第21話 新しいお友達
オークは最初の頃は一対一で止めようとしたが、敵わないことに気付くと多対一に持ち込むようになった。
現に、私は4匹のオークに囲まれている。
鉄製の切れ味が悪そうな大剣を振り下ろすが、遅すぎる。
私はオークの腹部に蹴りを入れるとオークは後退りして腹を押さえて、剣先を私に向ける。
それを皮切りに次々と斬りかかってきた。
上から下からと次々と繰り出されるが、特に危なっかしいものはなく、避けつつ頭部に一撃を入れると彼らは熱心なフライパン教徒になった。
4匹を引き連れ、オークキングのいる場所を目指す。
今まで出会ったオークよりも強そうなオークが屋敷を守っている。
「ここがオークキングのいる場所ね。お前たち、私の仕事が終わるまで、こいつらを何とかしておけ」
「グガアアアァァァ!!」
フライパン教に改宗したオークたちが雄叫びを上げて突撃した。
余りの勢いに警備のオークがたじろいでいる。
もう、そろそろバーサーカーメーカーという称号を手にしてもいいかもしれない。
私は戦闘するオークの間を潜り抜け、屋敷の中に入った。
威圧するような空気。
王者の覇気とでも言うのだろうか、確かにこれは大したものだ。
魔物絶滅主義者ではあるが、良い気迫。
私は椅子に座っているオークの王と対面する。
自らの魔力を馴染ませてある武具。
オークキングは剣を持ち、こちらを睨めつけている。
魔力が急激に動いた、来る。
私はフライパンを構え、振り下ろされる剣を受け止める。
重い一撃だ。
身体強化系のスキルだろう。
私は剣を弾き、足に目掛けフライパンを振るうが、オークキングは後方に飛び退き回避した。
今度は私から仕掛ける。
オークが私のフライパンを受け止める。
お互いに仕掛けては受け止めるを繰り返した。
キングオークが大きく振りかぶり、私に振り下ろす。
私は後ろに飛び退き、回避した。
床板が大きく、えぐれてしまった。
床板が次々とめくれ上がり、魔力の塊がこちらに近づいてくる。
剣の衝撃を魔力を使って、こちらに飛ばしてきた?
私は迫りくる斬撃をフライパンで弾く。
弾かれた斬撃は部屋の壁を破壊する。
再びオークキングが接近戦を仕掛けてくる。
フライパンに意識を集中する。
感じる、左袈裟斬りが来る。
私はそれを躱し、袈裟斬りによって低くなった頭に信仰心込めた熱い思いをぶつける。
オークキングは直撃を食らい、吹き飛び、部屋の壁に埋まっている。
オークキングは壁から出てきた。
そして、ゆっくりと跪いた。
「さあ、あなたが今なすべきことは分かりますね?」
「分かります、教祖様」
オークキングは低く地響きのするような声をゆっくりと発する。
オークとの停戦はなった。
しかし、ここには長く滞在できない。
アンデッド連合はすぐそこまで迫っている。
今ある戦力を本拠地に連れ帰るのが先決。
私はオークキングの屋敷を出る。
「教祖様」
ゴブリンの将軍が私の前に跪く。
「分かっています。アンデッド連合がすぐ近くまで来ているのでしょう? ハーピーに爆撃を敢行させ、足を止めさせなさい。我々は撤退する。将軍、指揮を」
「はっ」
「オークキング、あなたも撤退なさい」
「承知いたしました」
「師匠、成功したんですね」
「ええ、でも、逃げなきゃヤバそうね」
何とか、爆撃によってアンデッドの足止めができた。
私たちはその時間を使って本拠地まで撤退した。
「はい。今後について話し合いたいと思います」
「我々はすぐに攻勢に出るべきです」
オークキングがそう主張した。
「それは私怨ですか? 同胞がたくさん殺され、怒りは分からなくもないですが、冷静な判断だとは思えません」
「しかし!」
「私は魔物に対して一切の情がありません。現実に即した発言をお願いします」
「師匠、魔物にそれを言いますか?」
「失礼しました」
ゴブリンの参謀が手をあげる。
「どうぞ」
「私もオークの王の意見に賛同します。アンデッド連合はまだ、守るもん君の対策が無いはずです。逆に時間を掛ければ、それだけ対策される可能性があります」
「一理あります。では、攻勢をかけるとして、その手段は?」
「ハーピーによる空爆、その後、正面攻撃を行います」
「粛清してもいいですか?」
「師匠、過激すぎます」
「ダメです。アンデッドは斬っても死にませんよ? 彼ら相手にどうやって対抗するつもりですか?」
「やはり、ゲリラでしょうか?」
ウルフの近くにいるコボルトが発言する。
「ウルフ偵察隊長、ご意見があるようですね」
「ゲリラ戦術がよろしいのでは? 正面からの攻撃では彼らとやりあうのは厳しい」
「同感です。守るもん君を仕掛けた場所に敵を誘い込み、ゴブリンメイジによる火炎攻撃で一気に仕留めます。しかし、大規模な空爆という案は良いですね。採用です。ハーピーを叩き起こして、全力で運用しますよ」
この会議の後、ハーピーは休む暇なく、森に守るもん君をばらまき続けた。
その結果、森が燃えない日はなく。
常にどこかしらでは死体の焼ける匂いがした。
「珍しいですよね。師匠が消極策をとるなんて」
「空爆を消極策と言ってしまうあたり、イラリアちゃんもだいぶ染まってきましたね」
「やめてください。師匠と比べればまだまだですよ」
「それは私を持ち上げてるんですか? それとも、床に叩きつけているんですか? でも、そうですね。普段の私だったら、すぐにヴァンパイアを撲殺している所ですが、近く大金が入る予定なので、あまり急いでいません」
「ヴァンパイアって撲殺できるんですか? それより、大金について詳しく教えてもらっていいですか?」
「ここの魔物と運命を共にするって条件をのむならいいですよ」
「やっぱ、良いです。知らな方がいいこともありますからね」
「そうですよね。この大金ですね……」
「知らなくて良いって言いましたよね? 人の話を聞いてください!!」
「でも、そうですね……最近は、少し消極的だったかもしれません。そろそろ、フライパンに生贄を差し出さないといけませんし、肉弾戦を頑張りますか」
「何で、忘れた頃に宗教感を出すんですか?」
「というよりも、私は教祖ですよ。宗教感を出しているのではなく、そもそもが宗教的なんです」
空爆の効果があったのか、それとも待ち伏せによるゲリラ攻撃に効果があったのか、それとも両方かは分からないが、アンデッド連合の攻勢は止まった。
ウルフの偵察により、敵の本拠地が割れた。
魔法が使えるゴブリン、オークを動員して、敵の本拠地を奇襲することにした。
「配置完了です」
「攻撃をお願いします」
包囲する形で展開した私たちは敵の本拠地に魔法を撃ち続けた。
「教祖様がお通りだ! 道を開けるぞ」
オークの一軍が突撃して、道を切り開く。
私はその道を通り、敵の本拠地に突撃する。
オークの本拠地を襲ったのと同じ手段すぎて、びっくりだ。
敵の学習能力と情報収集能力が低くて助かった。私は何体かのアンデッドをフライパンで殴打しながら、前に進み、侵入した。




