んで襲撃してきても、陥落することはないだろう。


「ここがパダラ……、噂には聞いていたが、デカいな」


「盗賊に魔物、周辺の物騒さから、普通の都市とは危機意識が違います。また、星教会が攻撃するケースを想定しているので、対人戦闘においても抜かりありません」


「フライパン教徒の総本山。正直、入りたくないわね」


「なら、聖女さんはそこら辺で野宿ですね」


「入るわよ! 野宿は嫌だから」


「私たちパダラの人間も星教会の人間を歓迎はしませんよ。なので、勇者と聖女って身分は隠した方が良いと思いますよ。おそらく、地獄を見ると思いますから。フライパン教徒は他教徒に対するあたりが激しいですからね」


「その様に教育したのは師匠ですよね? 何で他人事みたいに言ってるんですか? 張本人じゃないですか」


「そんなことは良いので。入りましょうか」


私たちは列に並び、検問を待つ。

5分ほど待つと、ようやく順番が回ってきた。


「教祖様!」


門衛が叫ぶ。


「他の方もいらっしゃるのでお静かにね」


「あ、申し訳ありません。事前にお教え頂ければ、お待たせするようなことはなかったのですが……。おい、タフィ様にご連絡しろ」


門衛は後ろで待機していた部下に命令する。


「はい!」


部下は慌てて走っていった。


「師匠、タフィさんって誰ですか?」


「私の不在時に私の代理を務めてくれる人です。教団本部に着いたら、紹介しますよ」


「どうぞ、お入りください」


「あ、この男女は精密なチェックをお願いします。怪しいものがあったら、入国を阻止してください」


私は勇者と聖女を指さす。


「何でよ! あなたと一緒にいるんだから、私もパスでいいじゃない!」


「レラ、それは聖女としてどうなんだ?」


「勇者さん、他人事のように言ってますけど、あなたもですよ? あ、聖剣は危険物なので没収をお願いします」


「おい! 待ってくれ、これはダメだ」


勇者は聖剣を大事そうに抱える。


「師匠、私たちは先に行ってますね」


結局、私たち全員はセキュリティーチェックを受けることなく、中に入った。

門をくぐると、信者たちが集まっていた。


「教祖様!」


「おかえりなさい!」


私は笑顔で手を振り、先に進む。


「何というか、師匠って、本当に教祖だったんですね」


「最初からそう言ってますよ?」




私が教団本部に着くと教団幹部や職員が出迎えてくれた。

タフィを筆頭に全員が立膝をする。


「お帰りをお待ちしておりました。教祖様」


「ただいま戻りました。息災でしたか?」


「すべて滞りなく進行しております」


「詳しい話を聞きたいので、中で話しましょうか」


出迎えてくれた幹部たちを解散させ、タフィと私たちは執務室に向かった。


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