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60点だった俺のカンスト人生〜底辺レベル1のアラサー社畜、超難関ゲートに落ちて神竜を簒奪(オーバーライト)したら世界最強になっていた〜  作者: kiro


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実技審査(コンペ)と、窓際族(イレギュラー)の要求

実技審査(コンペ)と、窓際族(イレギュラー)の要求


東京・探索者ギルド本部、一階の総合受付。


「今から俺と、第2形態に変異した【A級ダンジョン】に潜れ。そこで俺より多くのモンスターを狩り、実力を証明してみせろ。……できなきゃ、お前の起業(ギルド設立)は不認可だ」


S級第4位の【崩剣】竜崎が、背中の大剣を床に突き立てて挑発してくる。


ミレイやしずくが険しい顔をする中、俺は漆黒のジャケットの襟を正し、小さく鼻で笑った。

「なるほど。新規プロジェクトの実技審査コンペというわけか。受けて立つ」


「……へっ、威勢がいいな。お前が勝ったら、俺を第一営業部長にでも引き抜くか?」


竜崎がニヤリと笑う。だが、俺は首を横に振った。


「いや、お前はいらない(不採用だ)」

「……あァ?」


「お前らS級は確かに強いが、所詮は『ダンジョンというシステムの中で、順調に出世しただけの優秀な社畜』だ。俺が創る会社は、そのシステム自体に喧嘩を売る。既存の優等生じゃ役に立たないんだよ」


俺はポカンとする竜崎の胸ぐらを指差した。

「俺が勝ったら……ギルドが抱えている『不良債権(リストラ候補)』の人事ファイルを出せ。レベルが低かろうがなんだろうが構わない。システムから評価不能とされた異能持ちや、使い道が解明されていない奇妙なスキルを持つ『規格外イレギュラー』の情報だ」


「なんだと……? そんな窓際族のガラクタを集めて、お前、何を企んでる?」


「少数精鋭の『特命部署』を創るのさ。せいぜい5〜7人。それで世界を買収する」


狂っている。そんな目で俺を見る竜崎をよそに、俺たちは東京郊外に出現した第2形態のA級ダンジョンへと向かった。


 ◇ ◇ ◇


【東京郊外・A級ダンジョン『腐海樹海』】


「……ハァッ、ハァッ! クソッ、なんだこの硬さは!? これが本当にA級の雑魚かよ!!」


ダンジョンの中層。竜崎は全身を汗と泥にまみれさせながら、大剣を振り回していた。


第2形態へとアップデートされたダンジョンは、システムのリミッターが外れ、出現するモンスターのステータスが狂い始めている。かつては一刀両断できたはずの装甲蟻アーマー・アントの群れに、S級の竜崎ですら防戦を強いられていた。


「おいスーツ野郎! 見てないで手伝――」

竜崎が叫ぼうとした、次の瞬間。


装甲蟻の群れの中央を、黒い旋風が通り抜けた。


ズガァァァァァンッッ!!


「……あ?」


竜崎の目の前で、数十匹の巨大な蟻が、一撃で紙屑のように弾け飛んだ。


爆心地に立っていたのは、スリーピースの『漆黒のスーツ』を一切シワ一つ立てずに着こなした健人だ。


「おいおい。これでA級か? 丸の内の満員電車の方がまだプレッシャーがあったぞ」


俺は肩のホコリを払うように、スーツの袖を軽く叩いた。


先ほどから、モンスターたちの鋭い牙も、強酸の唾液も、俺のスーツには一切の傷をつけられていない。それどころか、触れた端から『概念そのもの』が弾き返されている。


(……素晴らしい。さすがはレベル15万の特級魔石で仕立てたフルオーダーメイドだ。着心地も、防御力も、完全な『別次元』だな)


「お、おい……お前、今の攻撃、素手か……? いや、それよりお前のそのスーツ、全く傷が……!」


竜崎が信じられないものを見るように、尻餅をついたまま震える。


審査コンペは俺の勝ちでいいな、竜崎」


俺は振り返り、見下ろすように告げた。


「あの狂ったシステム(本社)から世界という市場を取り返すには、このスーツの性能だけでも、お前らみたいな既存のS級だけでも足りない。……『システムのエラー』には『エラー』をぶつける必要があるんだ」


竜崎は完全に戦意を喪失し、ただ乾いた笑いを漏らすことしかできなかった。


「……ハハッ。バケモノが。……わかったよ、俺の負けだ。ギルド本部の地下データベースに眠ってる『未評価スキル保持者ブラックリスト』のアクセス権限、くれてやるよ」


 ◇ ◇ ◇


数時間後。ギルド本部・特別会議室。


設立が認可された【朝倉商事】の最初のオフィスとして割り当てられた部屋で、俺は分厚い人事ファイルをめくっていた。


「……なるほど。宝の山じゃないか」


ファイルに載っているのは、レベルが上がらずギルドから追放された者や、スキルが奇妙すぎて精神病院に入れられた者。


――例えば、『対象の防御力に反比例してダメージを与える、マイナス演算のスキル』を持つ少年。


――例えば、『自分と触れた対象の"空間位置"を、他者の同意なしに強制的に書き換えるスキル』を持つ元・運び屋。


どれも既存のダンジョン攻略では「使い勝手が悪すぎる」「協調性がない」と見捨てられた者たちばかりだ。


だが、システムの理不尽なルールをハッキング(破壊)するという一点において、これほど有能な人材たちはいない。


「しずく、ミレイ」


俺が呼ぶと、背後に控えていた『社長秘書』のしずくと、『副社長』を自称するミレイが背筋を伸ばした。


「最初の仕事プロジェクトだ。このリストに載っている『窓際族イレギュラー』たちを、片っ端から面接スカウトしに行くぞ」


少数精鋭の異端組織【朝倉商事】。


世界を理不尽な神から奪い返すための、たった数人の最強の社員探しが、今始まった。

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