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和風陰陽師漫画の終盤で死ぬ親友枠に転生した俺はどうすりゃいいですか?  作者: 鬼怒藍落


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第15話:友達

 気づけば微睡の中にいた。

 ……ぼんやりしつつも目覚め、周りを見渡せばそこは彼女の世界。

 相変わらず静かできれいなこの場所で目を覚ませば上には俺を笑顔で見下ろす空亡の姿がそこにはあった。


「えっと、おはよ……」

「うんおはよう。大丈夫? 痛いところない?」

「ばっちり元気……いや、魂に疲労ってあるか?」


 痛みも倦怠感も何もないので、俺はそう答えた後で自分で突っ込みを入れた。それの何かがツボに入ったのか、空亡はくすくすと笑っている。


「――って、俺戦闘中!?」


 意識がはっきりして思い出したのは、そんなこと。

 この世界にいる間は俺は寝ているので、すぐに戻らないとやばいと思いなんとか外の世界に戻ろうとしたのだが。


「あ、それなら大丈夫。私が倒したから」

「……え?」

「ほんとだよ? だから大丈夫なんだー」


 彼女が倒した?

 いや、その言葉は理解はできる。だけど、俺なんかのために? 確かに好感度は高いように見えるけど、だからってこの子が誰かのために動くのか?


「外はよくわからないけどね、敵はもういないからもうちょっと一緒にいよ?」

「それならって訳にはいかないだろ。でもありがとな、俺だけじゃ倒せなかった」

「えへへ、やった褒められた。でも足りないの、ご褒美頂戴?」

「……上げれるものなんてないぞ?」

「じゃあ……名前、教えて?」


 ……名前。

 すなわち真名、魂に紐づく己を表すそれ。

 魔の者に、もしくは神にその名前を教えるということは契約という行為に等しく離れられなくなるかもしれない。


「えっと契約しない?」

「……なんとか頑張る」

「色々縛りとかない?」

「気分によるかも……」

「それなら却下でぇ」

「……むぅ、じゃあ友達なって。あとちゃんと空って呼んで!」


 それくらいなら? ……いや、でも。じゃないな。

 助けてくれたんだ。そのぐらいだったら別にというか、ちゃんとやろう。


「じゃあ友達、になろうか」

「うん友達、よろしくね貴方。ふふ、なんか新婚さんみたいだね」

「……これが名前を教えなかった弊害か」

「いや、なの?」

「いやじゃないけどむず痒いんだよ」


 だって、曲がりなりにもというか彼女はめっちゃ美少女で、推しでもあった存在。

 故にそんな子に破壊力がやばいこんな台詞を言われたら、クラっと来るというかめちゃやばいというか。


「照れ隠し?」

「まぁそう」

「えへへへへ、可愛いね」

「可愛いのはお前」

「…………」

「どうした急に黙って」

「すごくドキッとした」

「そっかぁ」


 何の漫才なんだろうか。

 というか今更だけどさ、俺めっちゃ毒になってたよな? ここに来る原因とか絶対それだし、何より現実の俺生きてんのかな。


「あ、大丈夫。アフターケアもばっちり。なくしといたよ毒」

「ばっちりすぎてやばいな」

「うん、もっと褒めるといいよ」

「……ありがと、空」

「ほんとに呼んでくれるんだ、びっくり」

「そりゃあ、そういう約束だし」


 約束は守った方がいい。

 機嫌を損ねるとかじゃないけど、彼女になんでか嘘はつきたくないし。それに、守ってくれた恩人がそう頼んできたのなら破る意味もないから。


「じゃあ、そろそろばいばい。またね貴方」

「うん、了解。ありがとな空」


――――――

――――

――


「――はやく、起きなさい蓮。これは命令よ」


 腹を貫かれ毒に侵されていた大切な彼。

 戻るのが遅く嫌な予感がして大蜘蛛を討伐した私たちがそこに向かえば、いたのは満身創痍な彼とすやすやと眠る一人の少女。彼のことだから助けたんだろうけど、その反動に自分を犠牲になんて笑えない。

 

 傷は深く、相当な毒で解毒はすぐには無理。

 このままだと幼い彼の体は死に向かう一方……だけど、私たちに治す術はなくて。


「――なに!?」


 その瞬間のことだった。

 急に蓮が術を起動し、体が治り始めたのだ。

 それもかなりの速度で穴を塞いで、それどころか浸食していた毒をすべて解毒する。それが終われば呼吸が安定し始めて。


「……えぇそうよね、貴方は死なないわよね」


 こぼれたのはそんな一言。

 私を変えるかもしれない運命のこの人は、このぐらいじゃ死にはしない。

 だけど、心配かけた報いは受けてもらわないと。そう心に決めた私は、部下二人に彼らを背負わせて宵闇家に帰ることにした。


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